クマさんのバイク専科

BSのオリンピックムーブメント!

近年、実業団チームのブリヂストンは、チームでヨーロッパ遠征してエリートやプロアマオープンの厳しいレース経験を積んでいました。残念ながら、ヨーロッパのプロチームにリクルートされるような選手は生まれませんでした。ロードレースの世界で日本のロードレースは頂点ではありませんよね。実業団の待遇の良いチームに所属していることで満足している選手も大勢いますね。

 

選手自身も常にトップリーグで戦って見たいというモチベーションがないと、本場のヨーロッパでエリートクラスのレースを転戦して力をつけて、プロチームと契約して、レース活動することができません。日本人選手でヨーロッパのプロチームに所属してレース活動した選手はけっこういますが、走りを評価されて年俸をもらって走っていたペイライダーは数名です。

 

プロ野球やプロサッカーのようなグローバルなスカウトシステムや選手市場はありません。日本でロードレースやっていたんだという程度の認識です。日本のロードレースを走っていても声はかかりません。ヨーロッパのプロチームで走った経験のある浅田顯監督が率いたブリヂストンアンカーチームが盛にヨーロッパで走っていた時代、数年間の遠征を経験して、レースでトップ集団に生き残って走れる選手が登場して、フランスのクラブチームにマークされるようになった時期があります。

 

そのレース活動の流れの中からアテネオリンピックのロードレースのトップ集団で、プロアマオープンになって初めて完走できる選手が生まれたり。ヨーロッパでのコネクションを作ったことで、フランスの有力エリートクラブチームへの所属が実現するようになって、現在ヨーロッパで戦っている日本人プロ選手に繋がっています。

 

フランスのクラブチームでも地域の補助金やスポンサードで年間の運営資金は2億円くらい、選手は走る機材やウエアの供給だけでなく、年俸を支給されて練習に専念できるケースもあります。1年契約で環境も変わり、日本の実業団の時より契約金的にも、成績にしても厳しくなると思います。よほどの覚悟がないと踏み込めません。継続して来たヨーロッパでのレース活動を休止したブリヂストンサイクルはどうしたいんだろう、どこへ向かってレース活動しているんだかビジョンが見えてきません。

 

ロードレースの世界は日本の実業団チームが頂点ではありません。実業団チームに所属してヨーロッパ遠征したり、フランスのクラブチームに移籍したり、ファームチームのようなプロチームに所属して、本場のヨーロッパでレース活動を経験して力をつけて、ツールや白に出場できる一流のプロチームへ移籍して、メジャーレースに出るという道があります。

 

日本の実業団チームが世界で通用する選手の育成の道筋を考えて運営されているのか。所属する選手も実業団をゴールと考えないで、ヨーロッパのプロチームへ繋がる可能性がある、ビジョンのあるチームを選ぶ必要があります。ブリヂストンサイクルは、2020東京オリンピックの公式スポンサーのブリヂストンの傘下だから、当然、オリンピック選手のサポートを積極的に行っていると思っていました。ところが、ブリヂストンサイクルはどうも明確なビジョンも、独自の広報予算を持っていないらしい。

 

オリンピックイヤー前から実業団ロードチームの予算を削減したり、選手強化のためのヨーロッパへの遠征も継続しないことになったことを聞かされて明確なビジョンを持たないで企業として実業団チームを運営してレース活動していたんだと驚きました。ブリヂストンサイクルとしてはスポーツバイク部門の売上は10%に満たないだろう、広報予算としてはかけ過ぎだという声もあるだろう。だけど世界を相手にするタイヤ事業やゴルフやテニスに関わるスポーツ部門のイメージアップとして、ロードレースやピストレースを考えたら、戦略のないビジョンのないレース活動をしていて良いのだろうか。東京オリンピックへ向けた自前の選手の排出という、短期の意味では、確かに、ロードチームは無駄な出資と言えるだろう。

 

ブリヂストンサイクル単体のスポーツサイクル部門の売上規模の広報活動とするなら縮小方向でも良いかも知れないが。ブリヂストングループとしてのグローバル戦略としてはどうなんだろう。日本人選手と海外選手のミックスチームを編成して、ツールやジロを戦えるチームを企画して戦えば、日本でも所属した外国人選手の国でも広報活動できる。5億円から10億円規模でスタートすることができる。モータースポーツのスポンサードの規模から考えれば低予算で、日本発信の国際チームの誕生と活躍は、日本国内だけでなく、世界的なアピールができるはずだ。そこには排ガスやCO2発生の問題もなく、クリーンなイメージで、ヨーロッパ文化へのリスペクトも感じさせる活動と言える。

 

オリンピックのロードレースはプロアマオープンで、そのレースで活躍できてメダルや入賞の可能性がある実績とプロレースでの経験を積んでいて、日本の代表選手候補はチームにいないかもしれない。でも、ヨーロッパでの経験を積むレース活動をここで断ち切っていいものだろうか。しかも、2020のオリンピックイヤーが迫っている時にあえてそうするとは、日本の実業団の有力チームがやるべきことではないというのが個人的な意見だ。ロードレースだけでなく、スポーツサイクル全体の普及を考えてもサポートすべき立場の企業がやるべきことではないと思う。

 

フランスのどこかで毎週2回開催のアマチュアのトップカテゴリーのロードレースでも、毎日が全日本選手権みたいなレベルで、時にはプロチームも参加する、海外の競争の厳しいレース環境を日常のレース活動として経験して、スタミナ、コンディショニング、走行テクニックやチーム戦略、選手の育成システム、運営スタッフの育成なども含めて、年間を通じてシリアスな現場で刺激を受けることが重要だと思います。

 

現在ヨーロッパのプロロード選手として活躍している日本人選手たちは、フランスのマルセイユという、プロチーム絵の昇格を計画していた、有力クラブチームで2年走って、ヨーロッパでのエリートのレース活動から育った選手たちだ。ヨーロッパの選手と同じ階段を力を付けて上って、プロチームに入ってレース活動しているわけだ。ブリヂストンサイクルは、2020オリンピックの日本代表になるロード選手へのバイクの供給を諦めているだろう。では、どこでブリヂストンブランドのバイクをアピールするのか。それは、ピストのナショナルチームの選手へのカーボンバイクの供給だ。

 

ポイントレースやケイリンなど、ワールドシリーズや世界選での活躍が目立つ日本選手が存在する。モータースポーツのサポート縮小で生まれた資金でオリンピックのオフィシャルスポンサーに名乗りをあげている。広報予算を提供するブリヂストンタイヤを中心とする本体の意向か、傘下のブリヂストンサイクルの意向かわからないが、ブリヂストンのスポーツバイクブランドのアンカーブランドではなく、ブリヂストンのブランドをダウンチューブに付けた旧型と新型のカーボンピストバイクが提供されている。ではでは。