クマさんのバイク専科

73度ステムユーザーをけっこう見つけました!

ドロップ部分の下や、ブラケットの位置を握った時に、荷重のかかる位置を低く設定できて、前々からハンドリングが安定すると、お薦めしていた73度ヘッドアングル対応のステムの話しです。リッチー、3T、ディズナなどの73度モデルが手に入りやすく、10mm刻みで突き出しの長さが用意されています。レースの現場でリアル決戦バイクをウオッチングしていると、73度ヘッドアングル対応のステムが採用されているのをよく見かけていました。バイクにステムを取り付けると、突き出し部分がほぼ地面と水平になる構造のステムです。ルックやスペシャライズドのステムの中には、ステムのライズ(角度)を変更できる構造のモデルもあります。

 

ここ10年くらいのプロロードレースの動画を10本くらいランダムに選んで見ていると、逃げているライダーや、活躍したライダーの横からの接近映像で気になることを発見しました。ヨーロッパのプロロードレースを走るライダーは、平均時速が40kmくらい、小集団で逃げているときは50kmくらい、10kmで1分追い上げるようなチェイスの場合、集団は時速60km近くをキープしている時もあります。踏み込んでいるエネルギーの半分近くを空気抵抗と戦うことで消費してしまいます。空気抵抗を軽減できるフォームが重要になります。

 

ステムの突き出し部分の上の面と、サドルの上の面との落差は50mmくらいから150mmくらいで、体格の大きいライダーは、普通に100mm以上の落差にセットして、高速走行には肘を深く曲げてブラケットを握ったり、ドロップバーの下を握って、背中を地面と水平に保って空気抵抗を最小限にして走っています。そしてドロップバーはカーボン素材を採用したり、成形の自由度が増してドロップバーの形状が変化し始めました。ショートリーチでショートドロップというのが流行りのように言われていましたが、実際に選手が使っているのはそうとも限らないことがわかりました。

 

トッププロが使っているドロップバーは、ショートリーチにしてステムを伸ばして、ドロップバーの上の直線部分のグリップ位置を遠くして、上半身の力を伝えやすい設定にして、さらに深いポジションを実現するために、普通の深いドロップのモデルが多かったです。ハンドルの幅はブラケットを握った時に左右の腕が並行になる400mmか、グリップ位置側が広くなる、420mmや440mm幅で、上り坂やダンシング時に、腕の力や上半身の力を利用しやすいドロップバーの組み合わせが多いようです。ステムのライズと突き出しの長さはハンドリングに影響します。突き出し部分が前下がりや水平になるとハンドリングが安定します。前上がりになるとハンドリングが軽くなります。ステムの長さが80mmくらいからニュートラルなハンドリングになります。それ以下になると少しハンドルを切ると大きく曲がる傾向になりますが、50m mくらいまではライダーが慣れられる範囲です。90mm、100mm、110mmと長くなると、ハンドルの切れ角が小さくなって、直進しやすい傾向になります。

 

アヘッド小物になって、一般的には突き出し部分が前上がりが普通に思われていると思います。動画で確認してみるとなんと、何人も73度対応の突き出し部分が水平になるステムのユーザーがいることを発見してしまいました。ロードレースの展開やトップ選手の走りを見るのも楽しいですが、ステムのライズに注目して動画をチェックして見てください。カンチェラーラ、新城、エバンス、ボーネン、コンタドールのステムを見ると、なんと73度ステムのユーザーだったのです。明らかにステムの突き出し部分が地面と水平です。今までレース展開に気を取られていて、ステムやハンドルバーには注目していませんでした。ハンドルやステムのメーカーが73度ヘッドアングル対応のステムを廃盤にできないわけです。

 

クランクをグイグイ踏み込んだ時にハンドリングが安定して、ペダリングで生まれたパワーを、バイクを前へ進ませるパワーへ効率よく返還させやすいのです。巡航速度で走っている時にも、軽くブラケットに手を添えるだけで真っ直ぐ走ってくれます。ぜひ73度ステムを試してみてください。前上がりのステムを水平のステムへ交換する場合、突き出し寸法は前上がりのステムとほぼ同じ突き出しの長さを選び、ステムを固定する高さは、前上がりのステムのクランプ部分と同じ高さになるように、73度対応ステムの高さを調整します。高さを測る時は地上からクランプ部分までを測って調整します。ではでは。