職人マツナガ通信

2003年 12月26日

ホィールの振れとり作業。

昔はこれが出来れば、自転車屋として一人前といわれていた作業です。
 
スポークの張力を張りながら、リムが横と縦真っ直ぐに回るよう調整していきます。
こういう作業をしていて、腕の違いというのは、いかに多くの経験をしたか、ということが、いい悪いに大きく関わってくると思うのです。
 
確かに、器用、不器用というのは、生まれながらにしてあると思いますが。
ボクが思う職人シゴトは、とにかく不器用でも失敗してもいいから、いかに多くの場数を踏むかが、その後の腕の上達にすごく重要な事だな感じます。
そんなことを考えると、器用でもなく、経験のない、自分を使ってくれ、多くの経験を積ませてくれた師匠には、ホントに感謝の思いでいっぱいですね。
でも、これ、それをやっている時には、気がつきににくいものなのですよね。
 
よく初めてトライするシゴトで、何も出来ない、知らないのに、ギャラがいくらか、という話からはいるヒトがいるようですが、ちょっとボクには理解できないです。
経験を積ませてくれると、ということだけで、もうそれがギャラ一部だと思うのですがね。
 
ボクの使っている振れとり台は、1/100mmの目盛りがついた、ダイヤルゲージ付きのものです。
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これも、ボクがシゴトを教わった師匠から受け継いだシステムです。

これただ単に、正確にふれがとれるということではなく、作業性がとてもアップするシステムなのです。
 
ホィールにのかってスポークのねじれをとる作業、これも師匠から教わったことです。
初めてのヒトはビックリするかも知れませんが、体重をかけてのかってしまうのです。
(ただのればいいというのではないので、よい子のみなさんは真似しないでくださいね)
ホィールをのせる台もオリジナルのアイデアです。
 
こうやって、ふれをとってはのっかって、のっかっては、ふれをとるという作業を繰り返していくと、最後には、ホィールにのかっても、ほとんど振れない状態になるのです。
こうすることによって、より振れにくいホィールができあがります。