クマさんのバイク専科

クマフィットのクリート位置の調整:パート3

シマノの可動範囲の違う3種類のクリートを取り付けて、ペダリングして試してみると、色々なことが分かってきました。固定式のローラー台での軽い負荷や、高い負荷でのペダリングのチェックだけでなく、実際に上り坂や平地でのペダリングもウォッチして、さらに、何の束縛もない、その場で足踏みをしてもらい、上死点(12時の位置)から3時の位置までの、踏み込む位置(フェーズ)での足の向きや、着地した時の足の向き、足の裏の踏み込む角度を参考に、そのライダーの足の自然な向きをチェックします。

 

フィッターのノウハウで、自然な足の向きを反映させてクリートの取り付け角度を合わせ。足とペダル軸の中心の位置関係を移動して、軸の中心の位置をどこにするかで、クランクを踏み込む足の安定感や、脚の筋肉への負荷がかかる場所に関係する、クリートの前後位置で調整します。クマフィットではだいたい母指球の位置より、ペダル軸の中心は後ろへ設定して、足の安定を狙って設定します。

 

左右の足の開き、Qファクターに関係して、クランクの回しやすさに関わる内外の位置をぎりぎりバイクシューズがクランクに接触しない位置を見極めて固定しています。足の自然な向きを反映してクリートの位置を固定すると、キャッチしてからも足を大きく動かせるフローティングモードの黄色いクリートでも、赤いクリートの固定モードじゃなきゃと言っていたライダーも含めて、ほとんどのライダーにマッチさせて、快適にペダリングすることが可能でした。

 

シマノのSPD-SLでペダリングしてもらい、足の動きを観察してみると、黄色いクリートでキャッチ後に足を動かそうと意識すると、踏み面を中心にカカトを扇形に動かせるだけでなく、内外にもわずかに移動できました。確かに足はキャッチしてからでもかなり動かせます。しかし、クリートの前後位置、内外の固定位置、自然な足の向きにmm単位、またはそれ以下の移動量で煮詰めて、ベストな位置に固定できると。脚を踏み込むフェーズでも、引き上げるフェーズでも、ペダリング中の膝関節の位置などを見ると、真っ直ぐ踏み下ろして、真っ直ぐに引き上げるようになります。

 

左右の脚の膝関節を前から見て、踏み下ろすたびにぐらぐら動いたり、大きな楕円の軌道を描いていたのが、比較的スムーズに下へ向かって踏み下ろせるようになって、同じような軌道を描いて上死点へ戻るようになります。自然な足の向きになれば、膝関節が受けるストレスも、生活してきた時と同じように関節が接触して、ペダリングで負荷がかかっても、傷みの発生しにくい状態でペダリングできます。

 

しかも、ニュートラルな向きにクリートが固定されているので、脚のひねりが大きいライダーでも、ひねりによるストレスを最小限に抑えられます。逆にほとんどひねりがないライダーの場合も、足の自然な向きに合わせてセンターが出ていて、脚にストレスが発生しにくいので、自然に踏み込めるのです。もし、シマノのペダルでペダリングしていて、踏み面の上で足がぬるぬる動く感じがしたら、クリートの取り付け角度が合っていない可能性があります。

 

プラスチック製のクリートをチェックして、ペダルの踏み面と触れる部分が、ツルツルに光って摩耗していたら、ペダリング中に、自然にカカトを左右へ動かして、踏みやすく、パワーの伝わりやすい前後、内外、角度も含めて、最適な位置を探しながらペダリングしている可能性があります。ローラー台でのチェックなら高負荷でペダリングを見たり、フィールドでの確認なら上り坂で確認すると、最適なクリート位置を実現するヒントを見つけることができます。

 

基本的で、具体的なクリートの設定の方法を、関連しているショップのフィッティングをしているスタッフに教えてみようかな。それをマスターできた人には、その場で足踏みをしてもらって、踏み込むフェーズでの足の向きを見極めて、着地した足の向きも見て、そのフェーズによって変わる自然な足の向きの変化を、クリートの向きに反映して、ペダリングする足の動きを最小化する方法をアドバイスしようかな。

 

ペダリング中の足の自然な向きに合わせてクリートを取り付けて、キャッチ&リリースがスムーズにおこなえるかを確認して、さらにペダリングを低負荷と毎分80回転できる中負荷でのペダリング中の足の動きを確認して、真っ直ぐに脚を踏み下ろせているか、前から見て膝関節が大きく輪を描いてペダリングしてパワーをロスしていないか、スムーズなペダリングができているかを確認します。

 

もしこの段階で足の妙な動き、上死点を通過して脚を踏み込んでから、下死点を通過する足が、カカトを左右に振って、本当に踏みたい足の向きを探していたり、バイクシューズの中で足を前後へ動かして、前後の位置を探していたら、クリートの取り付け角度や前後位置が合っていない可能性があります。その他にも、上死点を越えた位置からもっともパワーを発揮する3時の位置まで、自然な足の向きにクリートの取り付け角度を設定して、脚を踏み込んでもパワーが伝わらないライダーもいます。フィッターは、30人に1人くらいの、このレアケースを見極めることも重要です。その場合は、さらに難しいクリート位置の取り付け角度と、前後位置の見極めが必要になります、ではでは。