フレームのエンド幅修正ならびにセンターチェック作業です。
ねかせていただいぶ前のフレーム、エンド幅が120mmで現行のホィールが使えず、
エンド幅を今風の130mmに広げて今一度復活させたいとお持ち込みされました。
治具にセットしてモーメントレバーで、えい、やっ、と広げていきます。
これは靱性(ねばりっこさ)の高いクロームモリブデン鋼だからなせるわざ、アルミ
だとこうはいきません。
思えばこの作業をはじめてやったのは18才の春・・・・・。
就職した大手自転車メーカーの工場のラインでベルトコンベアーに乗って流れてくる
溶接の終わったミニサイクル(お買い物自転車)のフレームを、えい、やっ、と日に
何百本と芯だしをしていました。
(ミニサイクルであろうとロードレーサーであろうとロー付け(溶接)したものは必
ず熱ひずみがでるので最終工程としてすべてにこの芯出しという作業があります。そ
の後のアマンダスポーツやイタリアの工房でももちろんやっていました。)
いわゆるライン作業と呼ばれているもので単純作業の繰り返しで辟易していました
が、自分なりに楽しむというかそれなりに技術向上をめざしてやっていました。(と
記憶します・・・・)
大きく力を加えればすごく変形してしまいいいくら靱性があるといっても限
界を超えてしまうと破断のおそれがでてしまいますし、あまり力が小さすぎるとねじ
れるだけで変形してくれません。
はじめは、どの程度力を入れたらいいのかわからず、何回もモーメントレバー(芯出
し棒)を上に押したり下に押したりしていました。
なれてくると鉄のスプリングバックというかねばさが身体でわかってくるので、芯出
し棒を動かす回数が少なくなってきます。
とにかくどのくらいの力でどういう手順でやったら挙動数が少なく速くできるかとい
うことを考えながらやってました。
というよりモタモタしていると間に合わなくてフレームが山のようにつまれてしまう
ので考えざるえなかったでした。
こんな量とてもできません、なんて事は仕事では通用しませんでしたから。
トレイにいく間も自由にとれないライン作業は非人間的かなという思いももちろんあ
りましたが、いかに無駄をなくすかという事を考えるということを学べたと思いま
す。
大リーガー養成ギブス的なところもありますが、自分のような平々凡々なニンゲンに
は有無を言わさずとにかくこなすとい
う経験は今に至る過程でとてもためになっているなと感じます。