クマさんのバイク専科

スラムレッド12段のeタップのディスクブレーキ

油圧式のロードディスクブレーキの利きについて疑問がわいてきたので、ディスクブレーキの専門知識があるメカニックに質問してきました。スラムレッドeタップのブレーキが、思ったように利かないので、何か理由があるのかについて、かなり詳しく教えてもらいました。試乗したのは、シマノのアルテグラクラスのロードディスクブレーキで前後共160mmローター、カンパニョーロの最高峰の油圧式ロードディスクブレーキで前後共160mmローター、スラムレッドeタップの油圧式ロードディスクブレーキの160mmローターの3モデルを比較しました。

 

その3モデルを装備したバイクを試乗した中で、最もストッピングパワーを感じなかったのがスラムレッドでした。シマノが最も強力で、次がカンパニョーロでした。ディスクローターはそれぞれ純正品でした。その試乗の話をすると、多分、それはブレーキパッドとディスクローターの接触面の慣らしが足りない状態か、慣らしがうまく行っていない状態で試乗したのではないかということを言われました。試乗会とか、試乗バイクでよくあるパターンだそうです。

 

フールドの充填がうまく行っていなくて、フールドの中に気泡が入ったままの状態で組み上げてしまっているのか、ブレーキパッドやディスクローターにオイルが付いて滑っているのか、ブレーキパッドのストッピングパワーが不足しているのか、ブレーキキャリパーそのものの圧力が不足していることなどが想像できました。対策としては、エアー抜きをする。フールドを固く感じるものに交換する。ブレーキパッドを利くものに換える。などを考えましたが、メカニックの最優先の答えはディスクローターとブレーキパッドの慣らしでした。

 

油圧のディスクブレーキのフィーリングをチューンナップするには、それらも効果がありますが、意外に効果が大きいのはディスクローターの交換だそうです。ディスクローターはステンレス製で微妙に材質や肉厚が違い、シマノのディスクローターに交換するとブレーキの利きが向上する可能性が大きいと言っていました。ディスクブレーキはディスクローターと、ブレーキキャリパーに付いているブレーキパッドとの馴染みが出ていないと、ブレーキの利きに大きく影響するそうです。つまり、ディスクブレーキのユーザーは、ディスクブレーキの慣らしが終わってから、本来のストッピングパワーを発揮するようになるのだそうです。

 

3台共、つくばの4%から10%の坂が4kmある不動峠を上り、ブレーキをかけながらズルズルと進むぐらいで下り、当たりが出て、慣らしをしてから試乗ししたつもりでした。その慣らしの方法が熱をかけ過ぎていたのかもしれません。

メカニックによると、理想的な慣らしは、下り坂は4%から6%の4kmくらいで十分だそうです。最初の段階では、軽くブレーキレバーを引いて、ブレーキパッドをディスクローターにかすらせて1kmから2km走り、最初に触れる部分をなじませて、そこからは、強めにブレーキレバーを引いて、ブレーキパッドをディスクローターに押し当てて減速します。

 

ブレーキレバーを解放してスピードを戻して、再び強くブレーキレバーを引いて減速して、これを繰り返して下ってくれば、ディスクブレーキの慣らしは終了します。慣らし走行の最初の段階で、軽くブレーキを当て利きさせるのがポイントだそうです。左右のブレーキパッドの接触面と、ディスクローターの面がかっちり接触しないと、本来のブレーキ性能を発揮できないのだそうです。そのメカニックによると、メタル、レジンいずれにしろブレーキパッドとディスクローターの慣らし走行は必要だそうです。

 

4kmくらいの6%から4%くらいの下り坂で、新品のディスクローターとブレーキパッドとのならし走行を行います。時速30kmくらいで下りながら、ブレーキレバーを軽く引いて、ブレーキパッドをディスクローターに軽く接触させて下って、接触面をなじませますが、なるべく温度が上がらないようにします。この段階では強くは押し付けません。しばらくブレーキを利かせて下り、やや当たりが出たなと感じたら、残りの1kmから2kmくらいは、強めにブレーキパッドを押し当てて、最終段階の馴染みを出します。この時も強く、長くブレーキを利かせ過ぎで熱が上がってしまうので、ブレーキングを繰り返し、馴染みを出してから、ブレーキの利きを試験した方が、正当な評価をできるそうです。

 

ブレーキパッドの接触面や、ディスクローターの表面にスプレーオイルがかかってしまった場合は、ブレーキパッドにオイルが染み込んでしまったら交換が必要だし、ディスクローターはブレーキパーツクリーナーなどでクリーニングする必要があります。ブレーキレバーを引くとスポンジ〜な状態だったら、ブレーキキャリパーは正常にブレーキパッドをディスクローターへ押し付けることができません。ブレーキオイルラインや、ブレーキキャリパーやブレーキレバーのシリンダーやリザーバータンク内の気泡を抜く作業が必要です。

 

オイルライン、フールド、ブレーキパッドのチューンナップよりも、ディスクブレーキのストッピングパワーを引き出すには、慣らしと、ディスクローターのステンレスの素材や厚さや表面仕上げも重要なのだそうです。ただし、スラムの純正品は止まるモデルだそうです。もしズルズル抜ける、止まらないなーと感じたとしたら、ブレーキパッドとディスクローターの慣らしが不足していた可能性があります。組み立てた直後で試乗した場合は、原因が慣らしの可能性が大きいということでした。スラムレッドはものすごく利くブレーキになるそうです。

 

スラムレッドeタップのワイヤレス&油圧ディスクブレーキ用のレバーは、ブラケットに付いている、油圧ブレーキレバーの2つの調整機能がはっきりしていて扱いやすいのです。1つはブレーキレバーを引いた時のブレーキの利き始めの位置のダイヤルによる調整。もう1つはブレーキレバーの初期位置の開きの調整です。きっちり慣らし作業をしたスラムレッドeタップの12段の油圧ディスクブレーキのコンポーネントで再度試乗してみたいと思います。フリーボディがトップギヤ10T対応で独特なのがどうなんでしょうか。でも魅力的なコンポーネントですね。ではでは。