クマさんのバイク専科

百哩大王のフィッティングセミナー!、パート1

毎年春先に開催されている百哩大王のフィッティングセミナーに行ってきました。百哩大王のメンバーはカーボンフレームが全盛の時代に、スチールフレームのバイクユーザーがけっこういます。このフィッティングセミナーを何年か経験した印象です。スチールフレームのショック吸収性や、ハンガー周辺のしなりとか粘りなどが選んでいる理由なのだそうです。細身のフレームチューブのクラシックスタイルのバイクには、ロングホイールベースによる安定感や、ブラケットに手を沿えるだけで真っ直ぐ走れる安定したハンドリングなど、ロングライドに向いている要素が含まれているのかも知れません。

 

フレームやホイールのショック吸収性にしても、路面からの振動は、走行距離が伸びるほどにダメージになりますから、百哩大王メンバーのように長い距離を走るライダーにとって重要な要素です。クロモリのフレームにもフレームチューブに肉厚や外径など使用目的に合わせたものが色々あって、1、2mmのプレーン管、1mmのプレーン管、0、9mmから0、7mmのダブルバテッド管、0、8mmから0、6mmのダブルバテッド管、0、7mmから0、5mmの超軽量のダブルバテッド管など、スタンダードサイズやオーバーサイズなどもあって、剛性の高いチューブやしなやかなチューブから選べるのです。

 

接合方法はスチール製のラグを使ってロー付け溶接を採用したり、ラグレスでティグ溶接やロー付け溶接された、2kgから2、7kgぐらいのフレーム&フォークセットが一般的な重量です。シートステーやチェーンステーや、フロントフォークブレードなどのテーパード管は、どの肉厚のものを、どの太さの部分を使うかでフレームやフロントフォークの剛性が変わります。フロントフォークブレードは、どの位置からどんなアールで曲げるか、どのフォーククラウンやフォークコラムを組み合わせるかで、フレームやフロントフォークの剛性やハンドリングが細かくコントロールされています。

 

スチールフレームにしなやかさがあるように、カーボンフレームもアルミフレームも、コンペティション向きのトップグレードの高剛性設計モデルだけではなく、カーボン繊維製品本来の振動減衰性やショック吸収性、カーボン繊維製品の設計技術や成型技術の進化を応用して、高剛性モデルだけでなく、しなやかな乗り心地を発揮するモデルもあります。アルミ合金チューブも素材特性やチューブの成型技術や設計技術も進化して、しなりのあるアルミ合金製フレームを製造できるようになっていますから、クロモリ派のライダーもぜひ軽量なカーボンバイクやアルミバイクにチャレンジしてほしいですね。完成車重量で、おそらく2kg近い軽量化が可能なはずです。上りセクションで効果を発揮しますよ。

 

スチールフレームもフロントフォークがスレッド(ねじ切り)タイプとスレッドレス(アヘッド)タイプがあります。スレッドタイプのステムは、斜ウスや台形ウスで固定位置を自在に高さの調整ができますが、ドロップバーのクランプ形式が交換しにくい構造になっています。アヘッドタイプのステムは、クランプ形式がドロップバーを交換しやすいオープンクランプ形式で、ステムの突き出し寸法やライズ(突き出し部分の角度)を選びやすい構造です。

 

ライダーの体格や体力や走行距離に合わせて、快適に走れるポジションを実現するフィッティングは、固定式のローラー台にバイクをセットしてもらい、バイクパンツやバイクシューズをはいて、20分から30分ウオーミングアップして、ライダーのパワーをバイクへ伝えるインターフェースのクリート位置の調整。サドルの高さや取り付け角度や前後位置の調整。ステムの高さやドロップバーの取り付け角度やブラケットの取り付け位置を調整します。時にはステムの交換やシートポストを交換してポジションを最適化することもあります。

 

フィッティング経験があるライダーでも、新しいロードバイクに乗り換えて、前のバイクのポジションに合わせて、サドルやステムやブラケットのセッティングをしてもらっていても、実際に走ってみてポジションに違和感を感じているケースもありました。フレームの設計が違うし、サドルの形状も違う場合があるので、ぴったり前の乗り心地を再現するのは簡単ではないですね。バイクシューズも寿命があって、アッパーが破けてしまったり、ソールが消耗したり、新製品が魅力的だったりで交換することがあります。そうなるとフィッティングしたクリートの位置を気に入っていて、印を付けていてもその位置を反映して移植となると、見た目で移すしかありません。

 

バイクシューズはアッパーとソールの形状が、同じブランドや進化したモデルが継承するとは限りません。スペシャライズドなんか毎年アッパーの形状が変化しているし、カーボンソールの形状が違う場合があります。逆にマヴィックのバイクシューズのように、カーボンソールの形状が10年近く継承されている場合もります。いずれにしてもクリートの位置の調整はmm単位なので、そっくり移すのは簡単ではありません。その場で足踏みしてもらったり、バイクシューズをはいて、キャッチ&リリースしたり、高負荷のペダリングや高回転のペダリングを見て微調整します。パート2へ続く。ではでは。