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オーバーホール -83走目

SRM常連Iさんのピナレロのオーバーホールとステム交換のご依頼を受けました。

普段のポジションからもう5mmハンドルの高さを下げたいとのことですが、ステムの下にスペーサーはなくヘッドセットがあるのみ。ピナレロはモデルによってはこの上スタックの高さが低いタイプがあるのでそれを確認してみるも合うものがないという状況。残るはステムの角度を変えることでハンドルを高さを調整するという方法のみ。現在取り付けられているステムの角度を調べ5mm下げるために何度のステムを選べば良いか計算します。これで何度のステムにすれば良いか分かったので後は物を探すのみ!

ステムメーカーをいくつか連想しながら探しているところ、1つ良さそうなものを発見しました。

onebyESU

通常のステムは本体の中心部分にハンドルクランプ部分があります。(写真の白い線)しかし、このステムはその中心線から若干オフセットしたところにハンドルクランプがあります。(赤い線)したがってこのステムに変えるだけでハンドルの高さを下げることが出来ます。お持込いただいたときのようにヘッドセットの真上にこのステムをつけてしまうと角度を変えたうえにハンドルクランプ位置がオフセットされているので5mm以上ハンドルが下がってしまいます。そこでヘッドセット上にスペーサーを追加することでまずは目的のハンドル高にセット、希望によってはまだ下げられる状態を作りました。コラムの長さは変更していないので以前のステムに戻せば元の状態に戻せます。

次にオーバーホールを開始。まずは各消耗品を外していきBBを交換します。

before

BB右側はチェーンリングがある為、普段非常に掃除しにくい場所です。BBを交換してクランクをつけてしまうとあとから掃除することが出来ないので、交換と掃除を同時進行させます。

まずはBBの締め付け方向に気をつけながらBBカップを外します。近年のピナレロは整備性を考えスレッド式BBを使っています。圧入式BBの問題としてよく挙げられる異音問題などを解消できます。

BBカップを外したらBBシェル内とBB付近のフレーム、フロントディレイラーを全てクリーニング。最後に新しいBBをセットします。

after

バイクウォッシャーで汚れを落とし、ワコーズ バリアスコートでしっかりと磨き上げます。フレームはマット調ですが、バリアスコートはマットフレームにも使用可能なワックスなのでとっても便利ですし、仕上げがきれいです。ただし、臭いがキツイので使用する際は必ず換気良く。

使用BBはTOKENのTK877EXカラーBBです。坂間も使用しているBBでスチールベアリングなんですが、なまらよく回ります。それに色つきなのが結構ポイント。こういうところの色を変えられるのも遊び心があってパーツ変更のおもしろさの1つですね。

次にワイヤーを交換します。今回はインナーワイヤーのみの交換です。ワイヤーはフレームの中を通っています。古いワイヤーを抜き去り新しいワイヤーを入れようと試みたところ、1本だけ全く出てこない。失敗しない方法を使ってやったのに出てこない。何ぞやと思ってBBの市側からすこ~~しだけ覗くことの出来るフレーム内を覗いてみると、どうやらフレームの中にワイヤーを保護する為のストローが取り残されてしまっている模様。そりゃあつっかえて出てこないわ。ということでまずは何とかしてストローを救出。その次に新しいワイヤーを通すんですが、これが思うようにフレームから出てきません。

ワイヤー通しに四苦八苦

フォークを抜いてBB側からワイヤーを通してみたり、細い工具でかきだそうとしたりと格闘すること1時間。何とかワイヤーが通りました!思わず1人残る店内でヨッシャー!!と叫びました。笑

今日の作業はココまでです。