クマさんのバイク専科

フィジークのR1アリオネカーボンレール

フィジークのアリオネシリーズは、アテネオリンピックの数年前に登場して、ここ10年以上の人気のサドルでした。
しかし、アリオネのスタンダードに始まったこのシリーズは、樹脂ベースにスチールの中空レール、
樹脂ベースやカーボンチップ入りベース、カーボンクロスに樹脂成型ベースなどの構造の他、
トライアスロンモデル、カーボン補強ベースにカーボンレールなど、枝分かれして種類が増え過ぎて、
どのモデルがどういう機能だったか分かりにくくなりました。
クッション性、サドル全体のヘタリにくさ、軽量性、微妙なサドルの上の面の円さもモデルによって違っています。


最新のRシリーズが発表されて、すぐにR1 アリオネのカーボンレールと、R3アリオネのキウムレールを手に入れました。
いずれも200kmくらい走って、R1は硬くて中央から後半が円くて腰が落ち着かなくて、痛くなって無理と判断しました。
R3はアリオネスタンダードに近い乗り心地と確認して、外してストックのカゴに保管しました。
フィジークは入荷時期によるクッション性や形状にばらつきがあるので、
R1 アリオネカーボンレールの最近入荷したものを手に入れて、土曜日にピナレロのパリに取り付けて試乗しました。


クマジジイがお気に入りで、当面のR1 のライバルサドルは、30年くらい前のセライタリアのターボマチック2と、
復刻版のターボ、R3アリオネ、アリオネCXのカーボンレールです。
R1をWR のRSRシートポストへ取り付けて、前後位置調整の幅を確保して試乗をスタートしました。
サドルの上の面の前後の頂点を結ぶ線を水平に固定して、
前後位置はそれまで使ってきたアリオネのスタンダードの位置を参考にしました。
R1とアリオネCXカーボンレールとの違いは、サドルの中央から後端の座骨が乗る部分の形状がR1 では円くなっていました、
そしてしなやかなパッドの下のベースはカーボン繊維と樹脂で成型されて、
お尻が乗ってもサドル全体が沈み込みにくい、かなり硬い構造でした。


このベースの硬さは、座骨の先端や股関節の骨の出っ張りが接触する部分に圧力が集中すると、
硬いベースに底突きして床ずれ的な痛みが発生しやすく、長く乗ったときの座り心地に影響します。
2個のR1は時期を違えて手に入れました。フィジークのサドルはイタリアのセラロイヤルが製造しているのですが、
入荷時期によって、パッドのクッション性や、ベースの樹脂の硬さ、サドルの形状が違うことがあったので、
そういうばらつきが無いか確認のためです。


2個のサドルの変形のしにくいカーボンクロス補強のベースの硬さは同じでしたが、
サドルの上の面のアールの形状が少し違っていました。1個はフラット、1個はゆるいアールを描いて中央がへこんでいました。
走行距離30kmの地点では、少し硬くてしゃもじに座っているみたいな感じでしたけど、まだお尻は痛くならず快適でした。
ところが50kmくらいから座骨の触れる部分が痛み出して、100kmは走れないと感じました。



その痛みの発生はサドルの前後位置の調整や取り付け角度の調整で解消できるものではないことは明らかでした。
座骨のエッジと硬いベースにお尻が挟まれてズキズキ傷みます。
後半はダンシングで腰を浮かして走るようになりまいた。
というわけで、ベースを柔らかく加工するしかないと判断しました。
座ってもサドルの中央が下がらないほど硬いのです。
ボール盤でカーボンクロスを樹脂で固めた硬いベースに60個の5mm径の穴を開けました。


カーボン繊維を樹脂で固めたベースは肉厚が薄くペラペラでした。カーボン繊維って協力なんですね。
樹脂ベースのアリオネのベースの厚さとまったく違いました。
丸い穴60個の状態で試乗しましたが、それでもかなり硬くて、柔かにするには、穴を繋げたり、
より大きな穴を開ける必要がありました。
サドルの中央から後半にかけて、座骨や股関節の内側の出っ張りの触れる部分のベースを、
リューターでガリガリと削って大穴を開けて、ベースを無くしてパッドだけで圧力を分散できるようにしました。



カーボンクロス補強のベースは思っている以上に強度が高いです。
完成した改造サドルをタイムとピナレロのパリに取り付けて、ちょこっと試乗してみました。
ボコボコに大穴を開けたカーボン補強のベースですが、サドル全体のクッション性は良くなりましたが、
基本的にサドルの硬さは残っていました。
それでも座骨の触れる部分へのストレスが軽減されていました。
今週末のライドでは背中のポケットに換えのサドルとシートポストのヤグラを動かせる工具を持って、
痛くなったら交換するつもりで、実際に50km、100kmを走って乗り心地を試してみます。
2日走ってお尻が痛くならないを基準に選びます。ではでは。