クマさんのバイク専科

アスリートファーストじゃなかったのIOC !?

 

開催地選びや誘致のときは、盛んに言っていたのがアスリートファースト。オリンピックに参加する選手達のことをまず考えて大会運営することが重要なテーマと言うことだった気がする。でも、壇上のIOC の役員が紙を手にとって、「トキョー」と叫んだ時に、真夏に東京でオリンピック開催かとちょっと驚いた。真夏の東京の湿度や気温などの環境がアウトドアスポーツに最適な時期なのか?。もちろんどこかの国のようにほぼ誰でも銃を買えて、乱射するようなことはないから安全だけど。

 

でも、もし誰かが手に入れて乱射したら、この国では警察官とこの国独自の交戦権のない平和な軍隊以外は、公式には銃を持てないから、下手するとやられ放題という可能性もある。銃が一般化していれば、そういうテロの抑止力にもなるし、いざという時に応戦してテロを市民が制圧できる可能性もあると言うわけだ。日本を守ってくれて仲良くしているはずの国では、市民が憲法で銃を持つ権利が保証されている。今後、平和な日本はどっちの道を歩むのか。もちろん銃を持てない、乱射事件が頻発して罪もない犠牲者がでない国の方がいいにきまっている。

 

その平和で安全なはずの日本の東京で、2020年に夏期オリンピックが開催される。北の国からミサイルや大陸間弾道弾が飛んでくる可能性は0ではないが、もしかしたら北の国は選手団や美女応援団を飛行機や船で真夏の日本へ送り込んでくるかもしれない。他のメジャースポーツコンテンツと時期が重なるから、放映権料を各国のメディアに割り当てるIOC の代理人的なグローバルな広告代理店としては、全米にしても、欧州にしても、アジア地区にしても、視聴率の奪い合い、スポンサーの分散を避けたいらしい。正に「夏のオリンピック」開催と言うことらしい。これがアスリートファーストの実態なのか。

 

オリンピックは世界のアスリートの祭典、平和の象徴、世界最高峰のアスリートが参加するドーピングがないフェアな国際競技大会と言うのが立て前でしたよね。確かにオリンピックムーブメントを提唱したクーベルタン男爵でしたっけ、「参加することに意義がある」って言っていたんでしたよね。つい最近のオリンピックまでは、オリンピックにはアマチュア選手しか参加できませんでした。でも、その実態は、古くは貴族のお抱え選手が参加したり、近代になると機材契約、所属契約がなければ、世界的な活動ができる資金の確保ができませんから、実質的には西側諸国のプロアスリートと、東側諸国のステートアマの戦いの場になっていました。

 

アマプロオープンになったのは、プロであろうとアマであろうと、世界最高峰のアスリートが参加しないと、スポーツコンテンツの最高峰の大会という商品価値の評価が得られないというIOCの思考の変化からです。野球やソフトボールがオリンピックから簡単に除外されたのも、IOCの思惑があったからに違いありません。この分野には、メジャーリーグがあって、自分たちのチャンピオンチームを決める大会をワールドシリーズと呼んでいるし。国別対抗のワールドベースボールクラシックを開催しています。オリンピックの国別対抗の野球は、世界の頂点ではないよ、と言わんばかりのIOCのコントロールが利かない野球界の状況です。

 

その後、野球やソフトボールが人気の、日本の東京オリンピック開催者との、何らかの妥協があったんですかね。IOCは負担が大きいオリンピック開催国探しに危機感を抱いていますから。開催国の要望の種目は受け入れざるを得なかったのかも。サーフィンやスケートボードみたいに、若者受けするとは思えないけど、世界はもしかしたら注目したかもしれない、日本の国技と言われているコンテンツがあるじゃないですか。今のIOC なら、ぐぐっと押せば「相撲」でもOK が出たんじゃないかな。相撲の世界大会も開催されていることだし、日本、モンゴル、アメリカ、ジョージア、中国、プロの参加メンバーはグローバルなんだし、個人戦も団体戦もできて盛り上がっただろうに。モンゴルに団体と個人の金メダルが生まれたかもしれませんね。

 

競技人口もファンも多いサッカーは、特殊な状況になっています。各国にプロリーグがあって地域密着型のクラブチームが戦ってチャンピオンを決めて、ビッグクラブには各国の代表クラスが所属して、しのぎを削っています。もっともレベルが高いのが欧州チャンピオンズリーグで、優勝は名誉と同時に賞金も破格です。ビッグクラブは、ドメスティックなリーグチャンピオンと、欧州チャンピオンズリーグの両方のタイトルを狙うとになるので、トップコンディションで戦うには日程が苦しく、ビッグクラブはトップチームを2つ持つような状況になっています。

 

そこで活躍しているのが、欧州や南米のナショナルチームの現役メンバーやOBで。国に戻ればナショナルチームメンバーとして選出されて、ワールドカップ出場のかかった地域予選に参加します。何年もかけて大陸別の代表権をかけた予選があって、世界最大最高権威の国別対抗のサッカー大会は、ワールドカップだと誰もが認識しています。ではオリンピックのサッカーはどんな大会なのか。若手選手中心のナショナルチーム編成で大陸別の代表決定権を得るために戦い抜きます。

 

オリンピックの出場国に決まってから、数人のオーバーエージのナショナルチームへの参加が可能になっています。だから、その国のベストメンバーではありません。それでもIOCはオリンピックからサッカーを除外する気配はありません。サッカーは、2番目か3番目の放映権クライアントがいる、ヨーロッパで人気のコンテンツですし、オーバーエージで各国のスター選手を取り込めるし、次世代のスター選手を見極められる大会になります。

 

野球やソフトボールは世界に普及していないから競技種目から除外すると言うのがIOCの公式見解でした。本当にそうだったのだろうか。だとしたら、近代五種、棒高跳び、乗馬、射撃、体操、カヌー、ヨット、カヤック、ボート、シンクロナイズドスイミング、新体操、飛び込み、ホッケー、アーチュリーなどのマイナー競技は、世界各国にどれほどの競技人口がいて、スポーツとして普及しているのか?。列挙したスポーツと比べて、野球やソフトボールがそんなにマイナーだったんだろうか。

 

毎年世界のその競技を統括する団体が開催する世界選手権や、世界各地を転戦するワールドシリーズ、4年に1度開催のオリンピックが最高の舞台になっているはず。各競技団体や各国のオーガナイザーが広告代理店と契約してスポンサーを募ったり、スポーツコンテンツとして放映権や商標権を販売して活動資金を得ているわけです。集められた資金から賞金が出たり、各国の競技団体への分配金が支給されて、大会運営資金や、選手強化費として支給されます。でも、どうでしょう、ワールドシリーズへの参戦や世界選への参戦、強化活動に選手は費用を負担していないでしょうか。トレーニングに集中したり、海外遠征して生活していくためのお金ってどうなっているんでしょう。

 

オリンピックの有力な強化指定選手に日本でなったとしても、支給されるのは月額30万円以下だと思います。年間で360万円。これで世界と戦う選手の強化育成が可能でしょうか。オリンピックの参加枠を所属の国が獲得するためのポイントがかかった大会に、年間10回参加したとしましょう。エアチケットが20万円、滞在費が1日2万円として7日間として14万円。機材はスポンサーが付いたとしても、1大会で34万円、10回の参加で340万円になります。それが4年で1360万円になります。活動資金と生活費を提供してくれるスポンサー企業や所属チームがないと、選手生活は成立しません。

 

そこが巧く行ってトレーニングや大会への参加ができて成績を残して、競技団体とIOC が制定したポイントを数人の選手が獲得して、世界ランキング入りして、その国の選手の獲得ポイントで国別ランキングが作られて、オリンピックの出場枠の最大枠を国にもたらしたとします。今度は国内で代表枠のかかった指定大会で上位に入る必要があります。オリンピックでメダルを取れそうなど、注目されている競技なら、オリンピック前の代表決定戦、この部分の放映権が国内競技団体の収入源になります。

 

オリンピックの国別枠の獲得に関係なくなった国際大会が存在します。オリンピック開催期限の近付いた、各国の代表になる有力選手が参加しなくなったワールドシリーズで獲得した順位を申し立てて、メダル獲得の可能性がある有力種目として、競技団体が宣伝するのは常套手段になっています。どの競技団体も補助金の分配を当てにしていますし、選手強化も大会開催にもお金は必要なことは間違いありません。でも、IOCや各国のオリンピック開催団体は、オリンピックスポンサーや広告代理店の御意向を忖度して、その国のゴールデンタイムに合わせて競技時間を深夜にしたり、早朝にしたりして良いモノなのか。

 

競技記録の統計によれば、午前中の試合で記録更新されることはまれで、基本的には決勝レースはパフォーマンスを発揮しやすい午後に設定されることが、あらゆる競技の常識になっています。選手は事前に開催国の時間に合わせて時差調整するのが普通です。それをずらしてパフォーマンスを発揮するには、それなりの負担が選手にかかります。こんな、競技者にとって基本的なことも踏みにじるIOC や開催国のやり方に、各競技団体は異議を唱えないのだろうか。それは競技除外というプレッシャーがあるからなのか?。4年間頑張ってきた選手の心からの声がとどかない、スポンサーファーストとしか思えないIOCの組織はまったくどうかしている。アスリートファーストと言う言葉はどこに行ってしまったのか?。2020年もそういうことがIOCや広告代理店の主導でスケジューリングされてまかり通るのだろうか。

 

富士山を背景にロードレースを開催したい。ロードレースは時差7時間から9時間のヨーロッパで人気だ。スタートは日本時間のお昼の12時、それでもヨーロッパでは朝7時の放送になってしまう。昼過ぎからゴールデンタイムにライブで放送したいので、せめて昼からの放送にしてよと欧州各国のメディアに言われたら、夕方7時のスタートで走行距離240kmを平均時速40kmで走るとして、6時間でフィニッシュするから、深夜の1時にゴールとなる。

 

これなら暗いけど、真夏の暑くて蒸し蒸しの関東地区の真っ昼間を走らないですむからIOC 的にもアスリートファーストだ。ロードレーサーに1200ルーメンくらいのLEDライトを付ければ問題なく?、走れるさ。ライトを点けて走る集団は映像的にも美しくいままでにない斬新なロードレースになるかも。では、伊豆のサイクルスポーツセンターの250mウッドバンクで開催されるピストレースはどうなるか。予選は午前中にでも始めればいいだろう。しかし、決勝種目になれば、やはりヨーロッパで人気のコンテンツだから、ライブ放送の時間はヨーロッパのお昼以降にして欲しいでしょう。

 

決勝種目は日本時間の午前1時頃からになるだろう。ピストバイクへのライトの装着はしなくても大丈夫、心配ご無用。何せ、世界標準のバンクで経験を積ませたいと特設した日本有数のウッドバンクなのだから。IOC UCIの競技施設として公認のお墨付きだっていただいているはずだから。サイクルスポーツセンターの250mバンクは室内競技場で、真夏の湿度も気温も関係無しに快適だ。エアコンも完備しているし、明るい照明には定評がるからまったく問題無し。少なめだった観客席もオリンピックまでには増設されるでしょう。深夜に戦う選手は大変だろうけど、そこはIOCファーストってことで諦めるべきだね。ではでは。