クマさんのバイク専科

マイクロアジャスターやネジが折れたら!?

ロードバイクにはスチールやステンレスのネジ、軽量化のためのアルミ合金のネジ、
そのままの形状ならスチールの約55%の軽さのチタン合金のネジ、超軽量のカーボンのネジなどが採用されています。
ネジにはねじ山が切られていて、ネジの谷の部分に応力が集中します。
ネジを締め付けるのにオーバートルクを繰り返すと、谷の部分がきっかけになって破断してしまうことがあります。
折れたネジがパーツの雌ねじの穴の中に残ってしまうケースもあります。
そうなると折れたネジを取り出すのは大変な事があります。
 
シマノもカンパニョーロもスラムも、シフトケーブルで操作するメカニカルの
リヤディレラーのメカトラブルを起こす可能性のあるのが、シフトケーブルの張りを調整するマイクロアジャスターです。
電車輪行や飛行機輪行や、バイクを分解してクルマに乗せて運ぶときにダメージを受けて、
リヤディレラーの上ボディにねじ込まれている、マイクロアジャスターが曲がったり、
応力が集中するねじ山の部分から折れてしまうケースはけっこうあります。
マイクロアジャスターの場合はシフトケーブルが通るので中空になっていますから、一般のねじより折れやすい構造です。
 
シフトアウターケーブルは鋼線を平行に並べて樹脂で束ねて、
ある程度のアールを描いてシフトインナーケーブルをリードやすく、
細い径にも関わらず圧縮方向の伸び縮みが少ないインデックス変速に適した構造です。
中にライナーチューブを通して、シフトインナーケーブルとの抵抗を軽減しています。
チェーンステーのアウターストッパーから、リヤディレラーのマイクロアジャスターに取り付けられた、
シフトアウターケーブルの先端にも収納時に力がかかりやすく、曲がったり、つぶれて断面形状が変わったりすることや、
シフトアウターケーブルの先端に取り付けているキャップが変形して抵抗が発生することがあります。
 
インデックス変速してもガチャガチャとチェーンがフリーのスプロケットの歯先におさまらないとか、
プーリーの位置がズレていて、チェーンとスプロケットの接触音が発生するなど、
インデックス変速の同調の不良を起こす事があります。現場での対応はアウターケーブルを曲げ戻して、
シフトケーブルへの抵抗を減らせば回復する事もありますが、
根本治療としてはアウターケーブルとインナーケーブルの両方を交換します。
 
デュアルコントロールレバーを操作して、変速しても変速不良を起こす場合、
原因はマイクロアジャスターの折れという事もあります。
ライド中など現場でのマイクロアジャスター折れの修理の場合は、シフトケーブルを携帯工具を使って取り外します。
上ボディに折れて残っているアジャスターのネジへ、携帯工具の細いアーレンキーから、
折れたマイクロアジャスターの穴へフィットするサイズを選んで差し込んで、
アーレンキーを少し斜めにして、折れているネジを回してボディから抜き取ってしまうか、奥へねじ込んでしまいます。
 
近くにコンビニがあれば瞬間接着剤をアーレンキーに塗って折れたネジへ差し込んで、接着して回す事もできます。
抜き取ったら、マイクロアジャスターのネジ山の残っている先端をリヤディレラーの上ボディへねじ込んでから、
シフトケーブルを張り直して、ダウンチューブのマイクロアジャスターで緩みが無いように張って、
変速すればインデックス変速できるようになります。
 
ダウンチューブにマイクロアジャスターがなくシフトケーブルの張りを調整できない場合は、
シフトケーブルを張り直すときに、しっかりシフトケーブルを引いて、緩みが無いように張って固定すれば大丈夫です。
シフトケーブルをもっと張りたい場合は、リヤディレラーのパンタボディを内側へ少し押した状態で、
シフトケーブルを固定すればしっかり張れます。
張り具合はパンタボディの押し具合を調整して、何度か固定して張り具合を見ればインデックス変速できるようになります。
 
ショップでの修理の場合は、方法がいくつかあります。
シフトケーブルを取り外し、折れたマイクロアジャスターの穴にブレーキパーツクリーナーを吹き付けて脱脂して、
ぎりぎり通るサイズのアーレンキーや、針金などを差し込んで、瞬間接着剤で固めてから回して抜き取る方法があります。
折れたアジャスターが動きやすい場合は、細い円の金ヤスリの先端を差し込んで、
折れたネジを回して抜き取って解消する事もできます。
もし、かなりきつい状態で動きにくい場合は、細い「逆タップ」を折れたマイクロアジャスターの穴へ打ち込んで、
ラチェット式のタップハンドルにセットして、回して抜き取る事ができます。
 
逆タップには螺旋を描いているモデルと、四角いテーパードの逆タップがあります。
細いものから太いものまで各種用意されています。
マイクロアジャスターのネジは中空ですからその穴へ差し込んで、軽く叩き込んで回せば抜き取る事ができます。
ボルトの頭のナットをなめた、アーレンキーを差し込む六角の穴をなめて回せなくなった場合、
ボルトが雌ねじの穴の中で折れた場合は、ネジの太さに合った細いドリルを選んで、
センターポンチで折れたネジの先端にリードの印を付けてドリルして、ネジに少し深めの穴を開けて、
その穴に合ったサイズの逆タップを軽く打ち込んで、ラチェット式のタップハンドルをセットして、
普通ネジなら反時計方向へ回して抜き取ります。
けっこうマニアックな話しになってしまいました。ではでは。