クマさんのバイク専科

シマノの新旧リヤ変速機の実力!

 

シマノの旧型のデュラエース、アルテグラ、105の変速機は上ブラケットと下ブラケットの2カ所にテンションスプリングが採用された、ダブルテンションのメカニズムでした。スプロケットの歯数の組み合わせが変化しても、リヤディレーラーは、上下のテンションスプリングのバランスで、プーリーケージの動きと変速機本体の角度を自動的に調整して、上プーリーの位置を隠すプロケットの歯先との間隔を最適化すると同時に、チェーンのたるみを吸収できる構造です。新型はシャドーデザインのシングルテンションになりました。

 

シマノの旧型のダブルテンション構造は、チェーンを誘導する上プーリーと、スプロケットの歯先間隔を最適に保つ効果がありますが、常にドライブするチェーンに強いテンションがかかっていて、シングルテンションより抵抗が発生してドライブが重い傾向があります。シマノはダブルテンションと同時に、サンツアーがパテントを持っていた、パンタグラフ部分に傾斜をつけて、プーリーの動く角度をスプロケットの歯先の角度に合わせて斜めに内外へ移動する、スラントパンタメカニズムを組み合わせて、上プーリーのスプロケットの歯先への追従性を高めて変速性能を追求していました。

 

ロードコンポーネントのローギヤが28T、30T、32T、34Tと超ワイドスプロケット化して、ダブルテンション変速機のスラントパンタグラフの傾斜を変更するより、MTB コンポで採用していた、ワイドギヤに対応できて、歯数差の大きいチェーンテンションに対応できる、シャドーデザインのシングルテンション変速機へデザインを変更しました。シングルテンションの新型変速機は、デュラエースの最大使用可能歯数が30T、アルテグラと105は34Tのローギヤに対応しています。変速機のデザインは上ブラケットが2支点となりチェーンとの接触範囲が広がり伝達効率が高まっているそうです。新型はウエプーリートしたプーリートの間隔が開いたロングケージとなりました。

 

外装変速機のメカニズムの完成度という意味ではダブルテンションのスラントパンタメカニズムも、シャドーデザインも究極を追求したものですが、僕の頭の中ではカンパニョーロのシングルテンションの縦型変速機のグランスポーツ、レコード、ヌーボレコード、スーパーレコード、ヌーボスーパーレコード、コルサレコードがかっこいいなと思っていました。しかし、ロングケージにしても最大使用可能ローギヤの歯数は28Tくらいまでで、フロントの歯数差を大きく設定できませんでした。すぐにダブルテンション横型メカのロングケージのラリーがラインアップされます。

 

サンツアースランとパンター、シマノはサーボパンタで横型メカのでスタートして、後期モデルはいずれもダブルテンションメカでしたが、スプロケットの歯先への上プーリーの追従性が優れていたため、スプロケットのワイド化に対応するには最適な構造でした。当然のようにカンパニョーロも現在のモデルに近いダブルテンション化して行きます。130m mエンド幅に対応した、最新の12段のメカニカルモデルでは、11〜34Tのワイドスプロケット対応の、シャドーデザイン的な上2ピボットのシングルテンションの横型メカに移行しています。

 

新型105の50×34T、11〜34Tの組み合わせを試してみましたが、組み立て調整も比較的楽で、チェーンの最適な長さの決め方も問題なくクリアできました。変速もシマノらしくスムーズで、インナーギヤでトップギヤ側の上プーリーが歯先から離れる場面での変速を心配しましたが、もたつきもありませんでした。超ワイドギヤなのにスムーズでいい感じです。新型デュラエースの50×34Tと、11〜30Tの組み合わせも変速がスムーズでした。

 

ちなみに、メーカー推奨範囲外の使い方で保証対象外で自己責任での使用になりますが、ダブルテンションの旧型アルテグラの32Tローギヤ対応のロングケージモデルに、11×34Tのスプロケットのホイールをセットしましたが、チェーンは32Tに合わせた長さで、34T×34Tの組み合わせでチェーン詰まりによる音鳴りの発生もなく、Bテンションボルトで調整することなくインデックス変速しました。エンドの設計形状によっても違うと思いますが、旧型のアルテグラや105のロングケージのユーザーは、パーツ交換しなくても、11〜34Tのスプロケットを採用できるかもしれません。ではでは。