クマさんのバイク専科

カンパニョーロのボーラ50mmハイト

カンパニョーロのボーラウルトラ50mmのホイールが、たまたまオーナーが落車してリムが割れて交換修理に出ていました。旧モデルの20mmリム幅のニップルがリムの中へ内蔵された構造の最終型でした。お気に入りのホイールだけにリム単体の重量が気になります。

 

最初のモデルからボーラの50mmは何度かマイナーチェンジして、チューブラータイヤがレースで主流になって、22mmや23mmの太さだったのが、24mmや28mmが採用されるようになって、ボーラの50mmは、ニップルがリムの外に出ている、最新の24.2mm幅の太いリムのモデルになっています。

 

カンパニョーロのカーボンリムはチューブラータイヤ仕様と、クリンチャー仕様があります。リムトラブルの交換修理用のスペアパーツとしての供給ルートは、カンパニョーロジャパンからの供給ルートしかありません。カンパニョーロからのカーボンリムの構造変更や素材変更など、マイナーチェンジについての説明もないし、リム単体重量の正式発表もないので、カーボンリム単体で重さを計れることはなかなかありません。

 

発売初期モデルのボーラ50mmのリム単体は、三角形のカーボンディープリムの長い2面は、指で押してもびくともしない剛性があって、リム単体重量は400g前後と言われていました。たまたまブレーキパッドが当たる面の消耗で交換する作業の時に、消耗したリムと交換するリムの両方の重さを測って、その平均が378gでした。リムの中に収まるニップルは磁石に付くステンレス製で六角形をしていて、タイヤを接着する面に開けられた穴へ専用のニップル回しを差し込んで回して調整する構造でした。

 

初期型のイタリアメイドの20mm幅のボーラ50mmと、ハンガリーの生産拠点で製作された旧型の20mm幅のボーラ50mmは、リムの形状や表面処理がぴかぴかのクリアコーティングへ変わり、後期モデルはブレーキパッドの当たる面は切削加工されて高精度に仕上げられているモデルに変わりました。旧型の20mm幅のボーラ50mmには、カーボンハブでセラミックボールベアリング採用のウルトラと、アルミハブで鋼球ベアリング採用のボーラワンがあります。ニップルはリムの中におさまる構造で、50mmハイトのカーボンディープリムは20mm幅で、どちらも共通パーツと思われます。

 

発売当初のボーラ50mmのカルトベアリング仕様のモデルは、カーボンディープリムの単体重量が378gありました。もちろん後輪は3Gスポークで、前輪はラジアル組みです。発売当時のボーラより、旧型の20mm幅の最終型はカーボンディープリムの単体重量が343gと35gも軽量化されています。最新の24、2mm幅のボーラ50mmのウルトラの345g、初期モデルのボーラと比較すると、後輪はかなり軽量化されています。

 

ボーラは初期モデルでも、かなり完成度の高いディープリムホイールですけど、旧型の20mm幅のボーラ50mmも、最新のニップルが外に出ている24、2幅のボーラ50mmも、リム重量を削って軽量化したんだろうと思っていました。リムの差だけで初期モデルと30g以上の軽量化を実現しています。しかし、400g以下のカーボンディープリムを30g軽量化するのは、ホイールの剛性感、段差乗り越しや転倒時などの破損しやすさなど、リスクをともないます。段差での抜重などのテクニックが必要になります。転倒後のチェックも必須になります。

 

ボーラの50mmのカット見本を見ましたが、リムのタイヤを張ったり、ブレーキパッドが摩擦する外周部分が厚く、そこから三角形の2辺が薄く成型されていて、手で押すとぺこぺこ変形するほどでした。スポークのテンションを上げてホイールの剛性を確保するという設計です。スポーク本数が少ないエアロダイナミクスホイールは、ホイールの剛性を確保してパワーロスを無くそうとすると、スポークテンションを高く設定することが必要で、スポークのテンションを上げるためにも、リムの剛性は重要なポイントになります。

 

ホイール全体の強度とか剛性を考えると、リムの剛性を確保するには、ある程度のリムの重量が必要になります。アルミ合金製のリムで400gから500g、カーボン製のリムでは350gから400gが目安になります。軽量化されたボーラ50mmの低速域からの踏み出しは軽くなりましたが、急加速やグイグイ踏み込んだ時の反応性、上り坂でトルク変動が大きいペダリングでのパワーロスがないかが気になります。明らかにカーボンディープリムの重量が軽くなっていますね。ではでは。