コンテンツ

使用素材

なぜ合金鋼ラグ+カーボンファイバーチューブなの?

使用素材01
スポーツバイシクルフレームの目標は「強くて軽い」ということで、どちらかだけよくてもバランスの良いフレームとはいえないのではないでしょうか。
カーボンファイバー(炭素繊維強化プラスチック:CFRP)はそのどちらの要素も含んだ「鉄より強くアルミより軽い」フレーム材料だと考えます。
高剛性、高強度、軽量性、寸法安定性、振動減衰性という特性は他のフレーム材料では達成できない高いパフォーマンスを示します。
またCFRPの炭素繊維をエポキシ樹脂でかためて成形するという方法では、成形形状を複雑でないチューブ状にすることでより成形前の高い特性を発揮させることができます。

またラグ(つなぎて)やバックにクロムモリブデン鋼を使うことにより、成形型を使った作りでは対応しにくい細かい寸法変更への柔軟な対応や、加熱接着時の熱膨張率がほとんど0のカーボンとアルミより50%ほど熱膨張率の低いクロモムモリブデン鋼の接着相性のよさによる接着剥離をおこさない安全率の高さ、
また落車破損時のチューブの差し替えやエンドの差し替え可能な補修性など、カーボンファイバーを使ってオーダーメイドならではの自由自在な設計と工作を可能にしています。

設計

使用素材02
フレーム設計の要素には材料設計と寸法設計があります。
材料はフレーム各部分のチューブの強さを太さや厚みカーボンの場合は炭素繊維の強さなどで調整して目的にあった選択をします。
選択方法は過去につくってきたフレームの加重試験の結果数字、チューブ単体での加重試験の結果数字のデーターと今まで製作してきたもののオーナーの評価などをまじえながらビルダー松永の経験でオーナーと相談しながら最終決定します。
寸法設計は、手足の長さ測定、現在使用中のバイク測定、オーナーの自転車歴やスポーツ歴、スポーツライディングの目的など加味しながらパソコンで算出していきます。

 カーボンファイバーチューブ

使用素材03
カーボンファイバーチューブ(炭素繊維強化プラスチックチューブ)は8~10ミクロン(1μ=1/1000mm)の炭素繊維をエポキシ樹脂(プラスチック)で固めてできた複合材料チューブです。
炭素繊維はその生成過程でいろいろな強さでつくることが可能です。
またこうしてできた炭素繊維をどの方向でどのくらい巻いてどのように成形するかによってさらに強さがかえられます。

カーボンファイバーチューブは鉄やアルミとは違い、強さを根本から変えることの可能な設計ができる材料です。
カーボンファイバーチューブは、3種類の強さの違う炭素繊維(弾性率40トン、60トン、80トン)を使い、巻き方や外径、肉厚の違いにより6種類の強さの違うチューブを使用しています。
カーボンファイバーチューブには鉄やアルミと違い既製品はありませんのですべてビルダー松永の指定に応じてオーダーメードされています。
カーボンファイバーチューブは同等のクロームモリブデン鋼チューブにくらべて44%の重量減を実現しています。

ニッケルクロームモリブデン鋼

使用素材04
ラグやシートステー、チェーンステーには、クロームモリブデン鋼より再加熱などによる熱劣化の非常に少ないSAE8630ニッケルクロームモリブデン鋼が使われています。
このチューブをオーナーにあわせて肉厚、長さを削りだします。

ロー付け材料(溶接)

使用素材05
カーボンフレームのラグやアロイスティールフレームのロー付け(溶接)には、抜群の強度(抗張力:60kg/mm2)を有するアメリカユテクティック社の高級合金ロー材No16を使用しています。

接着剤

カーボンフレームの接着には、熱収縮が小さく圧力依存性が低い工業構造材用熱硬化性エポキシ樹脂接着剤(引っ張りせん断強さ:250kg/cm2)を使用しています。
PROJECT Mは現在まで通常使用でのチューブ・ラグ間剥離離脱例はありません。