クマさんのバイク専科

やっぱり1万円ポンプがいいね!

 

ロードバイクを初めて買ったとき、2台目3台目と自転車生活しているひともですが、フレンチバルブに対応した3000円くらいのフロアポンプをつい買ってしまいがちですが。それはちょっと待ったです。プラスチック製のボディの軽量なフロアポンプとか、アルミ合金製シリンダーのフロアポンプは持って歩くのには軽いし、近未来的なオシャレなデザインのフロアポンプもあるけど、何故か耐久力がいまひとつとか、使っているとポンピングが重くなるとか。空気圧メーターが狂ったり壊れたり。ねじが緩んだりと色々起こりがちのものがあります。

 

そういうフロアポンプを経年劣化で使い切った感を味わったことはありません。使用頻度にもよるでしょうけど、数年も続けて使うことができませんでした。空気圧メーター付きのフロアポンプは自転車生活の必需品なんだけど、メインのパーツやアクセサリーではないけど、ロードバイクの乗り心地を左右するタイヤの空気圧を調整する重要な道具です。一定の空気圧に設定して走りたいので同じものを長く使いたいんです。フロアポンプ選びや使い勝手を向上させるチューニングを結構重視しています。

 

アルミ合金製のシリンダーは、ピストンのパッキンが摩擦する金属表面が荒れてきて、アルミの金属粉も発生して真っ黒のペースト状の油汚れの状態になって、摩擦がだんだん増してくるので、シリンダーやピストンの定期的なクリーニングやグリスアップなどの注油が必要です。だから、フロアポンプとしては持って重くても、背中に背負って走るわけじゃないから、ポンプの重さなんて関係ありません。ポンピングしても消耗しにくいスチール製のシリンダーのモデルが絶対にお薦めです。

 

決戦タイヤ選びと前日の徹底したトレッドゴムの傷のチェック、前輪6、5気圧、後輪6、75気圧という、朝のスタート寸前の空気圧の調整でこだわりがあった故森幸春選手にも、最初のツールド北海道の時のメカニックを任されたとき、準備段階の打ち合わせで、「シリカのピスタかSKS のレンコンプレッサーかゼファールのハスキーがいいね」と言われて、すぐにハスキーを買いに行ってそれを20年ほど使っています。やはり個人的には森さんに言われた、この3モデルがお薦めです。

 

実はブランドが違うハスキーとレンコンプレッサーは、形は微妙に違うけど同じメーカーが作っている2モデルです。シリンダーの太さや長さも圧縮比やエアボリュームに関係するので、7気圧や8気圧に設定する時に、ポンピングの重さへ関係するので、この2つのモデルのシリンダーの太さや圧縮比や、1回のポンピングのエアボリュームのバランスがいい感じです。それでも女性ライダーには6気圧を越えるとポンピングが大変ですけどね。

 

シリカのスーパーピスタポンプも有名です。スペアパーツが充実していて、真鍮のインゴットから削り出しのアダプターも味わいがあっていいけど、10気圧以上対応のロングバレルは、7気圧から8気圧が近づいてくると、圧縮比が大き過ぎて体重をかけても押すのが大変になります。1万円ポンプは、手入れ次第で5年、10年、20年と長く使えて、結局はお得だし、同じフロアポンプを使うことで安定した空気圧へ、走る前に確実に設定できるので、これから自転車生活を始めるんだというビギナーライダーの場合も、お薦めしたいのは、いわゆる1万円ポンプです。最初は高いと思うけど、3000円くらいのを何度も買い替えるより絶対にお得です。

 

前輪6、5気圧、後輪6、75気圧というのにはまいりましたね。だってフロアポンプの空気圧メーターの目盛りをよく見てください。1気圧単位じゃないですか?。もっと単位が細かいのもあるかも知れないけど、テストしたことがあるんですけど、正直言って、空気圧メーターってそれほど正確じゃないんです。ばらつきがあるんですね。森さんはその辺りを心得ていて、このフロアポンプならプラス目ねとか、こっちならぴったりでという指定がありました。

 

まあ前輪の6、5気圧なら6気圧と7気圧の間だから何とかなりますけど、後輪の6、75気圧にはまいりましたね。あまりに微妙な差ですから、ここら辺かなとメーターの針を見て決めるのですが、朝走ってみて、もう2回ポンピングしておいてと言われたりしましたね。めったに売っていないクレメンの細かい目盛りの付いたエアゲージを手に入れてあったので、フロアポンプで7気圧にセットしてからエアゲージのポップオフバルブを細かく押して6、75気圧に調整するようになりました。

でも、ツールド北海道の中盤からはクレメンのエアゲージは工具箱の中に収納したまま使わなくなりました。ハスキーに慣れてきて、針がこの位置だと森さんの6、75気圧の体感になることがつかめたからです。空気圧メーター付きのコンプレッサーでもそれができるようになりましたが、古い人間なのでやっぱりスタート直前の空気圧調整はフロアポンプで仕上げたいんですね。トライアスロンのメカニックをやっている時も、担当した選手ごとに使い慣れたハスキーで指定空気圧に調整していました。

 

クラシックなスタイルのレンコンプレッサーもハスキーの両方のモデルを使っていますが、いずれも10年以上、20年のものも続けて使っているので、1万円ポンプはコストパフォーマンスが優れています。ホース交換が5年から10年に1回でした。毎週末に2回使って50週、合宿などで色々なライダーに貸し出すこともあって、ヒラメの縦カムや横カムのアダプターのゴムパッキンの交換が1年か2年に1回の割合です。空気圧メーターは10年以上使えます。壊れたら、ロングセラーなのでスペアパーツが手に入りますし、手に入らなければ同じモデルを買ってパーツ取りして、交換して使い続けています。

 

新しいフロアポンプを手に入れると、まずは分解してチューニングします。スチール製のシリンダーはワコーズのブレーキパーツクリーナーをスプレーして、ウエスを通してグリスやオイルふき取って脱脂します。シリンダーをドライヤーで60度くらいに温めてから、テフロンコート剤かテフロン添加グリスを塗って、ピストンを動かしてシリンダーの内側に、抵抗を減らすテフロン粒子を表面コーティングします。1年か2年に一度分解してコーティングすると軽いポンピングをキープできます。

 

ホースの末端は接続する金属部分の脱脂をしてから、ゴム系ボンドをホースの内側と、ポンプ本体の金属部分へ塗って、ホースに小径の水道ホース用のクランプバンドを通して、ボンドを半乾きの状態にしてから差し込みます。高圧になった状態でポンピングしても、ホース抜けを起こさないようにクランプバンドで締め付けて固定します。ホースの先端のフレンチバルブやシュレーダーバルブ(クルマのタイヤのバルブ)に対応しているアダプターは、使い勝手が良ければそのまま使います。

 

ボクはヒラメの縦型や横型のアダプターが、フレンチバルブに差し込んでレバーをひねると固定されて、手放しでポンピングでき、高圧になっても外れないのでお気に入りです。ディスクホイール仕様のバイクは横カムモデルのフロアポンプで入れますが、スポークホイールは20年以上縦カムのモデルを使っています。新しいフロアポンプを使う前に、付いているアダプターを外して、ヒラメのホースヘッドへの交換作業をします。ショップでフロアポンプをおさがしのお客様にはレンコンプレサーとヒラメの組み合せをお薦めしています。居合わせると、テフロンコーティングとか、ヒラメの交換チューニング作業をしちゃいますね。

 

アダプターの付いているホースの先端をカッターナイフで切って、内側にゴム系ボンドを塗って、水道ホースを蛇口などに止めるホースバンドをホームセンターなどで手にいれて通して、ヒラメのホースヘッドのさし込む部分にもゴム系ボンドを塗って版画脇にしてから、ホースの先端へ差し込んで、クランプバンドを締めて、その金具の余ったバンドの先端をニッパーで切って、電工テープを巻いて安全にします。

 

上級テクニックとしては空気圧メーターを分解して、針の軸や歯車の部分にテフロングリスを塗ってメーターの動きがスムーズになるようにします。メーターは10年とか20年も使っていると、空気圧を感知する小物の溶接部分が壊れることがあります。その場合はスペアパーツとの交換になります。とにかく快適な自転車生活を始めるなら、1万円ポンプを手に入れることです。ではでは。