クマさんのバイク専科

リッチーのWSC73度対応アルミステム!

MTBの創始者のひとり、カリフォルニアのオレンジ郡にスチールフレーム工房をかまえていたトム・リッチーです。MTBのイメージの強い彼ですが、もともとリッチーはアマチュアでロードレーサーとして活動していました。彼のアイデアやイメージを具現化したパーツや、フレーム素材や量産フレームをリリースするために起こした、MTBやロードパーツのブランドがリッチーやリッチーロジックです。当初はスチール製のマスターピースのステムやフレームを作って、日本の生産協力工場へ持ち込んで量産してプランナーやプロデューサーとしての道を歩みました。

 

当初はステムやハンドルはニットー、チェーンホイールはスギノテクノなどのメーカーを生産拠点に選んでいましたが、パーツの素材がアルミ合金やカーボンなどに移行して、生産拠点は台湾や中国やタイランドに広がっています。リッチーは剛性や強度や性能、使いやすさを確保しつつ、軽さやスマートさにこだわる独自の目線でデザインした、タイヤ、ホイール、ステム、ハンドル、チェーンホイール、ビンディングペダルなどをリリースしています。MTBパーツといえば剛性とか強度とかをイメージした贅肉たっぷりのデザインになりがちですが、ロード乗りだったリッチーはどこかロードパーツぽい印象の、スマートなデザインをMTB用もロード用のパーツにも採用して、強度と剛性と軽量性を追求しています。特にWSCはよく考えられていますね。

 

これはいいねと、なるほどという、ちょっとした工夫がアイデアとして盛り込まれています。そんなリッチーのパーツの中で73度ヘッドアングル対応のステムに入っています。フロントフォークのコラムにセットすると、ハンドリングが安定する、突き出し部分が水平になるモデルです。天地逆方向に取り付けると17度上がりになります。製品名はリッチーのWSC・C220ステムです。突き出し寸法は60・70・80・90・100・120・130・140mmが用意されています。アルミ合金鍛造の肉薄構造で、31.8mm径のクランプ部分は220度が本体側、クランプ部分の金具が140度に分割されている構造で、4mmアーレンキーで回す4本のクランプボルトを、傾斜した状態でねじ込んでドロップバーを固定する構造です。

 

フォークコラム側のクランプは斜めにスリットが入り、2本のボルトの位置を上下でずらして、締め付けでかかる応力を分散する構造になっています。あまりメジャーなステムではないのでショップに在庫していることは少ないと思いますが、軽くて剛性があり、スマートなデザイン、固定の確実性、そしてハンドリングが安定する73度対応というので、乗っているほとんどのバイクにはこのステムを採用しています。旧型のリッチーの73度ステムは180度クランプで、4本のクランプボルトは中央に寄っていましたが、新型ではクランプ部分が220度分割になって、ボルトの位置は左右に開いています。クランプボルトはチタン合金が採用されていましたが、現行モデルはスチール製に変更されています。

 

一般的なロードバイクにはステムを取り付けた時の突き出し部分がやや前上がりになるモデルが採用されています。73度ヘッドアングル対応のアヘッド用のステムは一般的ではありませんが、数社が製造を続けているということは、何らかのメリットがあって、ユーザーの要望があるからです。10mm刻みで用意されているリッチー以外にリーズナブルなディズナと、上質で固定ボルトがトルクスのT 25仕様の3Tなどもあります。その中でリッチーは1万円代ともっとも高価なステムですが、軽さと強度のバランスが、肉薄の鍛造アルミで確保されています。

 

走行中に肩や首にストレスを感じていたら、ステムの突き出し寸法やライズ、ドロップハンドルのリーチやドロップや幅を見直しで、グリップポジションの位置を近くしたいとか、遠くしたいとか、高くしたい、ハンドリングを軽くしたいとか、安定させたいとか、感じていることを解消するために、今のパーツの見直しで解消できる場合があります。グリップ位置が遠すぎると感じているライダーのポジションを変更しようと思っています。リッチーの73度対応ステムの100mmと、スペシャライズドのリーチの短いシャローデザインの400mm幅に交換することになりそうです。ブレーキケーブルとシフトケーブル、バーテープなども用意しなくちゃ。ではでは。