クマさんのバイク専科

試乗の距離、まさかそれだけってことは・・・・!

 

ローラー台だけでなく、実際の走りでポジションをチェックしたいので、埼玉県の彩湖へ4ヶ月振りのOちゃんのフィッティングに行きました。そのとき、左奥にテーブルやイスを置いて、数台のカーボンバイクが置かれていて、1周やく5kmの彩湖の周回コースでは、その区間だけ低い攻撃的なフォームになったライダーが、行ったり来たりして、通過するごとにストロボがピカピカ光っていました。自転車雑誌の取材ではなさそうです。ネット上のスポーツバイク系の情報サイトの試乗取材みたいです。

 

一人のライダーが1周回るごとにバイクを乗り換えては、撮影を繰り返していました。ここのコースは5km弱です、まさかとは思いますが・・・・・・。立て掛けられているスポーツバイクの台数が多いし、彩湖のコースは3時間後には照明がないのでコースが暗くなるから、強力なヘッドライトがないと走れなくなります。ライトも用意してなさそうだし、と言う事は何台もの本格的に乗り込む試乗の時間はないのでは!、と思いました。今日は走りの撮影だけなのかもね。

 

だけどな〜、走りの撮影だけなら、わざわざ彩湖の5kmのコースを、テストライダーは新しいバイクに乗って1周してこないだろうな。まさか、平坦コースのここを1周しただけで試乗記事を書いているんじゃないでしょうね。2時間かけてOさんのフィッティングをしている間、取材の様子を見ていました。ウポーツバイクは、メーカーの開発スタッフが、カーボンフレームの企画や素材を選び、3D有限要素法によるデザインシミュレーションで設計して、テストピースのフレームの立ち上げ、ライダーが試乗して開発の方向性を決めて、生産プロトを製造、量産段階に入って、プロモーションを考えて、中には発売シーズン前にプロチームへの先行投入などもあります。

 

1モデルの開発には少なくとも1年から2年を費やして製品化されて市場へ投入されているはずです。輸入代理店にしたって広告料を払って製品紹介したり、プロモーション活動して、輸入したうちの1台をメディア向けにおろして試乗車に提供するわけです。プロのロードレースってだいたい150kmから240kmくらい。グランフォンドなどのロングライドイベントは160kmから200kmくらい。ヒルクライムだって20kmくらい走るわけですよね。

 

そこで使われる機材の試乗記事を書くテストライダーが、まさか試乗車に乗る時間が彩湖のコースを1周の5kmって事はないでしょうね。スポーツバイクのプロフィールを紹介する記事なら、そのメディアがオリジナルのテストライダーの乗った写真作りだけならいいけど、スポーツバイクを試乗して評価する形態をとる記事ならこれでいいわけないと思うけどな〜。もちろん、この撮影の後で、テストライダーがスポーツバイクを預かって、いつも走るコースへ持ち込んで、1台について、100km、200kmと走り込んで評価しているならいいけど。

 

試乗バイクをワンボックスカーに乗せて持ち帰って、段ボールに収めてメーカーへ送り返しているとしたら、サイトの試乗記事を信じているひとにはひじょうに残念な気がします。でも、サイトを見ているひとは、そんなちょい乗りの試乗記事を読んだとしても、このバックボーンの薄っぺらい状況を見抜くのではないでしょうか。アメリカの自転車雑誌のバイヤーズガイド的な徹底試乗記事とはまったく質が違いますね。確かに多数のスポーツバイクのプロフィールをしっかり探ろうとすれば、人件費も手間も時間も経費もかかります。できないのならちょい乗りとか、ミニインプレくらいのタイトルでも付ければいいのにね。

 

サイトの運営者は、広告バナーのクライアントとのバーター記事、新製品の紹介くらいにしか思っていないのかも知れません。この前のブルックスのゴム製サドルの試乗記事にも、その時ブルックスのゴム系サドルの乗り味と似ていると紹介されていたのが、丸い断面のサンマルコのリーガルと、フラットな断面のセライタリアの旧型のフライトのサドルでした。3つの形状はまったく違うし、乗り味が同系統という分類にもあきれたな〜。もし、この平坦コース1周の走り、この状況が試乗記事の原稿の素だとしたらどうなんでしょう?。サイクルショーの試乗会じゃないんだから、確かにまたいで乗ってはいたけどね。ではでは。