クマさんのバイク専科

プロ野球中継の革命が起こった!

 

映像や文字や音声で情報を得るメディアや有料コンテンツに何を選ぶか、当然身近なモノが選ばれるに決まっています。電話が進化して、持ち歩けるようになって、だいたい日本中どこでもつながるようになって、メールも写真も動画も送れるようになりました。エリアは限られますがワンセグテレビも見られるし、ゲームもできて、パソコンとしての機能も盛り込まれて、インターネット環境へアクセスできて、ラジオやテレビもどこでも見れるようになりました。マルチ機能の端末は「スマホ」と呼ばれて身近なものとなりました.正にパソコンのユビキタス化が実現しました。

 

人気のスポーツコンテンツは有料サイトが取り扱うモノとなりました。競技統括団体は放映権料という莫大な収入を得る代わりに、放映権料を払った側に権利ビジネスをコントロールされることになります。NTTと契約したダゾンはスポーツ放映権に莫大な投資をして囲い込みをしている最中で、現在は赤字の状況です。Jリーグの配信権利を失ったスカパーは25万人のユーザーを失いました。放映権ビジネスにとって危機的状況です。ジロの放映権も失って、自転車レースイコールスカパーという図式も崩れかけています。民間企業による権利ビジネスの競争が、会社の生き残りをかけて始まっています。

 

あらゆる人気スポーツコンテンツの独占的な囲い込みに成功した企業は、果たして安い費用で配信を続けてくれるでしょうか?。特定会社の移動体通信のスマホだけじゃなくて、好きなスポーツを落ち着いて大きないい画面で見たい人もそういう配信会社やケーブルテレビなどと契約することになります。TBSラジオのプロ野球中継からの撤退は、12球団の内11球団がダゾーと契約したことが関係していました。契約しなかった読売巨人軍は親会社がメディアですから、自分の首を絞めるようなことになると思って現在は契約を止めたのでしょう。だけど対戦相手は全て契約しているのだから話は複雑です。現在も交渉中だそうです。

 

2020年に五輪の東京開催が決まっていてなんですが。冬期や夏期のオリンピックの開催意義って、今後問われると思いますね。オリンピックにプロ選手が参加できるようになったとき以上の変化が起こっている気がします。つまり、巨大化したオリンピックの開催そのものが問われる時がきているということです。開催できる経済力と治安の良さなどの環境が整わない国での開催が困難なことがはっきりしてきて、オリンピック誘致や開催の意義、国民の税金を投入するのですから説明や納得が得られるかということが問われる時代になっています。

 

韓国の次の時オリンピックは同じアジアの中国の北京です。ヨーロッパや北アメリカでのウインタースポーツのユーザーが多い国でも、膨大な開催経費のツケが国民に回ることを警戒して、開催のコンセンサスが得られないということなのでしょう。1兆円から2兆円もスポーツ振興にけるより、国民の福祉を重視しろという国が多くなっています。特に冬期オリンピックの開催は、放映権やスポンサー収入が少なく、一時的な観光収入や建築などの需要が増えて経済効果もありますが、長野オリンピックですらまだその債務を引きずっているのが現状で、冬期オリンピックは開催国の赤字が常態化しています。IOC により夏季大会の開催地が2大会同時に決定されたことなども危機感を感じさせます。

 

日本でもスポーツコンテンツの淘汰の流れを感じさせる出来事がTBSラジオのプロ野球中継からの撤退です。TBS専属だったプロ野球解説者が登場する撤退記念番組が放送されていました。TBS ラジオはプロ野球に対してスポーツコンテンツとして戦力外通知を突きつけたわけです。日本のプロ野球も、いい選手の海外流出が続き、MLBの日本人選手登場試合のリアルタイム放映が増えて、ドメスティックな野球よりメジャーリーグのベースボールのパワフルさ、面白さや凄さ、移籍した日本人トッププレーヤーの活躍のワクワク感を知ってしまい、スポーツエンターテインメントとして負けているのかも。

 

メジャーリーグも、F1 NBAプロバスケット、アイスホッケーリーグ、プロフィットボール、エアレース、プロ自転車レース、各国のクラブチームサッカーリーグなど、凄いコンテンツがいっぱい存在します。その中でもテレビネットワークが作り出したXゲームなど、日本ではまだまだメジャーな扱いではなくても、世界ではトップと認識されたコンテンツが存在するわけです。激戦区になっていることは間違いありません。TBSラジオの撤退、でもプロ野球に代わって広告クライアントを引き付けるコンテンツが早々簡単に見つかるでしょうか。Jリーグの試合が放送されていますか?。時々ワールドカップ予選が放送されるくらいです。自転車レースなんてロードレースはもちろんですが、競輪主催者が広告クライアントになりそうな、競輪のG1クラスでもあまり聴いたことがありません。数字の稼げるラジオに適したスポーツコンテンツってあるのかな。テレビとの相乗りコンテンツで巧く行っているのってのもあまり聴いたこと無いし、ラジオはリスナーの想像力を動員して可能性のあるモノだとは思うけど、映像がないだけに、ビジネス的には本当に厳しい局面に直面していますね。

 

プロ野球中継は、日本プロ野球機構に放映や放送権料を支払って放送することが、広告主の獲得が難しくなったのと、広告料収入と放送製作経費との収支バランスがとれなくなっていたようです。地方球場での開催では地方のネット局との協同製作になったりしていましたが、誰がラジオを聞いているのという聴取率の低迷も拍車をかけて、軒並みラジオは広告収入が低迷しています。深夜放送全盛期の昔みたいに、東京の100kwクラスの広いエリアを誇るキー局が、オールラウンダーとして頑張れる状況ではないということです。

 

もちろん、テレビのデジタルの地上波もスポンサー収入も激減して、というより、BSCS、インターネット系などのメディアが増えて、コンテンツも専門化、細分化していることも広告料の分散を起こし、放送局の収入の減った原因でしょう。民間放送局の番組製作の原資となる広告収入は危機的状況になっているようです。大きな資金が必要な番組制作には、数字を稼げるオリジナル番組を作れるか作れないかがかかっています。自前でアナウンサーや放送技術者を育成できる状況でもないようです。必ずお魚がいる状況でないと資金をつぎ込めないので、当たったドラマのあの手この手のシリーズ化が決まります。

 

速報性と信頼性を確保しなければならないニュース番組だって、ドラマ製作だって放送局にとって大きな賭けです。ましてや原資の小さいラジオ局は番組制作費に限りがあり、資金投入は効率性を高める必要があります。プロ野球シーズンの関東地区のラジオを聞けば、夕方はどの局も12球団の6試合のいずれかのカードのナイター中継でした。プロ野球中継をどの年代のどのくらいのひとが聴いて、広告効果があったのか。民放のテレビ局は地上波デジタルのプロ野球中継のコンテンツから、ぽつりぽつりと撤退して、野球の好きな人はBS かケーブルテレビと契約して、贔屓のチームの放送を視聴するようになりました。

 

果たしてAMFMのラジオは誰が聴いているのか。これはカウントがとても難しい状況になっています。スマホとかパソコンとかでも聴けるようになっていますが、その広告効果がまったく見えてきません。そういうものに広告クライアントが簡単に「うん」と言うはずがありません。広告代理店も困っているでしょうし、広告収入で営業している放送局も、始まって以来の苦しい場面を迎えていることが、今回のプロ野球中継撤退劇でも深刻さがひしひしと伝わってきます。情報コンテンツの多様化がテレビもラジオも対応して変化をせざるを得ない状況を生み出していますね。

 

プロスポーツリーグ側も少子化して人口が減少することは明白ですから、楽しんで見てもらうひと、応援してくれるひとを作って行く努力をいないと継続していけない時代がやってきています。だいたいプレイヤーそのものも少なくなればハイレベルのプレイヤーの排出が難しくなると思います。育成も組織的に行うことも必要です。スポーツコンテンツとして継続するには競技団体も個人も、ヘッドスタッフがドメスティックやグローバルな状況を把握して、相当の努力をすることが必要な時代になっています。ジロやツールは日本でどうなるのかな。もっと気軽に見れるようになるといいですね。ではでは。