クマさんのバイク専科

周りを同じ遊びへ引き込む清志郎さんです!

清志郎さんは周りの人を引き付ける不思議な力を持っています。ゆずの北川くんは鎌倉あたりのコンサートはもちろん、地方のホールにまで見に来ていましたし、俳優の竹中直人さんは野音のステージ裏には必ずいました。大竹しのぶさんは、ステージをご一緒してからロックンロール研究所の打ち上げでも見かけるようになりました。清志郎さんと一緒にロードバイクで走りたい、ロードバイクがほしいというので、深夜の2時ごろに清志郎さんが電話をかけて来ました。

 

今日は一緒にステージで歌ったんだけど、今、ロッ研に一緒にいるんだ。一緒に走ろうという話になっちゃってさ、身長は160cmくらいの女優さんなんだけど、スポーツバイクがほしいと言っているんだ。つくばのマツナガで採寸して、ぴったりのを作ってあげてくれないかな、仕事がお休みの日につくばへ行くって言ってるよ。ということで本人と電話を代わって、日にちと時間と合流の場所を聞いて、身長から考えてアンカーのカーボンロードバイクがいいだろうということになって、すぐに清志郎さんと走りたいというので、ヘルメットやバイクウエアを買いにきました。

 

フィッティングを終えて、さっそくショップ内で着替えて、北部工業団地に移動して、車のこないコースで、ロードバイクの走り方のレクチャーを受けて、真っ直ぐ走る基本的な視線の運び方、ボトルの水を飲むための片手離し運転、コーナーリングの行きたい方向を見て、先へ先へと視野の中心を移していく目の運び方、小鳥を握るような優しいブレーキングなどを、一緒に数時間トレーニングしました。大竹さんは、子供の頃から木登りが大好きだったり、お転婆だったというとおり、片手運転も安定していて、すぐにバイクボトルを持って飲む真似をしていました。

 

身のこなしが素早くて安定していて、運動神経のいい人でした。周回練習を終わって吉沼まで移動して、市村ミートで一緒に揚げたてのアツアツのコロッケをライドに参加したみんなで食べて、大竹さんに奢ってもらいました。後日、所属事務所から電話がかかってきて、当日撮影した画像を貸してほしいということでした。はなまるマーケットで大竹さんが清志郎さんに刺激されて、ロードバイクは体にぴったりのじゃないとダメだよと言われて、紹介されたつくばのお店で手に入れて、ロードバイクの走り方を清志郎さんがコーチと呼んでいる人にレクチヤーしてもらってきましたと、話していました。真っ直ぐ走ること、片手離しなどの走りが番組で紹介されていました。

 

直線路もコーナーも、隣や近くを大竹さんと一緒に走りましたが、転んだらどうしよう、大竹さんの指示でつくばのホテルに待機しているマネージャさんにも、くれぐれも注意してくださいね、と言われているしな〜!。もし転びそうになったら、大竹さんと地面との間に飛び込んで、大女優さんに傷がつかないようにしようと、覚悟してのライドでした。時速は25km出て走っていました。みんなのボトルの水を飲む真似をして片手運転をしたり、ドラフティング走行したり、その度に胃が痛み、冷や汗が出ましたが、無事に走り終えました。

 

さすがに大物女優さんで、一緒に走った誰もがサインを求めないし、パチパチシャッターを切らないし、特別に呼ばれて集まったサポートメンバーだったと知って、「皆さんの大切な時間を私のために使わせてしまってごめんなさいね、ありがとう」と言い残し、個人事務所の女性マネージャーが運転する白いベンツに乗り込んで、ホテルオークラでシャワーを浴びて着替えて、いまるちゃんとの夕食会に間に合うように東京へ帰って行ったのが印象的でした。これじゃ、誰もが気遣いのできるいい人だと思うよね〜。さすがの貫禄でした。

 

清志郎さんは、子供の頃のお山の大将みたいに、大将がやりたい鬼ごっこに周りを引き込んで、音楽活動とは別の世界で夢中になって遊んでいるというような感じだったでしょうか。マネージャー、事務所のスタッフ、ミュージシャン、俳優さんなどにロードバイクを勧めてサイクリングを浸透させていました。テレビ業界のディレクターさんで、もっとも信頼していたのが、ツールド奥の細道という1時間を越える、ただ清志郎さんが松尾芭蕉のたどった東北の道をロードバイクで走って、土地の人と出会うドキュメンタリー風の番組を作った人です。そのNHKの番組の10日間の予定の撮影に入る前に、デローザのカーボンバイクを買い込みました。新葛飾橋を撮影部隊と一緒にスタートして、直後に6号線でコロリと転倒するシーンがあります。清志郎さんが手伝って引き起こしていた、その人がデローザに乗っていたNディレクターです。

 

当時の清志郎さんは、1日に200km近くを走れていましたから、ロードバイクを初めてに近いNディレクターが体力に自信があっても、一緒に走ろうというのはちょっと無謀だったのかもしれません。でも、清志郎さんは、無謀だろうと、ロードバイクを手に入れて来て、同じ遊びに本気でチャレンジする姿勢に、面白いやつと思ったのだと思います。そのNディレクターが作る番組の、撮影1日目に、なぜか途中のコンビニまでバイクで走ってきていて、目的地の日光の旅館まで一緒に走ることになるのが、清志郎さんにプロジェクトMのオーダーを受けていた、スポーツバイクつくばマツナガの松永一治店長と、お店のお客さんで、モーニングライドのマドンナ的存在の森みちこさんです。後に店長のお嫁さんになりました。

 

みちこさんは、マラソンを3時間を切って走れるほどの脚力と持久力を持っていました。平坦コースではかなりの向かい風が吹いていました。強豪の実業団ロードチームに所属して走っていたこともある松永店長がグループの先頭を1時間以上引き続けていました。いいスピードで日光の杉並木の登り口までリードして来ました。鬱蒼とした杉林の中を走る頃にはかなり暗くなって来ました。その入り口まで粘っていたNディレクターが遅れ始めてロケバスに回収されたと無線がはいりました。グループは一治、清志郎、みちこの順で走っていましたが、日光の上り坂に入ってずっと先頭を引いてきた松永店長が力尽き、みちこがさんが先頭に出て走り始めて、清志郎さんが続き、ちぎれ気味の店長の順に入れ替わりました。

 

その時の日光街道を走る3人の状況が印象的だったらしく、作詞作曲して、ロックンロール研究所のプライベートスタジオで録音して、CDに焼いてお祝いの言葉入りのラベルまで作ってくれて、筑波ハムのレストラン兼イベントスペースでやった、2人の結婚披露パーティに間に合わせてプレゼントしてくれました。「真冬のサイクリング」という楽曲でした。ハワイで開催されているホノルルセンチュリーライドに参加した時に立ち寄って、オーダーして出来上がってきたばかりのカマカの複弦のウクレレを演奏、女性ボーカルとのデュエットでした。

 

日光街道の杉並木の上り坂でみちこさんに、松永店長がちぎられて走る情景を歌い込んでいて、「みちこさ〜ん」、「かずはるさ〜ん」という呼びかけの台詞入りのオリジナルのラブソングになっています。この、ほとんどの人が知らない幻のラブソングを聞いてみたい人は、松永店長かみちこさんにおねだりしてみてください。14歳年下のお嫁さんをもらう松永店長を応援する内容です。清志郎さんに結婚祝いに1曲作ってもらうなんて凄すぎるよ!。ではでは。