クマさんのバイク専科

メカニカルのインデックス変速のレスポンスを追求する!

 

昔はシマノのデュアルコントロールレバーのラチェット機構も専用工具を使って分解して、中に入った小砂利や金属粉の油汚れをクリーニングしたりグリスアップしました。カンパニョーロのエルゴパワーシフターもバラバラに分解してメンテナンスしていました。不具合が出たらスペアパーツを持っていて丸々交換してしまうのがベストなんですけど、たまたまスペアパーツを持っていなかったら、分解して不調の原因を見つけて解消することもあるので、どんなことが不調の原因になりやすいのかも探るために、バネを押さえる小物なども作って、分解と組み立ての手順を覚えました。

 

最近ではスモールパーツが細分化されて用意されない傾向になっていて、ある程度の塊のアッセンブルの状態での交換が普通になっています。それでも、例えばエルゴパワーシフターの構造を把握して、固定ネジをどっちに回すと緩むかとか、組み戻す時にどこにどの強度のネジロック剤を塗ってねじ込んで、どのくらいのトルクで締め込めばいいのか、リターンのバネをどう抑えて組み付けるかなど、スモールパーツのアッセンブル交換のディーラーズマニュアル程度の知識がないと対応できません。

 

カンパニョーロユーザーは少ないので、ショップのメカニックでも頻繁に接することは少なく、ディーラーズマニュアルを見たり分解図を確認しながら作業することもあります。バネやワッシャーをどう押さえたまま組み付けるとか、手がもう一本欲しくなることもあります。シフトレバーのラチェット機構を貫通して、ブラケットに取り付けるシャフトを、どの程度の力で締めると、スムーズにシフトレバーが動くのか、どの部分にどの粘度のグリスを塗るか、逆に塗ってはいけないかなど、複雑な構造で力が繰り返しかかるメカが詰まっているので、最高の調子に戻すには、なかなか面倒な部分があります。

 

旧型のエルゴパワーシフターの場合は、エルゴブレインというサイクルコンピューターのスイッチキットを、シフトケーブルの巻き取り部分へ組み込むので、必須の作業でしたから。シフトケーブルで前後の変速機を操るのがメカニカルのインデックス変速システムです。シマノは10段フリーと11段フリー、カンパニョーロは11段フリーと12段フリー、スラムは11段フリー用のロードコンポーネントがラインナップされています。シフトインナーケーブルを一旦固定して、たるみや張り過ぎを、マイクロアジャスターによる張りの調整で、フロント変速機のチェーンケージの位置や、リヤ変速機のプーリーの歯先の位置を、フリーのスプロケットやチェーンリングの歯先との位置関係を内外へ微調整して、インデックス変速のレスポンスを最適化して、音鳴りやチェーンが移動しかけるのを防ぐ構造です。

 

シフトインナーケーブルを張り過ぎると、フロント変速機ならチェーンケージがアウターギヤ側よりに移動します。フリーのローギヤとインナーギヤにチェーンが斜めにかかった状態で、内側のチェーンケージと接触してしまう可能性があります。シフトケーブルを張り過ぎると、リヤ変速機の場合、プーリーの歯先がわずかにローギヤ側に移動して、プーリーとチェーンの接触音が大きくなったり、チェーンの位置がスプロケットの歯先の中心からずれて、カリカリっとチェーンが音鳴りしたり、ローギヤ側の隣のスプロケットへチェーンが移ろうとしたり、実際にローギヤ側のスプロケットの歯先に移ろうとして戻ってくるような、変速不良状態に陥ります。

 

シフトケーブルを張り過ぎると、フロント変速のアウターギヤ側への上り変速は、シフトケーブルを引いて強制的に変速するので、ストローク調整ボルトのところまではチェーンケージが外側へ移動します。シフトケーブルを張り過ぎると、リヤ変速機の場合はローギヤ側への上り変速は、シフトケーブルを引いて強制的に変速するので、1クリック変速レバーを押して変速すると、隣のスプロケットへチェーンは移動しますが、プーリーの歯先がオーバーストローク気味ですから音鳴りなどが発生します。ローギヤに変速すると、ストローク調整ボルトの位置まで移動して、シフトケーブルが強く張った状態になります。縦方向にシフトアウターケーブルと、シフトインナーケーブルで構成されています。

 

アウターケーブルの長さによるアールをゆるく設定して、切り口はグラインダーで平らに仕上げ、中に通っているライナーチューブを千枚通しのような先端で丸く戻し、シリコンオイルをスプレーして中のグリスを流し、インナーケーブルの樹脂コーティングを攻撃しないグリスかシリコンオイルを塗って組み上げます。純正のライナーチューブ付きのカップを組み込んでアウターケーブルの切り口のフリクションを減らします。最近のフレームやハンドルバーはケーブル内蔵が多く、アウターケーブルの入り口などの曲がりが急でフリクションになることもあるので、組み付けの時になるべくアールが急にならないように注意します。シマノもカンパニョーロも、メカニカルはケーブルのフリクションや切り口を処理するカップに気を使っています。ではでは。