クマさんのバイク専科

カカトを上げて踏み込んでいませんか?

 

ペダリングする脚を真横から見ると、クランクの位置を時計の文字盤に例えると、クランクが12時の位置を少し過ぎてから、6時頃の位置まで、脚を伸展させながらカカトを上げて、つま先立ちでクランクを踏み込んでいるライダーがいませんか。横に並んで走って脚の動きをチェックしても、ぱっと見た目は、下死点を過ぎた足が、上死点へ向かって移動する脚の屈曲が始まると、足の裏の角度が変わり、カカトが自然に上がるので、踏み込みのフェーズでカカトを上げている動作に気付きにくく、下死点近くで脚を伸展しても、カカトが上がった分だけ、膝関節が深く曲がっているので、サドルの高さは適正に見えてしまいがちです。

 

足の裏の角度が極端に前下がりの状態で踏み込んでいるライダーは、足の親指の根元の関節、カカトよりの骨の先端「母指球」の位置と、ペダルのシャフトの中心の位置関係を、ペダリングしながら足の角度を変えて、踏み込む足を安定させようという動作です。カカトを上げて足を傾けると、母指球の位置はペダルシャフトの中心より前に移動します。クリートの位置を後ろへ移動したような効果になります。踏み込む脚が安定します。それを自然にペダリングの動作として、上死点を通過した足のカカトを上げる動作になっているのです。

 

カカトを上げると、確かに踏み込む足は安定するのですが、つま先立ちの状態になるので、すねやふくらはぎの筋肉で、つま先立ちの状態を支える事になるので、長くつま先立ちのペダリングを続けると、ストレスが膝から下の筋肉に集中してしまいます。では、自然にカカトが上がったペダリングをしているライダーはどうすればいいのか。クリートの位置を後ろへ引いて、ペダル軸の中心の位置より、母指球の位置を1mmから3mm前へ移動して、踏み込む足を安定させてやればいいのです。正バイクシューズのソールの設計によっては、クリートを最適な位置へ引けない場合があります。

 

最新のバイクシューズのソールは、クリートを固定するねじ穴の位置を後ろに移動できるようになっているモデルが登場しています。これは、もっと後ろにクリートを引いて踏み込み足を安定させたい、膝から下の筋肉群へのストレスを軽減いたい設定にしたいという、選手からの要望で設計変更されたそうです。カカトが上がったペダリングの原因は他にも考えられます。サドルが高過ぎると、下死点近くで脚が伸展されて、上死点へ向けた脚の屈曲の動作に移りやすいように、膝関節の曲がりに余裕を持たせようと、カカトを上げて足を踏み下ろしている場合があります。

 

元気なうちは継続できますが、疲れが膝から下の支えていた筋肉に集中して、スムーズにペダリングできなくなったり、膝関節の裏側にストレスが発生したり、痛みが発生することがあります。寒い季節は特に危険です。サドルの高さを確認してください。シートチューブの延長線上にクランクを止めて、脚を真っすぐに伸展させたとき、踏み込んだ足の甲が水平になる高さに調整します。平地やタイムトライアルなどの1時間前後をターゲットにしていると、サドルが低いと感じるライダーがいると思います。

 

このサドルの高さに設定していないと、疲れた時にクランクを回して踏み下ろせなくなります。踏み込んでも膝関節への負担も抑える事ができる高さです。最初は低く感じて大腿四頭筋の内側や太ももの外側の長脛靱帯と擦れる部分へもっと真っ直ぐに伸ばしたいとストレスを感じます。

 

それでも、3ヶ月くらい我慢して走ると慣れてきます。そのサドルの高さが長く走っても膝関節や筋肉や靱帯などにストレスが集中しない、故障を起こしにくい高さで、平地、上り、下りなどオールラウンドな設定ということが理解できると思います。平地ばかり踏み込んで走っていたり、走行時間が短く頑張れる範囲だと、ペダリングしていて踏み下げたときに脚をもっと伸ばしたくなります。そこでサドルを上げたくなるのです。その誘惑に負けてしまうライダーは多いと思います。でも、ツールやジロを走っている選手のバイクのサドルの上がり方や、ステムとの落差の大きさに注目するだけでなく、下死点になった時の膝のゆったりした曲がり具合もしっかり見てください。

 

サドルの高過ぎは、脚の故障に直結するというデータがあるので注意しましょう。特に冬の間は軽いギヤ比でケイデンスを100回から90回転して、ウオーミングアップを30分間くらい設定して、筋温が1度か2度ほど上がって薄ら汗をかいて、筋肉も動かしやすくなって、関節の潤滑が巧く行ってから踏み始めましょう。ではでは。