クマさんのバイク専科

Ωのスピードマスターをメンテしてもらって1年経過!

 

手に入れて20年も愛用しているΩのスピードマスターの自動巻のモデルです。アポロのオペレーションにも積み込まれた有名な機械式時計です。自動巻のフライホイールを組み込んだモデルは、それまでのスピードマスターのパッケージに、ビジネスマン向けに自動巻きの機構を無理矢理押し込んだ本体を開発して組み立てた構造のため、宇宙に行ったリューズのみの手巻きモデルと比較して、機械の耐久力やメンテナンス性に、やや課題のあるモデルだそうです。

 

リューズでゼンマイをフルに巻き上げると、パワーリーザーブは3日分になり、腕に着けて動いていればリューズでの巻きは必要ないようです。ユーザーなのにそういうプロフィールをぜんぜん知りませんでした。トライアスロンのトレーニングの指導中に、振った腕からすっ飛んで、しこたまアスファルト道路にヒットして、風防はヒビが入るは、針の位置はずれるはの、凄い状況になりました。銀座にあるΩの代理店のラボへ持ち込んで、スタッフに壊れた時計を預けて修理費の見積もりを作ってもらい、金額を見て驚きました。国産の立派なダイバーズウオッチやクロノグラフを買える金額だったので。地元のスーパーに出店している時計屋さんで、電池式のアナログ時計を買って、そのままスピードマスターをしまい込んでいました。

 

昨年、機械時計技師のTさんにスピードマスターをオーバーホールしてもらって驚きました。カナダかアメリカのデューティーフリーショッパーズで手に入れた時の記憶では、機械式の時計独特の、チチチチという音がしていました。リューズでゼンマイを巻く時のチャリチャリという音もしていました。親父が研究論文に運輸大臣賞をいただき、機械式時計が副賞で付いてきたのを譲ってもらったのが機械式時計を手に入れた最初でしたが、それ以来の機械式時計でした。要するに、これが機械式時計と感じさせる音や感触だと思い込んでいました。

 

もちろん、買ったその日から腕に着けて時間を刻み始め、自動巻とは言え、3日に1度はゼンマイを巻いて、ちょっと面倒くさいなと思いつつ、ストップウオッチ、タキメーターなどの、クロノグラフの機能を使いこなすトレーニングもしました。しかし、当時はめちゃくちゃな使い方をしていた事を思い出しました。防水性に関して過信していました。機械式時計のストップウオッチのボタンの操作、ゼンマイを巻くリューズの操作など、水に対する無防備な使い方をしていたようです。

 

しかも、真夏のトレーニングのときは汗だくでストップウオッチの操作ですから最悪の状況ですね。とにかくデジタルのセイコーの高価なストップウオッチより、アナログの秒針の動きは、目標タイムまでの残り時間が見える化できて便利でした。1年、2年と使ってみて、トレーニングや周回レースの差を計るのに、アナログ時計の良さを実感しました。トレーニングに欠かせない時計になった頃に壊れてしまってショックはありましたが、修理代のあまりの高さに驚きました。

 

よくよく代理店のラボのスタッフの話を聞いてみると、数年に1度という、Ωの機械式の時計のオーバーホールも、修理でなくてもかなりかかる事が分かりました。Tさんは憧れのIWCの機械式時計を愛用しています。腕の時計に耳を近づけると、あのチチチっと言う音が聞こえると思いましたが、もの凄く静かなのです。秒針はしっかり秒を刻んで動いています。この機械式時計の静けさがイメージと違っていてまったく理解できませんでした。まるで電池式のモーターで動いている時計のようです。

 

今、スピードマスターは分解して、洗浄液の入ったパレットにパーツが浸かっているという中間報告を受けました。消耗しているパーツをΩから取り寄せて交換してくれるそうです。割れた風防もまだスペアがあったそうです。数ヶ月して仕上がった時計には伸縮するバンドが付けられていました。時計を振ると自動巻のフライホイールが動いているシャーシャーという音がしました。リューズでゼンマイを巻いてみて、抵抗感がなくスムーズな動きに驚きました。ストップウオッチのスタートボタンも引っ掛かりなく押せて、秒針がスススっと動き始めました。

 

ところが、時計を耳に近づけてみても、あのチチチという機械音が聞こえて来ません。テンプがゼンマイで動く音も聞こえて来ません。静か〜に機械式時計が動いているだけです。新品の時より音が静かで驚きました、これは凄いです。機械式の時計ってこういうものだったんだ。そして、1年経過してもその静けさは続いています。Tさんありがとう。

 

しかし、なんで機械式時計に憧れるのかな、ボクの好みではIWCのビンテージがカッコいいと思うけど、最近のモデルならセイコーのプレサージュのパワーリザーブメーター付きのデザインが好きです。これなら貧乏なボクでも頑張れば手を出せそうだし、グランドセイコーは確かに重厚だけど、クラウンとプレジデントくらいのイメージの差があって、使いこなせない感じす。なんか自転車を何台も持つひと、持ちたいひとの心理に通じるものがあるのかな。ではでは。