職人マツナガ通信

4月28日

ショボちゃんタシロくんインタビュー最終回です。

特別企画 ショボちゃんタシロ、アテネ選考会直前直撃インタビュー!

マ:マツナガ
タ:タシロ

マ:活動をフランスに移して何シーズンめ?

タ:5シーズンめですね。

マ:フランスに行き始めてかわってきたことって、何かある?

タ:ん~、これも繰り返しになるかも知れませんが、
毎年ランクアップした場で活動してきたので、毎年新しいこと、
知らないことの連続なので自分がどう変わっているかは、
比べようがないんですね。

マ:それぞれのシーズンを振り返ってみてよ。

タ:最初の一年は、訳もわからずとにかくレースに出ました。
ワンシーズンで120レース走りました。
2年目は、アンカーチームと地元チーム両方で参戦して、
少しレースの流れにのれるようになった感じですか。
3年目は、地元のアマチュア有力チームに所属して仕事をできるようになりました。
4年目はアンカーチームとして本格的に活動をはじめて、チームで動くということ
を、
各人が理解するために必死だったと思います
5年目ようやくレースが見えだしてきて、世界のトップとスタートラインに並べるよ
うに、
なれたという感じです。

マ:ヨーロッパでの、アンカーチームの認知度ってどの程度なの?

タ:フランスでは知名度はありますが、実力的にはまだまだですね。
他の国では知名度はまだないです。

マ:アンカーチームは、TT3といういわゆるプロチームとカテゴリーわけされるんだ
けど、
レースに行って、TT1のチームなどにバカにされる事ってないの?

タ:プロチームになってからは、まずないですね、
選手間でもそういうことはないです。
フランスでは特に、プロになれるのってホントに極一部なんです、ホントに。
むしろアマチュア時代の方がそういうことはありましたね。

マ:ヨーロッパで走り始めて、カルチャーショックみたいなことってあったの?

タ:スピードの違いですね。登りに関しては日本ではしっていた位でもそこそこ通用
したんですが、
平地のスピードが全く違いました、全く。
ヨーロッパで走っていると、登りだけ強くても、
その勝負所にいくまでに脚をつかわされて、
結局ダメになってしまうんです。
平坦でのスピードの必要性を切実に感じました。

マ:体重って今何キロなの?

タ:54kgです。

マ:ん~、そのクラスで世界のスピードレースで通用した選手ってあまりしならい
な。
でも、始めた頃に比べたら、数段スピードがついているよね。
どんな練習をしたの?

タ:とにかくスピードの速いレースに出続けました。
疲れていようが、チャンスがあればいつ何度でもレースに出ていきました。

マ:レースが一番の練習ってことか。
でも、それだけ続けると疲労もくるだろう。
浅田監督はその辺のこと何もいわかなったの?

タ:やっていることは知っていましたが、
なにも言わなかったですね。
そうやって、レースにでつづけていましたら、
なんとなくスピード付いてきたんです。
それと同時にウェイトトレーニングも取り入れるようになって。
この辺りからペダリングとペダリングに対する自分の意識も変わってきました。
国内だけで走っているころは、
とにかくまわすことだけを考えて、
登りで軽いギャをクルクルまわして登りを得意としていましたが、
これを改めました。
ヨーロッパで走るには、
スピードと重いギャを踏めるようならなければ、
ということを意識はじめました。

マ:そうだね、速く走るって事は、
重いギャをいかにまわすかってことだもんね。
(マ:注釈 これあくまでもトップレベルの選手の話しですから、
ファンライダーはまた別の話ですので)

マ:今シーズンのクリアしなければいけない目標ってなんなの?

タ:UCI 1-3カテゴリーで優勝、又は入賞するということです。
この優勝というのは、そのつもりで走らなければ入賞もないということなんですが。

マ:今までの結果は?

タ:GPレンヌでのチームメイトの入賞です。チームとしてはよかったです。

マ:田代選手としては今シーズンの前半戦を振り返ってどうなの?

タ:自分としては一回もいいレースはなかったです。

マ:疲れとかとはではないの?
コンディショニングとかも自分なりにあるんでしょ?

タ:もともと休めないたちなんです、そして、
自分に疲れが溜まっているかどうかよくわからないんです。
あと、自分がどんなコンディションかということもわからないんですよ。
日本だけで決まったレースをやっていれば、どの時期にどんなことやればいいかっ
て、
データーを取っていけるでしょうが。
ボクらは毎年新しい環境と高い目標に向かって動いているので、
自分にとって何をしたらいいコンディションにもっていけるのか、
データどり出来ないんです。
毎シーズンが新しい環境との出会いなんです。
今シーズンは先シーズンより高いレベルで活動しているわけですから、
先シーズンと同じ事をしていたら向上はないんですよ。
ですから、先シーズンの経験はランク下での経験なので、
今には参考にならないんですよ。

マ:ということは、スランプも自分ではわからなの?

タ:ん~、わからないです。
繰り返しますが、毎シーズンが新しいことへチャレンジですから、
その状態が悪いんだかいいだかは先シーズンとは比べようがないので、
判断出来ないんです。

マ:あえて、レースに勝てないことがスランプというとしたら、
そんなときはどうするの?

タ:ひたすら乗ります。ボクはそんなときは休まないですね。
というより休んでいられないです。
今年目標をクリア出来なかったら、辞めなきゃならない。
そう考えると走らずにいられないんです。

マ:損な性格というか、奇特というか。
でも、タシロくんがトップでいられる理由がなんとなくわかるかな。

マ:今トレーニングで一番気にしていることは?

タ:さっき言いましたが、とにかくスピードをつけると言うことです。
練習でもアベレージスピードを気にするようになってきました。
同じ心拍でもより速いスピードで走れるイメージをもって走ってます。
タイムトライアルをいかに速く走れるかというのが自分にとっての目下の課題です。
レースとしては重要ではないですが、このタイムトライアルの実力が、
スピードの物差しになるので。

マ:プロ選手という生業をしてい一番辛い事ってなに?

タ:常に移動移動で落ち着いて居られる場所がないってことですかね。
あと、ホッとする時間がないことかな。

マ:じゃ、一番嬉しいことは?

タ:前は自分が優秀したりすることでしたが、
最近はあまりうれしく思わなくなってきました。
それよりも、若手が勝ったり、強くなってきたことに喜びを感じますね。
自分の後釜になる選手を早くつくりたいという思いが強いです。

マ:これからレースを始めようとしている若者へのアドバイスってある?

タ:強くなりたいのなら、強くなれる環境を早く手に入れるということかな。
自分にとって強くなれるチームにはいるということ、
今はいろんなところがちょっとしたスポンサーをしてくれるところが多いけど、
物品供給なんてどうでもいいこと、
とにかく、強くしてくれる環境を与えてくるチームを探すことですかね。

マ:田代選手がプロ選手としてこんな厳しい生活を続ける意味ってあるの?

タ:ん~、悔しいからやっている、かな。
ロードレースが日本で認められていないことがすごく悔しいです。
日本でもっともっとメジャーにして、
自分自身がやってきたことを、広くて知らしめたいです。

マ:タシロくんを応援してくれるみなさんへなにかある?

タ:自分のやっていることになかなか自信をもって、
はっきり言えることがないのがつらいけど、
いろんな人がささえてくれるのを感じているので、
それに応えられるようがんばります。

マ:タシロくんって結婚願望あるの?

タ:最近出てきましね。

マ:好きなタイプは?

タ:ん~、好きになった人が好きなタイプなんです・・・・。
強いて言えば深津絵里かな。

マ:なんか趣味あるの?

タ:それがなんにもないんですよ、これが問題なんです。

マ:最後に、いよいよオリンピック予選があるんだけど、
抱負をきかせて。

タ:ん~、特にないんです。

マ:そんなつまらない返事しちゃダメだよ。

タ:自信ないんですよ、さっき言ったとおり自分が今どんな状態か、
また、ライバルの選手がどんな状態かって、全然分かっていないんですから。
ですから、蓋をあけてみないとなんともいえないんですよね。
でも、走るからには優勝ねらいますよ、全力をつくして。
これはどのレースも一緒です。また自信がないのもどのレースも一緒です。
レースのイメージは何通りも今からやっています。
何周で誰が逃げたら一緒に行くとか、
最後まで集団だったら自分がどこでいくとか。
オリンピックというレースそのものは自分にとってそれほど思い入れはないのです
が、
ワールドクラスの選手と走れるので参加はしたいです。
ボクのレーススケジュールには、
アテネに行くことがもうすでに入っていますから。

マ:今日はどうもありがとう。
タシロくんのしらないところみれてとてもおもしろかったよ。
また話聞かせてよ。
アテネ期待しているよ!

おわり