クマさんのバイク専科

ハンガーノックにならないために!

100km以上走るロングライドイベントも、ロングのトライアスロンでも、そして、日頃のライドでも時々ライダーの口から出る言葉が「ハンガーノック」です。
これが医療現場や救助の現場での言葉として使われていたら、かなり生命維持に危険な状態だと言うことです。
生命維持に関わる危険が発生している可能性があるので、体温低下、血圧低下、酸素飽和度の低下、心拍数低下、意識レベルの低下など、生体反応が全体的にダウンする寸前の、低血糖状態を表しています。


スポーツの現場や雑誌の誌面では、それまでできていた運動が急にできなくなったり、力が入らなくなったりしたときや、お腹が減った感じがしたり、集中力が低下したり意識レベルが下がった時に、「ハンガーノック」という言葉が使われています。
自転車のライダーが使っている「ハンガーノック」と、医療現場で使われている「ハンガーノック」の生命維持の危機にダイレクトに関わると言う意味とは違い、バイクライドの現場では、疲れたとか、エネルギーが出ないので頑張れないとか、もう少し軽い言葉として使われています。


でも、実際に、ハンガーノックだけでなく、熱中症も重なっていたりすることも考えられるので、生命維持に関わるような状態の場合もあるので、そうなると自分自身の感覚と実際の行動とのズレの判断力は低下していることもあるので、一緒に走っているライダーも、充分に気をつけて上げる必要があります。
バイクライドはスピードが出ているし、一般公道を走るので、クルマや歩行者や自転車と混合通行しているので、危険性もあるわけです。


そういう周りの状況を把握して、判断して、行動する、安全に走る必要があります。
ハンガーノック状態は、急にクランクを踏めなくなったりするだけではありません。
フィールドを走りながら、周りの状況を見て、頭で判断してハンドルを動かしたり、バイクを傾けたり、ブレーキを操作したり、素早く反応して安全に走っているわけです。
ハンガーノック症状は意識レベルや集中力も低下させますから、危険を察知する感覚も鈍くなり、バランスを取る能力も低下して危険度が増します。


そういう状況に陥るのを防ぐには、よく睡眠をとること、朝食を食べること、そして、走り出してすぐに糖質の補給を始めることです。
体内には有酸素運動と無酸素運動の主な運動エネルギーになるグリコーゲンという形で、血液中、肝臓、筋肉繊維内に個人差が大きいのですが、3時間から5時間分運動を継続できる量が貯蔵されています。
LSDレベル以下の低いレベルで運動を続けると20分から30分で、体脂肪を分解してグリコーゲンへ変換して、運動エネルギーとして消費して、グリコーゲンを節約することができるシステムになっています。


しかも、心肺機能を開発すると、蓄積されているグリコーゲンと体脂肪を分解してエネルギーとして使う比率は、心肺機能を開発するトレーニングの成果や、遺伝的な才能よっても個人差があります。
スピードが速くて運動強度レベルが高いと、高いレベルの有酸素運動と無酸素運動のミックス状態になって運動することになります。
体に蓄積されている素早く運動エネルギーにできるグリコーゲンを優先して使うモードになり、体はグリコーゲンを供給して消費していきます。


ところが体には生命を維持する本能的な運動エネルギーの供給を抑制するシステムが存在します。
個人差はありますが、高い運動強度を続けて行くと、1時間から2時間ほどでお腹が減ったとか、疲労感という糖質を補給しなさいという体からの信号が発せられます。
その体からの信号を無視して走り続けると、強い空腹感がやってきて、妙に体の動きが軽くなって調子がいいと感じ、さらに空腹感がなくなって、突然クランクを踏めなくなったり、集中力が低下したりします。
これは、体が生命維持のためにエネルギー消費をセーブする防衛モードが働いた瞬間です。



急にセーブモードになって踏めなくなっても絶望的になったり、あわてることはありません。
体にはグリコーゲンはまだまだ体に蓄積されていますから、セーブモードを解除すればいいんです。
それには、糖質を100キロカロリーから400キロカロリー食べて糖質刺激して、20分くらいで血糖値が上がり、セーブモードから全開モードへ回復させることができて、また元気に踏めるようになります。ではでは。