クマさんのバイク専科

コリマの旧型エアロリムホイール組み直し!

フランスのコリマはカーボン繊維成型技術に長けたメーカーです。精度やバランスが要求されるヘリコプターのカーボンローターの製造も手がけているそうです。自転車パーツではカーボンホイールやカーボンフレームやシートポストなどを製造しています。カーボンリム単体をチェックしてみると、しっかりした剛性や強度が確保されていて、回転体としての重量バランスもよく、高速回転になってもワウフラッターによるエネルギーロスが少ないホイールに仕上がります。コリマはカーボンリムの完組みホイールをリリースしてますが、アフターマーケット用にカーボンリム単体でも供給しています。

 

コリマの製品で使った経験があるのは、前後輪の4スポークのバトンホイール、後輪の24本スポークの40mmハイトで20mm幅。後輪の350gのカーボンエアロリム、36本スポークの50mmハイトでワイド化した24、2mm幅、365gのカーボンエアロリム。前輪の32本スポークの35mmハイトで24、3mm幅、345gのカーボンロープロファイルリム。前輪の32本スポークの25mmハイトで20mm幅、335gのカーボンウイニウムリムのチューブラータイヤ仕様です。各社に先行してリリースしたクリンチャーカーボンリムもありました。

 

踏み出しが軽く、エアロ効果も期待できて、しかも踏み込んだ足へのダメージが少ないので、40mmハイトで20mm幅、340gのカーボンエロリムのリヤホイールを組み直すことにしました。そのまま継続して使おうと、振れ取りしようとするとサピムのCXレイエアロスポークとアルミ合金ニップルがサビて固着していて、回らなくなっている部分がありました。コリマのホイールはニップルがリムに内蔵されている構造です。カンパニョーロの棒状のニップル回しをリムないに差し込んで、逆さにねじ込まれているニップルの四角い部分に差し込んで回します。エアロスポークを回らないように工具で押さえ、ニップルを回そうとすると、固着していたニップルの先端が折れてしまいました。

 

こうなるとステンレス製のエアロスポークをケーブルカッターで切って、ホイールを分解して、新しいエアロスポークとアルミニップルで組み直すしかありません。サピムのCXレイは10本売りなので、フリー側4本交差で274mmを20本、反フリー側4本交差で276mmのブラック仕様を20本手に入れました。アルミ合金製のニップルは付いてきます。ハブはカンパニョーロの旧型のフリーハブで、アルミ合金シャフトに切り替わった最初のモデルで、基本構造は現在の単体ハブと完組みホイールのハブと同じカップ&コーン構造です。ハブの回転部はスチール製ボールのリテーナー入りのカップ&コーン形式で、ハブの回転は歴代のカンパニョーロの中でもかなりスムースです。

 

アルミ合金製シャフトは強度を確保するために大口径に設計変更され、太いハブ軸を収めるためにハブボディも当然太くなっています。フリーボディは9.10.11段対応のカンパニョーロ仕様のアルミ合金製で、中にシールドベアリングが圧入されています。ハブのフランジはスモールサイズで、スポークホール数は24穴です。スポークをハブの穴に通して、バルブ穴付近から通し始めます。空気を入れやすいように、バルブ口の隣りのスポークどうしが平行になるように通します。駆動方向を確認して、フリー側はフランジの外側から出たスポークが後方に行くように組みます。反フリー側もフランジの外側から出たスポークが後方に行くように組みます。いわゆるイタリア組みです。

 

ニップルの四角い部分をカンパニョーロのニップル工具の先端に差し込んで、カーボンリムの中に差し込んで、逆向きにしたニップルをスポークの先端へねじ込みます。ネジ込んだニップルの感触を手で感じながら4回転、同じ回数だけ全てのニップルを締め込みます。これで仮組みが終了です。縦ブレと横ブレを同時にとりながら10分の1mmまで追い込んで、ホイールセンターゲージを当ててセンターをチェックしながら、フリー側とハンフリー側のスポークのテンションを2分の1回転単位でニップルを回して調整します。ホイールのセンターも左右の振れも10分の1mmの範囲に調整しました。

 

エアロスポークはニップルを締めて行くとよじれてしまうので、ニップルを少し締め過ぎのとこまで回して、よじれを無くすために戻す操作をして、スポークのよじれが残らないように組み上げれば、ホイールは完成です。横方向からストレスをかけて馴染みを出す方法は実施しません。後は実際にバイクへ取り付けて50km、100kmと走って馴染みを出して、小さな振れを修正して仕上げて行きます。ニップルとスポーク、ニップルとリムの馴染み、ハブのフランジとスポークのヘッドの馴染み、スポークが真っ直ぐになる馴染みが出れば振れが出にくくなります。

 

リムやスポークやハブを選んで、走りの特性に合わせた手組みのオーダーホイールは、ある性能を目指してリム、ハブ、スポークがオリジナル設計の完組みホイールと同じように魅力的です。手組見ホイールは、しなやかな乗り味ならジョバン二の木リムホイールがありますし、ロープロファイルカーボンリムならコリマの35mmがあり、エアロリムなラコリマのエアロリムがあります。中にはスポークホール数が24穴から36穴まで用意されているモデルもあります。完組みホイールと同じような感じで検討してみてください。スポーツバイクつくばマツナガには腕っこきのホイールビルダーがいますから、安心して任せられますよ。ではでは。