クマさんのバイク専科

カーボンソールを加工してクリートの位置を下げた効果!

 

マヴィックのトライアスロンモデルを使い始めて2足目の1年ものと、新品の3足目を慣らし運転しようと思っています。もともとマヴィックのバイクシューズのクリートを固定する穴は、5mm以上前後へ移動できる構造でした。適度なしなりのある薄いカーボンソールの3つの楕円の穴を、2足とも、今、流行のクリートを後ろへ引ける構造に加工しました。金ヤスリでカーボンソールを後ろへ5mm削って広げ、7mm台の薄いカーボンソールの中に収まっている、ブーメラン型の3穴の雌ネジが切られたチタン合金製の金具を、歯科医療用のグラインダーで削る加工をして、1足に4時間ほどかけてクリートの固定値を後ろに固定できるようにしました。

 

加工後は、シマノのSPD-SLの黄色い、キャッチ後も足を6度動かせる、フローティングタイプのクリートを、ストック状態のソールより5mm後ろへ引けるようにしました。その効果は、上死点を越えて踏み込んでいる足の傾斜の時に、ペダルシャフトの中心の位置を、親指の根元の母指球の位置より、3mm から4mm後ろにセットできました。ペダルシャフトの中心の位置の一般的な設定は、ペダルシャフトの中心と、母指球という骨の先端と一致させる設定が推奨されています。足首の動きで、クランクにセットされたペダル軸が描く円の、接線方向へ足を踏む力の方向を微妙に変えて、クランクの長さをそのまま生かそうとする、効率良くクランクを踏み込んで回す高度なペダリングテクニックを実現する設定です。

 

足首の動かしながらパワーを伝えるために、膝から下のふくらはぎやすねの筋肉にストレスのかかる設定です。母指球の後ろにペダルシャフトの中心がくる設定は、足首の動きは制約されますが、膝から下の筋肉で足首を強く支えなくていいし、クランクを踏み込む足を安定する設定です。ペダルシャフトの中心から、バイクシューズの中の足の裏までの距離が短い設定も、シマノがトウクリップ&ストラップのペダルの時代から、ダイレクトドライブ(DDペダル)という、ペダルシャフトの中心から足の裏までの距離をほとんど無くしたり、足の裏の位置を低く設定した構造を、いち早く提唱した足の安定化を狙った製品でした。

 

ペダリングダイナミクスというペダリングの解析の成果を反映した、ペダルシャフトの中心と足の裏までの距離を近づける、ロープロファイル化という、踏み込む足を安定させる効果がある構造です。そのノウハウは後のビンディングペダル開発にも盛り込まれて、現在のSPD-SLにも採用されています。ペダルシャフトの中心を後ろに引けるクリートの位置の設定を可能にする構造も、踏み込む足が安定化します。ペダルシャフトの中心の位置を、それまでも、1mm単位くらいで移動すると、足を踏み込む感覚が変わります。爪先寄りに移動すれば足首の動きを反映して、接線方向に力を入れやすくなりますが、ふくらはぎやすねの筋肉で支え、アキレス腱などに強いストレスを感じるライダーもいます。長く走ると疲れが集中して踏めなくなったり、カカトが下がったペダリングになったり、筋肉のケイレンの原因なったり、膝関節が痛むこともあります。

 

カカト寄りにペダルシャフトの位置が移動すると、足首の動きは反映されにくくなりますが、踏み込む足は安定して脚のパワーをダイレクトに伝えるようになります。Mm単位の移動ではっきり踏み味が変化します。ペダルシャフトの中心の位置がストック状態のバイクシューズより、5mmくらい後ろへ引けることが、どれほどの効果を生むかは分かりませんでしたが、先週のマジカルミステリーツアーから使い始めました。マヴィックのカーボンソールは薄いことで知られ、シマノのビンディングペダルが提唱するロープロファイル化による、踏み込む足の安定化を実現するものです。クリートを5mm後ろへ引けるようになって、さらに足が安定していい感じになるか、それとも足の動きに違和感を感じるかです。

 

問題は左脚の上死点通過後の伸展から、下死点を通過した後の上死点へ戻す屈曲の時の脚のひねりの動作です。普段から苦労しているのがここで、キャッチ&リリースしやすいクリートの取り付け角度にセットすると、ペダリング中に膝関節に違和感が発生したり、痛みが発生することがあるのです。当然、調子のいい設定の時のクリートの全周を囲むように、ホワイトの修正ペンで印を付けていても、クリートの交換の時に、元の位置へぴったり設定できないこともあります。今回のカーボンソールの改造後のクリートの位置の設定でもトラブリました。

 

mm以下の誤差でペダリング中に違和感が発生するのです、これはペダリングしながらの修正が必要で厄介です。マジカルミステリーツーの走り出しですぐに違和感があって、最初の休憩までにどう修正したらいいかを考えながら走って、止まってから確信を持ってカカトが外に開くように1mm以下の微調整をして、違和感を解消できました。あ〜スッキリした。バイクシューズ選びでは、アッパーと足のどこも当たらないフット感の他にも、クリートの位置をどこまで後ろへ移動できるかや、ソールの薄さにも注目してください。ビンディングペダル選び以上に踏み味が変わる要素です。

 

加工したバイクシューズを使い始めました。左足をビンディングペダルへセットする時に、少しキャッチされる位置は足を踏み面へ乗せてから動かして探しますが、カカトが少し開く位置にクリートを設定すると、ペダリングする脚に違和感が発生しなくなります。クリートの位置にして1mm以下の移動幅で違和感が発生するので、左脚のクリートの取り付け角度の設定は神経質になります。ストック状態より5mm後ろに引いたクリートの設定は、踏み込むときに足の角度を支える、膝関節から下の筋肉にかかるストレスがはっきり低下しました。足が安定した感じ、これはロードレースだけでなく、トラアスロンやロングライドやブルベなど、長く走る時にも脚が疲れにくくて有効です。

 

もっと足を安定化させて踏み込んでパワーを発揮したいという、プロ選手の要望でメーカーが改善して実現したという、カーボンソールのクリートを固定するネジ穴の位置が、後ろに移動できるようになった構造は、各バイクシューズメーカーが採用するようになっています。特にシマノやスコットは、かなり引けるようになっています。mm単位のクリートの位置の差でも大きな踏み味の違いがあります。バイクシューズという、ライダーのパワーを主に伝えるバイクとのインターフェースを交換して、踏み込む足の安定化によるメリットを試してみませんか。ではでは。