弱虫ペダルは確かにロードバイクブームを作ったが、ネットショップで手に入れて、メンテナンスをしてもらったり、走りの基本テクニックや暗黙のルールやマナー、バイクの取り扱いも教わるチャンスもなく走っている。まともに組まれているかも怪しいバイクが走っている。テレビでコマーシャルを流している、通販スポーツバイクショップは箱詰めでユーザーに送りつけて、アーレンキーでハンドルやペダルを固定させて、公道を自己責任でスタートさせる無責任さに呆れる思いだ。
スポーツバイクが初めてのユーザーは、通販やネットショップで、実店舗より安く買えたと喜んでいるかもしれないが、それが誰も相談相手がいないスポーツバイク難民の始まりなのだ。スポーツバイクで走り始めて、すぐに困るのが、パンク修理や、変速のインデックス不良の調整、ブレーキの調整、ポジションシの最適化、誰がやってくれるんでしょう。全部自分でできるのならショップは必要ないですけけどね。
不調のバイクを安心して持ち込めるショップ、相談できるスタッフやメカニックもいない、スポーツバイク難民を大勢作ってしまっている。弱虫ペダルの漫画は、高校生の自転車競技部のロードレースの物語だ。漫画だから当然荒唐無稽な場面展開もある。漫画は舞台にもなったし、アニメーションにもなったし、実写にもなって弱虫ペダルのブームを作り出した。自転車業界に、今までにないスポーツ車ブームを作り出した。
この、弱虫ペダルブームに乗ったブランドもあるし、販売拡張のチャンスとして10万円代のロードバイクが次々に売れて、売り上げが伸びたが、ブームはブームで、しぼむときは早い。3年は持たなかった。2年目に大量発注して、3年目には見込みを誤ったショップは、大量の不良在庫を抱えて、値引きセールとなった。それでも10万円代のロードバイクが売れて、ステップアップして20万円30万円の本格的なロードバイクへ移行する人は思っている以上に少なかった。それは、中古車市場を見れば一目瞭然だった。弱ペブームの終焉とともに、大量の10万円代バイクが放出されて中古車市場が賑わった。
サーキットエンデューロに出ると、弱虫ペダルのブームは肌で感じた。ロードレースの走り方、マナーや暗黙のルールを教わっていない、斜めに走ったり、コーナーをラインキープでなく、アウトインアウトで走ったり、好きなように走っている危険な走りをするライダーが急に増えた。チームプレーとかアシストとか、先頭交代とか、知識だけは頭でっかちだけど、周りのライダーを見ないで好きなように走っている。実業団クラスのレースでこんな走りをしたら、注意を受けるし、ぶん殴られても文句が言えない雰囲気だった。クラブチームや登録チームでは先輩レーサーやコーチに基礎を教わっているはず。
ドラフティング走行の間隔、集団内のラインキープ、顔を上げて真っ直ぐ走ることなど、基礎テクニックやマナーをきっちり教わっていないので、サーキットエンデューロの集団走行は混走状態なので、危険極まりない状態になっている。パンデミックでイベントは壊滅状態で、アフターコロナでどう変わっていくかが注目だ。もう、場所は用意してやったんだから好きなように走れ、安全走行より参加人数のみ重視する主催者や、場所取りの不便さをいつまでも放置する、ホスピタリティの感じられないイベントは生き残れないだろう。
茄子アンダルシアの1と2に始まった自転車アニメの流れが、弱虫ペダルへ繋がっているが、再度盛り上げようと、プロモーションが始まっているが、アニメ、コミックス、実写映画、舞台でうまくいくのだろうか。第1次ブームの末期のような寂しい投げ売りにならないように、サイクルショップは慎重にサポートしたほうがいい。買い手も通販ショップで手に入れると、走るノウハウも手に入らないし、安全に走るための整備も相談できないし、楽しい自転車生活に必要なことを自ら放棄するようなものだ。今まで、ネットショップがメンテナンスを実店舗のようにやってくれたり、メーカーからの回収通知などをユーザーに伝えたとか、聞いたことがない。
ヘッド小物の緩み、ハンドルが真っ直ぐに固定されているか。ホイールの着脱。パンク修理。ブレーキの修理を教えてくれたとか、どんな手入れをすればいいのか。オーバーホールをしてくれたなんて聞いたことがない。車検なしの車を売りっぱなしにしているようなものだ。時速30km以上出ますからね。快適な自転車生活を続けたければホームドクター的な実店舗とおつきあいしたほうがいいと思うな。ではでは。