職人マツナガ通信

6月17日

ステム抜き!
先日ここに書いた、汗だくバイクの作業です。
まずは、変速しないフロント変速機。
ワイヤーをカットしてみると、STIレバーは正常にうごきました。
ということは、問題は変速機か?
フロント変速機を手で左右に動かそうとしても、ビクとも動かない、完全固着。
考えられるのは、汗による腐食かボトルからの飛散物による固着。
以前にも、フロント変速機が動かなくなったバイクがあり、しらべていくと、
ボトルに入れたあまいドリンク剤がフロント変速機に堆積していって、ついに動かなくなった、っといことがありました。
フロント変速をはずして、まず熱湯漕にいれてます。
これで固着したドリンク剤がとけやすくなります。
しばらく熱湯につけてとりだして、動かしてみますが、ビクともせず。
つぎに、フロント変速機を希硫酸槽につけます。
これで酸化したものを、溶かします。
希硫酸槽からとりだし、モーメントレバーをつかって、動かしてみると、ヤッと動いた。
一度動くとスプリングが生きていて、元のように左右に振れるようになりました。
これで一件落着。
さて、お次は、問題のステムです。
まずは、ヘッド小物のロックナットを外そうとしましたが、これも全くビクともせず。
しかたがないので、ハンドルを抜いて、ステムとヘッドチューブを希硫酸槽につけます。
しばらくつけて、取り出して、モンキーレンチにモーメントレバーをとりつけて、まわすと、なんとかロックナットはとれました。
ステムの入り口をみると、やはり汗の結晶がつもっている。
ロックナットを外した状態で、再度希硫酸槽へ。
希硫酸槽からだしてみると、ステムの入り口に腐食はとれていた。
そこの隙間から、すかさずラスペネオイルをいれる。
そうして、ハンドルクランプ部に、チューブをいれて、そのチューブにさらにながいモーメントレバーをいれて、
フロントホィールをスタッフサカマに押さえてもらい、力一杯にまわす!
しかしビクとせず。
しかたがないので、ハンドルクランプ部にいれたチューブを、鉄ハンマーで思いっきりたたく、たたく!
これでもビクとせず・・・・・・。
ふ~、少し休んで、アタマにあがった血をもどしながら、少し考える。
インターネット出調べると、昔ステム抜き工具というものがあったらしい。
さすがに、この工具はボクもみたことがない。
工具の画像をみて、原理をみていくと、どうも自分がもっている工具が使えそう。
といことで、工具をバイクにあてて、いろいろ考える。
そうして、この工具を改造して、オリジナルステム抜き工具ができました。
これで、抜いていきましたが、やはりビクともせず、工具のほうが壊れてしまいました・・・・・。
なんどか、希硫酸槽にいれては、たたいたり、を繰り返しましたが、ビクともせず。
ここまで抜けないと、あとはステムを切って、フォークを抜いて、ステアリングコラムに中に残っているステムをなんとか取り出すしかない。
オーナーにその旨を連絡すると。
このバイクは、ローラー専用バイクとしてこのまま使い、外用にはもう一台オーダーいただく事になりました。
自転車屋としては、この作業を完遂できなかったことに少しガックリ・・・・・・。
その後ローラー台用にということで、バイクの整備をはじめてみると。
ハンドルの汗の結晶をブラシでとってみると、穴は開いていませんでしたが、腐食して陥没していました。
動かなかったリアブレーキのケーブルを切ってみると。
ケーブルアジャストボルトの中で、インナーケーブルが完全に固着していました。
これもやはりブレーキアーチから外して、希硫酸槽につけます。
希硫酸槽からあげたら、ケーブルを万力ではさみ、ケーブルアジャスターをモンキーにはさみ、
そのモンキーをハンマーでたたいて、何とか抜きました。
室内ローラーでバイクに乗られる方は、汗にはご用心。
大丈夫と思っても、思わぬ所から汗は浸入します!