クマさんのバイク専科

パッドが厚くても底突きして痛い原因は

旧モデルのアリオネのトライ2カーボンレールや中空レールはしなやかな分厚いパッドと、
しなやかな樹脂製ベースで快適な走りを実現していました。
現行モデルのアリオネのk1トライアスロンカーボンレールも、同じくパッドは厚いのですが、
ヘタリ防止でカーボンクロスを樹脂で固めた硬いベースを採用していて、
同じパッドの厚いトライアスロンモデルでも乗り心地はまったく異なります。


サドルには流行があります、最初に体験したのはユニカの革張りサドルに始まるプラスチックベースサドル、
先端からサドルの中央までの絞りがうまくいっていなかったので太ももの内側との干渉が気になったのと、
プラスチックベースのヘタリ具合とサドルのしなやかさのバランス、そしてベースの上にかぶせられるパッドの厚さや、
クッション性のバランスが今ひとつという状態が続いていました。
快適なモデルが登場してこなかったのですが、セライタリアのターボは一世風靡するほどの快適サドルでした。


快適サドルへのトライは続きます。男性ライダーの尿道への圧迫を防いだり、女性ライダーの性器への圧迫を防ぐ、
穴あきや深い溝付き構造のアナトミック系のサドルです。
パッドの厚さや気泡の密度を調整してクッション性を追求したり、
圧力を分散するゲル入を尿道部分や座骨が当たる部分へ配したものが開発されました。
サドルが分厚くなったり重量増になる傾向がありますが、スペシャライズドやボントレガーは、
座骨幅に合わせて選べたり、コンフォート系からレーシングモデルまでアナトミックサドルが用意されています。


人気モデルとなったフィジークのアリオネは、快適さと軽さを追求したレーシングサドルとして開発されました。
それまでのプラスチックベースのレーシングサドルと比較すると、長さが280mmから300mmに延長され、
ペダリングする太ももの内側と干渉するサドルの裾はカットされ、薄い形状のデザインで、
パッドはそれまでのレーシングサドルと比較するとソフトなものが採用されています。
入荷してしばらくは売り切れ状態が続くほどでした。


パッドの下の樹脂製ベースは裾がカットされているデザインなので、初期に入荷したモデルはサドル全体が柔らかく、
ハードに走っていると3ヶ月くらいでサドルの中央が落ちてへたってしまうほどでした。
現在のアリオネスタンダードなどの樹脂製ベースは硬くなっていて、ヘタリにくくなっています。
明らかに初期に入荷したモデルより硬くなっています。


サドルの先端から中央までが細く絞り込まれ、中央から後ろの座骨が触れる部分の腰を固定するスポットが広いという定評があり、
裾をカットしたデザインでペダリングする太ももへの干渉がなく、脚を動かしやすいし、サドルの軽量化の効果があります。
座骨や股関節の内側が触れる部分は、しなやかなパッドが緩衝材になっています。
薄くなったデザインのサドルはヘタリにくさを実現するために、初期に入荷したモデルより樹脂製ベースが硬くなりました。
それが座骨の当たる部分の痛さの発生の原因になるライダーもいました。


アリオネのトライ2までは樹脂製ベースがしなやかでパッドが厚く快適なモデルでしたが、
アリオネCXなどの上級モデルはカーボンチップ補強のベースの採用、
さらに軽量化とヘタリにくさなどサドルの強度の確保のために、
k1シリーズやR1シリーズなどはカーボンクロスを樹脂で固めた剛性の高いモデルも登場しています。


アリオネシリーズのパッドは厚さの違いはありますが、一貫してソフトなものを採用しています。
表面の柔らかさは共通していますが、最新モデルはカーボン補強などでベースが硬くなっているので、
サドル全体が変形しにくくなっているし、座骨のエッジや股関節の内側の部分は、
硬いベースに底突きして床ずれ的な痛みが発生する原因になっています。
薄い最新のサドルはへたりにくさを実現するために、この傾向があります。


アリオネのスタンダードのベースが硬くなって、後で手に入れたアリオネスタンダードで床ずれ的な痛みが発生して、
パッドの厚いトライ2へ交換して快適でした。
アリオネCXカーボンレールへ交換してみるとサドルの形状が変わっていて違和感を感じて、
ヘタリかかっているトライ2へ戻し、トライ2が廃盤になって手に入らなくなり、K1トライアスロンを手に入れて試しましたが、
パッドはしなやかで厚いのですがベースが硬くて座骨が底突きして痛くなるので、
昔使っていたターボマチック2を再利用しているわけです。


クランクを踏めるライダーは、体重がお尻だけでなく、脚や腕へ分散されるので、
お尻にかかる圧力が少なくなって血行を妨げる要素が減って、お尻が痛くなる可能性を低下させることができて快適に走れます。ところが、クランクを踏み込む力が小さい、回転重視のライダーはお尻に圧力がかかる傾向があります。
サドルのベースやパッドのクッション性が重要な快適走りの要素です。


イタリアの手作りサドルブランドのアスチュートのモデルは、レーシングサドルの形状と機能を追求したデザインを採用しています。
先端から中央までがタイトなシェイプで太ももの動きに干渉しないし、
太ももの付け根を後ろの広がりがサポートして腰を固定してペダリングしやすく、ベースのしなやかさと、
ソフトなパッドの組み合わせで、座骨の出っ張りや股関節の内側の触れる部分の圧力を分散できて、
お尻が痛くなることも無く、快適な走りを実現できます。まだまだ快適サドル探しは続きます、ではでは。