クマさんのバイク専科

バイクシューズのクリートの固定位置の改造

 

2年使ってきたマヴィックのトライアスロンモデルは、7mm前後の薄く軽量で適度なしなりがあるけど、踏み込んだ時にスポット的なペダルの食い込みは感じない比較的フラットなカーボンソールで、ナイロンメッシュとツヤありのシンセティックレザーのアッパー、カーボンのヒールカップ、ソフトなヒールカウンター、マジックテープ止めメインストラップ、マジックテープ止めのサブストラップの2本止めの2代目のモデルです。

 

初代のトライアスロンモデルは、シンセティックレザーがマットの蛍光イエローのモデルで、その時代から使っていました。なんでトライアスロンシューズなのか、それはトライアスロンはトランジットタイムを短縮するために、バイクスタートで素足のままはく、ロードペダル向きのバイクシューズなので、中がソックスをはくバイクシューズより、縫い目や角がていねいに作られています。これがソックスをはいてペダリングしても心地良いのです。

 

ロード向きな3本ストラップとかボアダイヤルによるワイヤー止めほうが、アッパーのフィット感が高いじゃないか、というご指摘もあると思います。ボクがシリアスに走るライダーなら今もそっちのモデルを選ぶかもしれませんが、トライアスロンのコーチを経験した時に、トライアスロン用のバイクシューズはどんなものなんだろうと、スペシャライズド、ガエルネ、シディ、マヴィックなどを試してみて、快適だなーと感じました。

 

今では100km以下の短い距離をのんびり走ったり、佐渡ロングライドを走るだけなので、上り坂で踏み込むペダリングをしても、ほとんど引き脚は使わないし、スプリントのような強く踏み込んで、上死点へ足を強く引き上げるペダリングはほとんどしないので、アッパーの中で足裏が浮き上がる方向に力がかかることもないので、走りながら調整しやすい幅広のマジックテープ止めのメインストラップも、爪先のマジックテープ止めのサブのストラップも、足先の血行を重視して、強く締めたことはありません。

 

もっと踏み込む脚を安定させたいというプロ選手からの要望で、すでにカーボンソールのクリートを固定する3カ所のネジ穴は、5mmくらいスライドできる構造になっていました。週末のマジカルミステリーツアーで使おうと、倉庫にストックしておいたマヴィックのトライアスロンを探してきました。5mm後ろへ引けるモデルでしたが、最新のシマノやスペシャライズドのカーボンソールモデルと比較すると、後ろへ引ける量が小さいので、さらにクリートを後ろへ引けるようにカーボンソールと金具を改造しようと思いました。

 

クリートの止める位置をストック状態のいちばん後ろへ引いたときより、2mmほど後ろへ引けるようになりました。ペダルシャフトの中印の位置を、踏み込む状態の足の裏の角度の時に、母指球の後ろ3mmから4mmになる、ペダルシャフトの中心の設定で、果たしてどんな効果があるのか。まるで効果が無いのか?。こんな深いペダルシャフトの設定は初めてなので、どのくらい踏み込む足が安定するんだろうと、期待も込めてすごく楽しみにしています。

 

シマノのSPD-SLクリートをカーボンソールに固定する、3本のボルトをねじ込む、カーボンソールに内蔵されているY字型のチタン合金製の金具を取り外して、スライド幅を広げるために、金具をバイスプライヤーにはさんで、約2時間かけて削り過ぎないように注意しながら、小型のリューターと金ヤスリで慎重に削りました。カーボンソールの楕円の穴も丸い金ヤスリで削って後ろへスリットを広げました。ストック状態のカーボンソールでも、5mm以上後ろへスライドできるようになっていますが、足の安定化をより強めるために、さらに後ろへクリートを引けるように、カーボンソールの中に埋め込まれている、Y字型の金具を削って後ろへ移動できるようにして、カーボンソールの穴も後ろへ広げてスライド幅を大きくしました。

 

この作業方法を思いつく時間も含めて4時間かかりました。この加工でストック状態より2mm前後クリートを後ろへ引いて固定できるようになりました。これでペダルシャフトの中心を母指球のかなり後ろに設定することができます。踏み込むフェーズの足の裏の傾斜で、母指球の位置より3mmから4mm後ろへ設定できました。ペダルシャフトの前後位置の1mm2mmの差は、ペダルの踏み味に多きく影響します。爪先寄りにペダル軸の中心が近付くと、ペダリングしていて、足首の動きで踏み込む方向をコントロールして、ペダルシャフトの中心が描く円の、接線方向へ踏み込む方向を変化させて、スムーズにペダリングしやすい設定です。

 

逆にカカト寄りにペダルシャフトの中心を設定すると、足首の動きをペダリングに反映しにくくなりますが、踏み込む足は安定して、膝関節から下のふくらはぎやすねの筋肉で、足首を支えるストレスから開放されて疲れにくくなります。足の安定化を狙っての改造はできました。今まで使ってきた、足の形に馴染んでいるトライアスロンも同じように改造することにしました。ハンディなリューターでY字型の金具を削っていましたが、素材の強度が高い、粘りのあるチタン合金なので、なかなか削れませんし、金ヤスリでもなかなか削れませんでした。

 

バイスプライヤーでY字型の金具をはさんでしっかり保持して削ることにしました。M4とーちゃんにもらった医療用のグラインダーを思い出して、取り出して金具を削ってみました。かなりパワーがあって素早く削れました。カーボンソールの溝に合わせて、金具の必要な部分を思ったように削れました。これで2足ともクリートを後ろへ引けるようになりました。足に合っているバイクシューズでマジカルミステリーツアーを走りました。たった2mmですが後ろへ引けたことで、確かに踏み込む足がはっきり安定化しました、いい感じです。ではでは。