クマさんのバイク専科

カンパニョーロの新型前後変速機

カンパニョーロのメカニカルの11段コンポーネントを、カーボン素材を採用しているデザインの自由度など、
初代から好きで使っているけど、エルゴパワーシフターは6万km走って3つ目となりました。
リヤ変速機は2つ目です。シマノの11段デュラエースやアルテグラと比較すると、
リヤのインデックス変速は大きな差を感じなかったけど、フロントの変速性能は大きな差があるなーと感じていました。
保証対象外になることを覚悟の自己責任で、カンパニョーロの11段メカニカルコンポーネントに、
シマノの11段チェーンホイールを組み合わせを試してみて、
フロントのインデックス変速の性能が向上したことでショックを受けたことがあります。

カンパニョーロはカーボン・インジェクション成型の4アームクランクになって、
フロントのインデックス変速性能がぐっとアップしたことをお知らせしたと思います。
分厚く幅広のアーム断面やクランクとの一体化デザインで4アームが剛性アップしました。
さらに、アウターチェーンリングとインナーチェーンリングのピッチサークルを変えて、
固定ピンから歯先までの距離を短縮して、アウターチェーンリングに力のかかる部分の幅を広げるなど、
チェーンリングのたわみを少なくしたことで、フロント変速機が誘導するチェーン移りをスムーズにすることができました。

それまでのPCD110mmのコンパクトドライブやPCD135mmのレーシングクランクでも、
5アームクランクでは、固定ピンから歯先までの距離が長く、
アウターチェーンリングの歯先の変形をチェーンリングの肉厚でも、構造的に抑えきれていなかったのでしょう。
しかも、変速性能を向上させるための、アウターチェーンリングの歯先形状の改善や裏側のスロープ、
チェーンを引き上げるスパイクピンも、チェーンリングの変形により、
毎年のように改良されても効果を発揮しきれていませんでした。

今まで毎年のように5アームカーボンクランクのチェーンリングだけがアップデートされて、
フロント変速性能がとっても良くなったかのようなセールストークがカタログに記載されていました。
しかし、シマノのフロント変速のスムーズさとの比較の前に、
同社の旧モデルとの比較でも変速性能の向上をボクは実感できませんでした。
シマノのフロント変速システムとの性能差を詰めるには、根本的にクランクとアーム、
チェーンリングの剛性アップが必要な段階に来ていると思いました。
変速メカの差ではないなと思いました。

そこに強化された4アームカーボンクランクのリリースです。
2015年モデルのカンパニョーロの模様替えは、カタログと現物のコンポーネントを見て、
フロントメカのスーパーレコードとレコードの上位グレードのチェーンケージの形状が変わり、
またもやカーボン化されています。
コーラスとアテナはアルミ合金かスチール製です。

リヤ変速機もシマノでいうBテンションボルトがアッパーボディに追加され、
アンダーボディのテンションスプリングの調整機構とともに、
スプロケットのワイドギヤ化への対応の柔軟性を確保しています。
カーボンパンタアームも新形状になって強化されていました。
カンパニョーロの旧型の10段や11段のフロント変速機は、
外側チェーンケージのカーボンの裏にアルミプレートを接着して破損対策を施したモデルを投入するなど、
苦労していた部分です。

当時のプロチームの中には、コーラスのフロント変速機の金属製チェーンケージを
黒く塗って採用していたところもありました。
限定販売モデルもフロントは金属製のチェーンケージでした。
2015年の新型になってエルゴパワーシフターも旧型11段変速機とは互換性が無くなったはずです。
フロント変速機のカーボン製のチェーンケージは、
新しい成型方法で剛性も強度も問題ないというインフォメーションがされています。
整備台の上で変速調整していても調子良く変速しています。

金属製のコーラスやアテナでも新型チェーンケージは変速性能を追求するために新しい複雑な形状になっていて、
アウターチェーンリングとアウターチェーンケージをセットする角度調整は微妙になりました。
アウターチェーンリングとの歯先とアウターチェーンケージの下端との間隔は
1mmから3mmまで調整して変速してみましたが、
2.5mmから3mmの広めの方がスムーズにチェーンが移りました。
しかし、最近のカンパニョーロははっきり言って
レーシングコンポーネントとしてどうなのかなという作りのところがありますね。

理由(言い訳)は何かあるんでしょうけど、リヤ変速機のストローク調整ボルトが細いアーレンキー式になって、
フロント変速機のストローク調整ボルトはプラスネジです。
リヤ変速機のストローク調整ボルトに泥でも詰まったら、
いちいち小さな六角穴を金属製の尖った棒でほじほじして泥をかきだし、
アーレンキーを差し込んで回して変速調整することになるんです。
前後で使う工具が違うメリットはなんですか、さすがにちぐはぐでおかしいでしょ。
でもこれがカンパの現実、キャンピーテックラボもう少し頑張って。ではでは。