クマさんのバイク専科

電動メカのトラブルの主な原因はユーザーらしい?

シマノが電動メカのDi2シリーズの10段のデュラエースを発売して以来、
アルテグラも続いて発売されて、ずいぶん経過した気がします。
すでに11段フリー対応のデュラエースとアルテグラの第2世代のDi 2となり、
プロロードレースのトップチームの機材では、
シフトケーブルで操作するメカニカル装備のバイクをみつけるのがとても難しくなっています。

このシマノDi2やカンパニョーロEPSの電子制御や電動メカと呼ばれる
コンポーネントパーツのプロの機材での普及ぶりは本物なのか?。
今でこそトップチームは24mmから25mmのチューブラータイヤユーザーばかりになっていますが、
クリンチャータイヤがほぼ100%という時代があったように、スポンサー企業の御意向によるものじゃないのか。
それとも、電動メカの優位性や信頼性や整備生などを、選手やスタッフが認めてのことなのだろうか、
という事を考えました。
使ってみれば分かることだけど、もちろん後者だと信じています。

コンポーネントパーツメーカーは総力を挙げて開発や改善に注力していることでしょう。
寒波とシマノの電動メカに続くスラムは、モーター駆動の変速システムに加えて、
フライバイワイヤーによる変速が採用されています。
日本でのスラムのデビューはピナレロのバイクに装着されたものが今月中にも入荷する予定とか。
Di2発表前後から、機材がヒューマンにグイグイと歩み寄っているのを感じます、
モーター駆動で前後のインデックス変速のパフォーマンスが向上して、ストレスフリーとかも含めて、
ライダーが走りのパフォーマンスを発揮することに集中できるように、機材がサポートする時代ですね。

シマノのアルテグラとデュラエースのコンポーネントは、メカニカルの変速システムと電動の変速システムとコンパチブルです。
カンパニョーロも同様です。
変速スピードを追求したコンポーネントと、
モーター駆動で強制的に上り変速も下り変速とも変速する電動メカとの組み合わせで、
最初に正しく電子制御のセッティングをしたら、変速のスイッチを押すことに慣れるだけで、
素早いミスシフトのないインデックス変速を思い通りに操作できて、
しかも継続的に実現してくれるので快適な変速を約束してくれます。

メカニカルの場合は、デュアルコントロールレバーのシフトケーブルを巻き取る機構の付いたシフトレバーを、
大きく内側へひねったり、指先で押したりします。メカニカルでは、フロントはインナーギヤ側への変速、
リヤはトップギヤ側への変速は、前後の変速機本体に組み込まれたリターンスプリングの力で動かすので、
後ろはトップギヤ側、前はインナーギヤへのリターン変速は、ほんのちょっとですが待つ感じがあります。
内外の変速のスピードや強制感に違いが発生します。

それに比べると、電動メカはブレーキレバーの先端に付いているスイッチや、
ハンドルバーなどに設定されたスイッチ、TTバイクのDHバー先端のスイッチを、指先で押すだけで、
モーターの力で内外へチェーンを押して架け替えて、スムーズなインデックス変速を実現しています。
電動メカはモーターによる強制的なインデックス変速が行われます。
ギヤの歯数差が多いために変速が遅れがちで、ミスシフトしがちだったフロントの変速も、
かなりパフォーマンスは改善されています。

ギヤクランクのアームやチェーンリングの剛性が確保され変形しにくくなっていることが貢献しています。
元々4アームクランクの前の10段のモデルから定評があるところです。
しかも、チェーンリングはチェーンの移動する位置やチェーンの収まる位置が設定された歯先形状。
アウターチェーンリングの裏側のチェーンの移動をスムーズにする摩擦抵抗の少ないスロープを採用。
チェーンを引っかけてアウターチェーンリングへ引き上げる、歯先近くのスパイクピンや溝が設定されて、
それに強制的に変速するフロントの電動メカが組み込まれているわけです。

フリー側も当然変速位置を設定して変速性能を向上させるために、歯先形状をコンピュータ設計して、
どの段数の上り変速も下り変速も、いつでも素早い変奥を実現しています。
特にDi2のモーター駆動による内外の強制的なインデックス変速の素早さは感動的です。
市販のバイクもDi2装備のバイクが増えていますし、
アメリカでもミドルクラス以上のロードバイクのコンポーネントは、アルテグラのDi2が圧倒的な人気があり普及しています。

ところが、これだけ普及しているにも関わらず、電動メカならではの初歩的なトラブルが継続的に無くならないそうです。
Di2のメカトラブルの経験をリサーチしているメカニックから情報をもらったので、
Di2ユーザーやこれからDi2へチューンナップを予定しているライダーは、トラブルシューティングの参考になると思います。
まずは決定的なのが充電を忘れること、それじゃ動かないわな。
インジケーターのLEDの点灯の意味を把握していないで見逃すこと。
リチウム電池の性能低下。コード抜け、これがクルマへの収納や輪行などが原因でけっこう多いという。
コネクターの接続不良による水没によるリーク、洗車などをしてブラシでコードやコネクターを引っ張ってしまい、
雨や洗車でコネクターへ水が入るらしい。

落車やバイクを倒した時、クルマへの収納のときに、リヤエンドのブラケットの曲がりを起こしているのに気が付かず、
インデックス変速の同調不良。
シフトスイッチの接点への水の浸入によるリーク。
すごいのもありました、フロント変速機のチェーンケージを押したり引いたり支えている、
金属製アームの金属疲労による破断です。
強力なモーターで強制的に変速している代償的なトラブルで、シマノのことだから、今後キッチリ修正されるでしょう。

ライダーが転倒した後、ショックを検知したリヤ変速機が、クラッチを外して変速機を守る機構が組み込まれています。そのクラッチの外れを戻すリセットボタンを押す操作をしないで、いくら変速操作しても作動してくれません。動揺していると解除の動作ができていないんですね。マニュアルを見て思い出してください。最初に組み立て調整したメカニックの技量や電動メカの知識の問題かも知れないけど、インデックス変速の同調の初期設定のズレによる変速不良。ストローク調整ネジの締め具合によるエネルギーロスや、機能停止なども起こる可能性があります。

シマノのDi2のリヤとフロントの変速機には、ストローク調整ボルトが取り付けられています。
初期設定さえ正確にしておけば、実はプーリーやチェーンケージの内外のストロークは、これで最適化されて制御されます。
だから、ストローク調整ボルトを締め過ぎでいると、ストロークが制限されて、
本来の位置まで動かそうとしてモーターがオーバーロードします。
それで電気を変速のたびに消耗することになって、変速できる距離を縮めることになります。
電池の性能低下と勘違いすることがあります。

ストローク調整ボルトを締め過ぎると、変速機が作動しているうちは電気の早い消耗で済みますが、
ストローク調整ボルトがパンタアームと接触して、異状な状態とセンサーが判断して、
シフトスイッチを押しても変速機が作動しなくなることがあります。
ボルトを2分の1回転ずつ緩めて、パンタアームと接触しないようにして解消します。

Di2のトラブルの原因はユーザーの知識不足や、組み立てたメカニックが起因しているというのが、
リサーチ&デベロッピングの結論でした。
そのヒューマンエラーを起こしにくくする製品作りもこれからのシマノの課題ですよね。
そして、ちょっと苦手感のあるサイクルコンピュータやパワーメーターとの連動性、
シフト操作のワイヤレス化とか、どうアップデートされて行くのか楽しみですね。ではでは。