クマさんのバイク専科

電気屋さんプロなんだから頼みますよ!

電気は、いまは関東地方をテリトリーとする東京電力が茨城県のつくばのショップへ供給してくれています。
スポーツバイクつくばマツナガには、フレームを作る工房が1階にあるので、金属加工機械、
旋盤やフライス盤やボール盤が搬入されています。
機械を動かしているのは強力な単相モーターなので、専用の200Vの直流電源が必要なんですね。
一般家庭用の電気は100Vの交流電源です。
だからショップ内には100Vの配電盤と200Vの配電盤があって、
それぞれに過電流が流れた時に電気の流れをシャッタアウトして機材を守るブレーカーが付いています。

室内外の明かり、パソコンや冷蔵庫などを作動させるのは、一般家庭にも供給される100Vの電気です。
ところが工作機械は町工場などが使う営業用とも言える200Vの特殊な電圧の電気です。
最近話題になっているのが間近に迫った電力の自由化です。
何だか料金システムが複雑じゃないですか?。
電気の供給に色々な業態が参入するので、携帯電話やガスとリンクしていたり、
しかも家族割や長期契約や違約金の発生みたいなのも重なって、色々なことが連動して、
パンフレットを渡されても、内容が複雑過ぎて、この時期に決断して、
長期にわたって契約して損しないのか、ホントに良く分かりません。

すでに発表されている条件が本当にお得なのでしょうか?、
他の電力供給会社が、後だしじゃんけんみたいに条件提示が行われて、話題になっています。
そんな競争の中に200Vの電気の契約も、お得ですよ、電力の供給の契約を見直しましょうという動きの1つなんでしょう。
東京電力の子会社が実施しているというセールストークで、お得な料金の提示があったみたいです。

フレーム製作工房の200Vの配電盤には、新たな配電装置が取り付けられていました。
この工事が引き金になって、工作機械が作動しないというトラブルが発生しました。
これではカーボンフレームの製作ができません。
配電盤に器具を3時間かけて取り付けた1日目、取り付け作業が終了して、
工作機械のモーターがうなっているけど動き出さないトラブルが発生、
翌日に取り付けた子会社の電気工事のべつの担当者がショップへやって来て、
3時間半作業しましたけど、どうにもならず。

前日に3時間もかけて取り付けた機械を外し、元の電源の状態に戻すという話になって、
作業員がふと取り付けた機械と配電盤の接点を点検すると、固定するネジが緩んでいることを発見したそうです。
点検に来た時、そこを最初に見たらと言う感じでしょ。
その接点のネジを締めて、工作機械のところまでは電気が来ていることを、
工作機械の潤滑オイルのモーターが動いていることで確認できました。
という事は配電盤には電気が来ています。

ところが肝心の工作機械のフライス盤のメインのモーターが動かないのです。
工事の確認に来た人は、これは工作機械が故障しているんじゃないか、という結論になりかけていたそうです。
そう言われても、器具を取り付ける前にはこういうことはなかったと、
粘って何時間もチェックしていたマツナガ店長は必死です。
このままでは工作機械の修理屋さんを探して直るまで、フレームの製作が進まなくなるんですからです。

しかし、最初に来た電気工事をした人は、プロフェッショナルとして、接点のネジの締め忘れはダメなんじゃないの。
接点が接触したり離れたりすると、スパークが起こります。
過電流が流れる原因そのものです。そういう過電流が流れると、機械が壊れてしまうので、
配電盤側のメインスイッチ(ブレーカー)が自動的に落ちて過電流が流れ続けることを停止してくれます。
ところが、接点不良状態の新しい機械が取り付けられていますから、
メインスイッチが切れるのではなく、過電流が工作機械側を襲ったのでしょう。

工作機械側は、オイル供給モーターと、メインのモーターとは電気回路が別系統だった分けです。
そのメインのモーターが作動しないトラブルの状況を見て、系統が違うんだなと思いましたが、
15年くらい前の荒川の工作機械の名人芸を取材したことを思い出しました。
手の平で加工する金属の表面を触りながら、1000分の1mmの違いを分かるという職人さんでした。
超低速で金属の丸棒を回転させて、切削する刃と金属の間にオイルをだらだら流しながら、
削っている部分を指の腹で触っています。すると抵抗が大きかったのか工作機械の回転が止まっていまいました。

回転を上げるとバイトの刃先が触れて削っている部分の金属が温まって膨張して精度を出せないのだそうです。
でも、削るべきところは削るので、低回転の高トルクに調整しているのに、モーターを守るために、
抵抗で自動的に止まってしまうことがあるのだそうです。
職人さんは「野郎(工作機械)がすねやがった」とか言って、1時間ぐらい作動しなくなることもあるし、
リセットのスイッチを押すだけで作業を再開できることもある、今回はどっちかなと、
スイッチの近くのパネルを外してスイッチを押すと、モーターは回り始めました。その時のことを思い出しました。

小さな真空管のようなヒューズが入っているモデルもあったし、リセットのスイッチが内蔵されているものもありました。
1時間ぐらい動かなくなるのは、熱膨張率の違う板を張り合わせたバイメタルという、過電流の流れ続けるのを防ぐ装置だそうです。

かなり前のことなので、思い出すのに時間がかかってしまいました。
マツナガ店長にこの思い出した話しをすると、スイッチの下にあるパネルの2本のボルトを外して、
中にあるリセットスイッチをみつけて、押して見ると電気の遮断が解除されてメインのモーターが動き始めました。
くたびれたマツナガ店長の顔出下がホッとしていました。良かった良かった。

だけどさ、200Vの電源の取り付けに来た電気屋さんは、工場とかに出入りして、
工作機械の電気の出入り口の取り付けをしているわけでしょ。だったら接点をスパークさせたら、
工作機械にダメージを与えることを承知していなくちゃダメなんじゃないかな。
ましてや、最新のコンピュータと連動している工作機械が増えているんだから、
こんなミスをやったら、下手するとプログラムが吹っ飛んで、損害賠償ものになってしまいます。

コンピュータを組み込んでいる工作機械は、モーターを守るのと、
コンピュータを守る遮断システムがもっと巧妙になっているだろうけど、
配電装置を施行する側も対策した手順をマニュアル化して教育しておかないと。
単純な工作機械でも、リセットボタンやヒューズやバイメタルによる遮断装置があることを知ってから作業しようよ、
この作業員の対処状況を見ると、きっと研修していないんだろうな。
マツナガ店長の7時間と精神的な疲れを返してくれって感じです、お疲れさまでした。
ではでは。