クマさんのバイク専科

木リムのためのカンパニョーロの旧型ハブ

木リムホイールの前輪乗ってみてください。長く乗れば乗るほど疲れが違います。ロングライド、ブルベライダー、ロードのトレーニングに最適です。イタリアのコモ湖の湖畔の小さな工房で職人にホイールに手作りされています。その木リムを前輪に愛用しています。正確にいえば、アマンダスポーツの千葉さんがディスクホイール作りや、木材リム作り、コンプレッションホイール作りの経験を生かし、ホイールに組み上がった時の強度を高めるために、リム断面を再設計したものです。

 

説明しても、あまりなローテク素材のイタリア産のブナ材の木材なので、なかなか信じてもらえませんが、木リムホイールをノスタルジーで使っているわけではありません。人間が感じる快適な乗り心地を演出しているのは木材の振動減衰性です。木材は競技用の特注スキーの芯材とか、氷の上を滑る競技用のリュージュと言うソリに使われています。氷の面とソリのブレードを接触させて滑らせるるために木材の振動減衰性が必要なのです。カーボンやケブラーなどの新素材もかなわない特性を発揮するから今でも素材は木材です。とにかく、ホイールを貸し出して乗ってもらうと違いを感じてもらえます。

 

木リムの強度を確保するために、20mmかける20mmの四角い断面に設計してジョバンニへ特注したものです。天然繊維素材の木材は振動減衰性においてカーボン繊維やケブラー繊維製品をはるかに上回る特性があります。計測によると7倍の性能だそうです。この差は乗ってみるとはっきりわかります。スポークテンションの調整は年に1回から2回必要ですが、年に100日くらいライドして、4年から5年使えます。

 

700Cの木リムを36本のスポークで組んで、木リムに合わせたテンションで張ると、路面からの振動を木リム、スポーク、タイヤが吸収して、パワーロスのない絶妙のサスペンションシステムをセットしたような乗り心地になります。走行フィーリングとしては、パワーロスなく、路面の変化にしなやかに追従して、よく転がるとしか言いようのない特性です。路面からの振動は明らかに低下して、ライド後半の段差とか荒れた路面からのストレスを軽減してくれます。

 

そうです。この手組のホイールを実現するには36本スポークを張るためのフロントハブが必要になります。カンパニョーロのフリーハブの現行モデルは32穴のみのラインナップです、シマノもデュラエースのフリーハブの開発を停止していますが、メーカーの在庫があればフロントハブのみの36穴が手に入ります。旧型ハブのヌーボレコードの場合は、フリーをねじ込むタイプのリヤハブは使えませんが、100mm幅の前ハブだけは使えます。その後のモデルでリヤハブにフリーボディが一体化されたモデルなら、130mmエンド幅のモデルは前後ハブとも使えます。

 

もっとも理想的な手組用のカンパニョーロのハブは、アルミ合金製のハブシャフトになって、ハブのボディが太くなったレコードです。この時期のモデルは、最新のカーボンハブなどと同じ回転部やハブシャフトの構造で、スチール製のフリーハブのシマノ規格や、アルミ製のカンパニョーロ規格のフリーボディと互換性があります。前後とも手組ホイールに使えます。後輪用の36穴のカーボンリムは、フランスのコリマ製がシクロクロス用として生産されています。ストックがなくても必ず1シーズンに1回は生産されていますから、待てば手に入りましたが、油圧のディスクブレーキ仕様が全盛になるので今後も生産されるのかな。ではでは。