クマさんのバイク専科

クマフィットのクリートの位置設定:パート2

初めてビンディングペダルを使うライダーは、このメソッドでクルマのこない場所でトレーニングしましょう。まず左右のクリートの位置が最適化されていること。ビンディングペダルのキャッチメカにズムのバネの強さの調整ボルトが最弱にセットされていることを確認します。ショップのメカニックに確認してもらってください。バイクをまたいで両脚を路面に付いて立って、バイクを左側へ少し傾けて、右の爪先で押してペダルの踏み面を上に向けて、右足を踏み込むように力を加えてビンディングペダルにカチッとクリートをセットします。セットする事をキャッチといいます。

 

右クランクを逆転させて45度の位置へ引き上げて、クランクを踏み込んで加速する時間を長くします。右クランクを踏み込むと同時にサドルにお尻を乗せて、スピードが出てバイクが安定している間に、左足を見ながら爪先で左ペダルの踏み面を起こして、クリートの先端をペダルの先に滑り込ませて、ペダルの踏み面へ向かって踏み下ろすとクリートがキャッチされ、左足が固定されます。もし、足をセットできなくてもあわてることなく、固定されている右足は踏み込んで、セットできなかった左足も、ペダルをとりあえず踏んでスピードを落とさないようにして走り、次に左足の爪先で踏み面を起こしてクリートをセットするチャンスを待ってキャッチします。

 

両足をキャッチして数回ペダリングしたら、前後のブレーキを緩くかけてスピードを落としながらバイクのバランスをとって、左足のカカトを外側にひねって足をリリースして、ブレーキングしながらバイクを左側へ傾けて着地します。車道側へ倒れると危険ですから。このスタートから着地までの一連の動作を、20分から30分、一連の動作に慣れるまで繰り返します。最初は足元を見て動作しますが、そのうちに見なくてもキャッチできるようになります。

 

このトレーニングでキャッチ&リリースの動作に慣れて自信を付ければ、公道も問題なく走れるようになります。このキャッチ&リリースをトレーニングするメソッドに取り組めば、足がビンディングペダルから外れなくて転倒するという可能性を減らせます。もしビンディングペダルやバイクシューズをお買い上げのお客様で、ビンディングペダルに慣れるトレーニングのアドバイスが必要でしたらスポーツバイクつくばマツナガのスタッフに申し出てください。土曜日の午後か、日曜日の午後にメソッドを体験できる時間を作ります。

 

シマノもルックも、ロード用のペダルのプラスチック製のクリートは3種類用意されています。シマノでは足を動かせるのをフローティングモードと言います。カカトを踏み面を中心に左右、内外と大きく動かせるモード(シマノは黄色の3度)、小さく動かせるが、かなり制約感があるモード(シマノは青色の1度)、固定モード(シマノは赤色の0度)も用意され、実際には固定モードでもほんのわずかですが、キャッチメカ二ズムがバネで動くぶんだけ足を動かせます。足を動かせる範囲の好みに合わせて選べるわけです。

 

ペダリング中の脚は、足が上死点を通過して、踏み込む力がいる時にはカカトを外側へ移動して、下死点を通過するとカカトを内側に移動して上死点へ戻すという動作になります、個人差がありますが脚のひねりの動作が行われています。1日ライドを楽しむと、毎分90回転のケイデンスで1時間あたり5400回踏み下ろします。4時間走ると21600回になります。脚のひねりのストレスは繰り返しかかります。キャッチしてからも足を動かせる構造の採用で、膝関節や靱帯や筋肉の疲労の蓄積や痛みの発生の可能性を減らせます。

 

ペダリング中の脚のひねりの動作には個人差があり、大きく脚の動きや足の動きになって脚の動きに現れる場合もありますが、ほとんど脚や足の動きとして表れないライダーもいます。もちろん踏み込む力によっても脚の動きが違って、高トルクのペダリングの時だけ大きく動くケースもあります。ライダーの個性に合わせて3つのクリートを選べばいいという事らしいです。

 

でも、3種類のクリートを取り付けて色々試してみると、固定式のローラー台での軽い負荷や、高い負荷でのペダリングのチェックや、実際に上り坂や平地でのペダリングもウォッチして、さらに、何の束縛もないその場で足踏みをしてもらい、上死点から3時の位置までの踏み込む位置での足の向きや、着地した時の足の向きを参考に、そのライダーの足の自然な向きを見極めて、足の向きを反映させてクリートの取り付け角度を合わせます。

 

ペダル軸の位置を移動して足の安定感に関係するクリートの前後位置。左右の足の開き、Qファクターに関係してくランクの回しやすさに関わる内外の位置を見極めて、クリートの位置を固定します。キャッチしてからも足を大きく動かせる黄色いクリートでも、固定モードじゃなきゃと言っていたライダーも含めて、自然な足の向きに合わせたクリートの取り付け角度で設定すると、ほとんどのライダーにクリートの設定をマッチさせて、快適にペダリングすることが可能でした。

 

固定モードと1度のフローティングモードのクリートは、前方が広くなっていて、キャッチされてから足を動かせる範囲が制約を受けて、足の動きも爪先が動かない感じで、ペダリングしている脚がストレスを感じることがあります。黄色や青色のキャッチしてから足を動かせるフローティングモードのクリートでも、自然な足の向きに合わせてクリートの取り付け角度を設定できてないと、mm単位のわずかの位置のズレでも、ペダリングしていて膝関節や脚の筋肉にストレスや違和感が発生します。ビンディングペダルは、キャッチ後も足を動かせるのだから、クリートの取り付け角度は、だいたいでいいんだというのは間違っています。

 

シマノのSPD-SLでペダリングしてもらい、足の動きを観察してみると、黄色いクリートでキャッチ後に足を動かそうと意識すると、踏み面を中心にカカトを扇形に動かせるだけでなく、内外にもわずかに移動できました。確かに足はキャッチしてからでもかなり動かせます。しかし、クリートの前後位置、内外の固定位置、自然な足の向きにmm単位、またはそれ以下の移動量で微調整して、ベストな位置に固定できると。脚を踏み込むフェーズでも、引き上げるフェーズでも、ペダリング中の足の動きはかなり小さくなります。

 

しかも、左右の脚の膝関節を前から見て、踏み下ろすたびにぐらぐら動いたり、大きな楕円の軌道を描いていたのが、比較的スムーズに下へ向かって踏み下ろせるようになって、同じような軌道を描いて上死点へ戻るようになります。自然な足の向きになれば、膝関節が受けるストレスも、生活してきた時と同じように関節の接触面が触れて、ペダリングで負荷がかかっても、傷みの発生しにくい状態でペダリングできます。

 

しかも、ニュートラルな向きにクリートが固定されているので、脚のひねりが大きいライダーでも、ひねりによるストレスを最小限に抑えられます。逆にほとんどひねりがないライダーの場合も、足の自然な向きに合わせてセンターが出ているので、脚にストレスが発生しないので、自然に踏み込めるのです。もし、シマノのペダルでペダリングしていて、踏み面の上で足がぬるぬる動く感じがしたら、クリートの取り付け角度が合っていない可能性があります。

 

プラスチック製のクリートをチェックして、ペダルの踏み面と触れる部分が、ツルツルに光って摩耗していたら、ペダリング中に自然にカカトを左右へ動かして、踏みやすくパワーの伝わりやすい位置を、前後、内外、角度も含めて、最適な位置を探しながらペダリングしている可能性があります。ローラー台でのチェックなら高負荷でペダリングを見たり、フィールドでの確認なら上り坂で確認すると、最適なクリート位置を実現するヒントを見つけることができます。ここにもどう対応すればいいか、フィッターの経験とノウハウが必要になります。パート3へ続く、ではでは。