クマさんのバイク専科

変化するロードタイヤの空気圧の調整!

ロードバイクのプロチームの使用機材のタイヤの状況は、クリンチャータイヤからチューブラータイヤへとタイヤの構造が移行して、ここ数年で、またタイヤの太さというファクターが25mmへと変わろうとしています。すでにレースの世界では25mmタイヤが主流になろうとしています。タイヤの太さは23mm(実寸21、5mm)、24mm(実寸23mm)、25mm(実寸24mm)、28mm(実寸27mm)が使われるようになっています。

 

このクラスのタイヤは1mmの太さの違いで大きく特性が変化します。タイヤが太くなると、どうしても細いタイヤより重量増となります。リム周辺重量が増えるので踏み出しは重くなります。でも、エアボリュームが大きくなって、バイクが傾いた時のグリップ力が大きく向上するし。ショック吸収性は格段に高まり、路面への追従性も増します。さらに転がり抵抗などのタイヤとしての基本的性能のキャパシティは大きくなります。

 

転がり抵抗は細いタイヤの方が接地面積が小さくて、抵抗が小さいのではと思いがちですが、細いタイヤは接地面が縦方向へ広がり、円い断面で路面へ接地して、接地したタイヤは平に変形して、路面から離れると円い断面に戻るという、タイヤの変形が転がり抵抗になります。細いタイヤは変形量が大きくなり転がり抵抗は大きいのです。反面タイヤの重量が30gくらい軽いので、実際にペダリングすると、踏み出しを軽く感じます。

 

太いタイヤは接地面積の縦方向が短くなり、細いタイヤより接地面は横方向へ広がり、タイヤの変形量が小さくなって転がり抵抗は小さくなります。でもタイヤの走行感に関係する要素はそう単純ではありません。タイヤとチューブのしなやかさ、空気圧の設定がタイヤのしなやかさや、接地面積に関係します。だから、しなやかなタイヤ選びも、しなやかなチューブ選びも大切ですし、タイヤが変形して接地面積をやたらに大きくしない体重や、ペダリング特性にあった空気圧の設定も重要です。

 

タイヤの変形量が大き過ぎるとしなやかなタイヤでも、前に進むペダリングのパワーをロスしてしまいます。特にトルク変動の大きい踏み込み重視のペダリングをすると、タイヤが踏み込むたびにタイヤが沈み込んで、バイクが上下動してパワーロスしてしまいます。空気圧を0、3気圧から0、5気圧上げるとタイヤの変形量が小さくなりますが、今度はショック吸収性が低下します。そういうバランスをとるのが難しいのです。

 

タイヤの太さ選びも、空気圧の設定も、タイヤの重量も、ライダーのパワーや走り方に特性に合ったバランスのものを選ぶのが重要です。ライダーが発揮するパワーの違いもタイヤ選びには重要です。1時間継続して450ワットから700ワット発揮できるプロライダーと、300ワットを上廻るのが難しいアマチュアとのパワーの違いも、タイヤ選びの時に考える必要があります。

 

太いタイヤは当然のように重量増があり、23mmのチューブラータイヤが約250gだとすれば、25mmで30g増、28mmでは60g増くらいになります。タイヤの重量差は、加速の軽さとして、はっきり重量増とともに踏み味を重く感じます。平坦コースでのスピード維持性能とタイヤの重さとのバランスはどうなるのかな。平坦なら慣性は働きますから、一旦スピードを上げれば維持しやすいですが、上りセクションになると重さははっきり負担として感じます。

 

太いタイヤの接地面は左右方向へ広がり、直線では違いを感じにくいですが、バイクを倒し込んだ時のグリップ感に大きな差を感じます。安心してコーナーを攻められますし、特にダウンヒルでのハイスピードのワインディングでは安定いたグリップ感を体感できます。メーカー推奨空気圧が7気圧から10気圧だとしても、7気圧から始めたり、6、5気圧から始めて、空気圧の調整はクリンチャーは0、3気圧から、チューブラーとチューブレスは0、5気圧変化させて、何度も試して最適な空気圧を探して欲しいです。走行距離も50km以上、100km200km走ってみて快適性はどうか、上りではどうか、ダンシングではどうか、サーキット走行ではどうかを試してほしいです。

 

転がり抵抗の小ささは太いタイヤだから生まれるのではなく、タイヤのコードのしなやかさ、トレッドゴムのしなやかなハイグリップ性能、ラテックスチューブのしなやかさ、太さによる接地面積の横方向への広がり、最適な空気圧の設定が要素になっています。最近のライドでのタイヤは踏み出しの軽さを重視して、軽量でしなやかな23mmタイヤを、6、5気圧から7気圧の低圧に設定して走っています。超軽量タイヤは踏み出しの軽さは魅力的ですが、パンクのリスクが高過ぎるので諦めました。パワーが無いので25mmの30gも重いタイヤを踏み切れませんから。コーナーも攻めないし、ダウンヒルも安全なスピードで走っているので23mmでも十分な性能です。

 

でも25mmタイヤを否定するつもりはありません。むしろ、チューブラータイヤのルーべ25mm、クリンチャーのスペシャの25mmタイヤを体験して、体力アップしてクランクを踏めるのであれば、タイヤの基本性能が高いので使いたいと思っています。25mmタイヤは転がり抵抗の小ささ、と言ってもタイヤの重量増分だけ、踏み出しは明らかに重いです。安心できるグリップ感、ショック吸収性能など、そこを重視すれば25mmタイヤの採用はレースでも、ロングライドでも納得できるタイヤ選択です。ではでは。