クマさんのバイク専科

チューブの材質と空気圧で制動距離と乗り心地が変わる!

 

クリンチャータイヤは組み合わせるチューブの材質と空気圧の設定で、バイクの乗り心地が大きく変わります。空気は抜けやすいけどしなやかなラテックスチューブ、空気が抜けにくいけど硬めのブチルチューブがあります。チューブの材質と空気圧はタイヤのショック吸収性や、しなやかな乗り心地に直結します。グリップ力や転がり抵抗やショック吸収性など、そのタイヤ本来の性能を発揮できるのがメーカーの推奨空気圧で、体重に合った設定を探すと、乗り味が変わります。

 

気になる耐リム打ちパンク性能は、タイヤの重さや、チューブの厚さによる重さの違いではっきりパンクの可能性に差が出ます。パンクしにくくするにはラテックス系や軽量モデルを避けて、重くても肉厚のあるチューブの採用が必須です。耐貫通パンク性能はトレッドゴムの厚さやケブラーベルトのトレッドゴム下への採用など、耐パンクブレーカーが採用されているかで違います。タイヤ本体のコードやトレッドゴムが切れてしまうカットパンクは、トレッドゴムの材質や厚さ、ハイテンションナイロン、ポリコットン、ケブラーなど、タイヤカーカスのコードの素材や太さによって差が出ます。

 

簡単にチューブの材質の違いや空気圧による乗り心地の違いを体験したければ、23mmか25mmのいずれかの太さのクリンチャータイヤと、太さに対応するブチルチューブとラテックスチューブを用意して試乗してみましょう。タイヤにブチルチューブをリムにセットして、メータ付きのフロアポンプで7気圧に設定します。フルブレーキングしてチューブの材質の違いと、設定空気圧の変化で、まず、ブレーキングを開始して停止するまでの制動距離の変化をテストします。1m間隔で小型のパイロンを置いてスラローム走行すると、安心してバイクを左右に操れるかで、グリップ力やハンドリングへの応答性を確認できます。

 

時速30kmで直線を走ってきて、目標のラインを前輪の先端が越えたら、左右のブレーキレバーを引いて、後輪タイヤをスリップさせないようにブレーキレバーを引く力をコントロールしながら、最短距離で止まるようにフルブレーキングします。1つの条件で、10本フルブレーキングして、そのデータの一番長いのと短いデータを外して、8本の平均制動距離を出します。0、5気圧低下させて10本、0、5気圧上げて10本フルブレーキングして、8本の平均制動距離を出して、ブチルチューブとラテックスチューブのデータを比較します。

 

タイヤは同じで、チューブをラテックスに交換して7気圧に設定します。時速30kmで直線を走ってきて、目標のラインを前輪の先端が越えたら、左右のブレーキレバーを引いて、後輪をスリップさせないように引く力をコントロールしながらフルブレーキングします。10本フルブレーキングして最短と最長のデータを外し、8本の平均制動距離を出します。0、5気圧低下させて10本、0、5気圧上げて10本フルブレーキングして、6つ条件のデータの平均制動距離を出して比較します。

 

本来、クリンチャータイヤは変形しにくいブチルチューブとの組み合せで開発設計されています。ハイグリップのトレッドゴムを採用、タイヤが変形しにくい高圧設定のタイヤで、高いグリップ力と、制動距離の短さを発揮します。しなやかなラテックスチューブと、低目の空気圧の設定で、ブレーキングを開始すると、タイヤのトレッドゴムが接している路面に引っ張られて、しなやかなラテックスチューブ採用や、空気圧設定が低いと。ブレーキングを開始すると、タイヤサイドがしなやかで細かく波打つように変形して、路面へトレッドゴムを押し付ける力が逃げてしまうので、グリップ力を低下させたり、制動距離が伸びてしまいます。

 

ブチルチューブでも、空気圧を0、5mm下げるとタイヤサイドが細かくしわがよって波打つように変形して、ハイグリップのトレッドゴムを路面へ押し付ける力が逃げて、制動距離は少し伸びますが、バイクは安定して真っ直ぐに進んでくれます。ブチルチューブで0、5気圧上げると、この空気圧の変化の範囲なら、タイヤサイドの変形量が減って、トレッドゴムを路面へ押し付ける力が増して、制動距離が短くなる可能性もありますが、バイクの挙動のコントロールが難しくなります。

 

てしなやかなラテックスチューブで7気圧に設定して走ると、タイヤがしなやかに変形して、ショック吸収性が向上して乗り心地はよくなります。フルブレーキングすると、トレッドゴムの接地面積はわずかに増えていますが、動画をスロー再生すると、タイヤサイドが波打って変形して、路面にトレッドゴムを押し付ける力が分散されて、制動距離が伸びているのが分かります。でもバイクは真っ直ぐ進んでコントロールはしやすくなります。ラテックスチューブで0、5気圧下げるとショック吸収性はほとんど変わらず、さらに制動距離が伸びる傾向になります。中に入れるチューブの材質でタイヤの性能が大きく変わります。

 

チューブラータイヤのチューブの場合もチューブの材質の違いは、空気圧の0、5気圧の差以上の走行性能への影響があります。ラテックスチューブ入りと、ブチルチューブ入りのチューブラータイヤを走行テストすると、クリンチャータイヤと同じ傾向になります。ブチルチューブ仕様は乗り心地が硬く、ブレーキングではタイヤサイドの変形が小さく、路面にトレッドゴムを押し付けるので高いグリップ力を発揮して、制動距離は短くなります。ラテックスチューブ仕様は、路面へのタイヤの追従性がよく、少し荒れた舗装路面でもタイヤがしなやかに変形してトレッドゴムが路面と接して、安定したグリップ感を発揮するし、ショック吸収性も高くなります。しかし、タイヤサイドが変形して路面へトレッドゴムを押し付ける力は分散するので、制動距離は伸びる傾向になります。

 

空気圧を下げると接地面積が大きくなり、グリップ力が増すというのが一般的な常識という考え方でしたが、最近のタイヤは単純には通用しなくなっています。空気圧をドライコンディションの時より、0、2から0、5気圧低くして、タイヤの接地面積が増えても、高圧設定で設計されたハイグリップコンパウンドを採用していて、ブチルチューブの組み合わせで設計された最新のタイヤは、スムーズな舗装路での性能が追求されていて、空気圧を下げると乗り心地はマイルドになりますが、タイヤサイドの変形量が大きくなって、路面へトレッドゴムを押し付ける力が逃げてしまい、グリップ力が低下したり、制動距離が伸びてしまう傾向があります。ではでは。