職人マツナガ通信

10月20日

修理三昧。
今回のもまた、結構ひどい状態でした。
非常に珍しいケース、というより、
自転車稼業三十数年はじめてです。
カーボンフレームのBBのねじ切りがあるアルミ部分が不幸にも浸水による腐食をしてしまいました。
オーナーのKさんは、特に異常がなかったので三年ほどBBはいじっていませんでした。
BBを開けると水がたまっていたというケースは何回かありましたが、
今回のようにアルミ部分を完全に浸食してしまい、
カーボン地が見えるまでひどものは初めてです。
輸入元に問い合わせると、過去にも症例があったそうで、
対応としては、メーカーの工場(フランス)に送って状況を見てもうら、
場合によっては、修理不可能な事ある、というつれないご返答。
送ってなんだかんだしていたら、
数ヶ月は乗れなくなってしまう。
なんとか、ならないものか、ということで修理考えました。
浸食した部分は、BBをセットするためのネジ部分の役割で、
強度そのものはカーボン部分が担っていると思われる構造。
なので、アルミの筒状の浸食されてしまった部分を補強すれば大丈夫と判断。
クロモリのチューブを補強接着することに決めました。
浸食した部分にあるように、クロモリのチューブを加工して、
いざ接着という段階になったら、
思いの外浸食のデコボコがすごく、
補強のチューブとカーボン地の間に、
隙間ができてしまい、もしそこにまた水がたまったら同じ事が起きてしまう可能性があると発覚。
手間はかかりますが、一度そのデコボコを接着剤で埋めて面をきれにしてから、
クロモリチューブを接着することに。
この手の作業が実作業時間よりも、
どうするか方法を考えている時間のほうが長いです。
作業は、考えていたイメージ通りにすすむと順調に終わります。
今回もほぼ、イメージしたとおりに作業終了、いいじゃないでしょうか。
最後に、ハンガー裏に同じ事が起きないように、水抜き穴を開けて完成です。