クマさんのバイク専科

快適サドル探しを試乗サドルでお手伝い!

自転車の人と接するパーツのデザインと言うのは、どういう基準で作られているんだろう。パーツの機能というベーシックな構造があって、ライダーの体が触れて操作したり、パワーを伝達したりしているわけ。各メーカーともバイオメカニクス(人間工学的)とか、アナトミックデザイン(解剖学的)とかを採用しているけど、それぞれ、操作方法やメカニズム、人間と接する部分の形状や感触が違っています。

 

その展開的な例がライダーとバイクの接点、有力なインターフェースがサドルで、体重や脚の発生した力を支えるため、力のかかるポイントです。サドルの形状、構造、素材で乗り心地が大きく別れます。ライダー側のサドルに求める性能や感じ方も個人差が大きい部分です。同じサドルに評価が大きく分かれることも普通に起こる部分です。長年レーシングモデルもツーリングモデルも、快適性、軽量性、イージーな手入れなどが追求されていますが、誰もがこのサドルで大丈夫という、決定版のデザインが確立されていません。

 

サドルメーカーのコンセプトも色々で、座骨の幅に合わせて選ぶとか、腰椎の柔軟性によってサドルが用意されていて選ぶとか、ショップのスタッフにアドバイスされて、メーカーのコンセプト、選ぶプロセスをたどってサドル選びして使ってみたけど快適じゃなかったし、やっぱりコレと言った決め手がない感じです。結局現実には、男性用のレーシング、ツーリング、女性モデルのレーシングやツーリングなど、サドルの数は数知れずの状態です。

 

その時代、時代で、サドルの流行りがあって、人気モデルが登場しています。イギリスのブルックスのB17プロフェショナル、フランスのイデアルの90、その辺りまでは1枚革のサドルでした。オイルを染み込ませて硬かった革がしなやかに慣らされ、低くカットされたワイヤーレールと、やや幅をしぼったフレームに張り替えるのです。慣らしたサドルの革をフレームに止めている鋲を外して、革をはがして張り替えて、革へのダメージを分散して固定するために大銅鋲で固定しています。細く絞って張り直した革サドルが、ロードレーサーに使われていました。

 

革サドルのような慣らし期間が必要なく、雨の中を走った後の変形を防ぐ手入れやケアも必要ない、イタリアのユニカ二トールのプラスチックベースのサドルが登場します。ミラノの郊外にあったチネリという卸屋さんを経由して世界に発信され、慣らしや手入れが面倒な革サドルを駆逐して行くことになります。プラスチックサドルは、直ぐに改良されてサドルの形状も絞り込みも工夫され、クッション入りや接触感やルックスを向上させるために、革張りサドルに進化します。

 

ユニカニトールのプラスチックサドル、セライタリアのターボ、セラサンマルコのコンコルド、セラロイヤルのアナトミック、アヴォセットのアナトミック、サンマルコのロールス、サンマルコのリーガル、カンパニョーロのエアパッド入りサドル、フィジークのアリオネ、とにかくいっぱいあり、ほとんど乗りましたが、バイクパンツのパットがセーム革一枚、上等なのでセーム革の間に薄いパッド入りという時代が長かったので、アソスのS5やS7パッドの時代と、単純な比較はできませんが、とにかくお尻の痛さとの戦いでした。

 

当然、プラスチックサドルは格段に進化しています。座骨のあたる部分をへこませたベースや、パッドを厚くしたり、尿道や性器への接触や圧力を分散させる、穴あき、溝付きなどのアナトミックデザインとか、バイオメカニクスデザインが投入されて、快適性が追求されています。圧力分散の形状やクッションやジェルも採用されました。ベースもエンジニアプラスチックや、カーボンチップ混入教科プラスチックや、カーボンシートを封入したプラスチックベースも登場して、理想的な形状をキープしてヘタリにくくなりました。

 

さらに、レールも金属製の中空、チタン合金とか、カーボンも採用され、軽量なサドルを実現しています。革サドルと比較すると2分の1とか3分の1の軽さになっています。軽量性や快適性の追求で、表面の革、クッション性、圧力分散のパッドやジェル、ジェルの位置や厚さ、穴開きデザイン、溝付きデザイン、中央から先端部分の太さ、中央から後ろにかけての広がり、とにかく要素が一杯あって、決め手がなく、ショップのスタッフにアドバイスしてもらっても、必ず合うわけではなく、自分のお尻で試して探すしかないのです。

 

だけど、合うかどうか分からないサドルに投資するのはなー、と思いますよね。そこで考えたのが試乗用のサドルを用意することです。スポーツバイクつくばマツナガのフィティングスペースに展示してあるサドルがそれです。貸し出し期間は1か月ですからウイークエンドライドで4回試せます。料金はお安く設定していますのでスタッフにお尋ねください。1日に50kmから100kmくらい走って、高さ、前後位置、取り付け角度を最適化して試すことができます。気に入ったらその製品をご注文ください、というシステムです。