クマさんのバイク専科

自転車の振動ってネジを緩めるね

スポーツバイクのネジは振動やペダリングなどの繰り返しかかる力で緩むことがあるから、半年とか定期的に増し締めしたり、工具を当てて緩みのチェックをしよう。最近のパーツやフレームに付いているネジには、必ず工具を使って締め込む力、メーカー推奨トルクが設定されています。つまり、ネジは適正なトルクで締るということ。できればトルクレンチを使って締め付けトルクを管理して締め込みなさいという事です。

 

締め付けトルクを管理して整備や組み立て作業すれば、アルミやカーボンの軽量なパーツや、スチールやチタン合金製のネジを壊さないし、しっかり固定できます。特に軽量なパーツやチタンボルトやカーボンなどを採用したパーツは、オーバートルクして締めると、壊れるリスクがありますからトルクの管理は必須です。締め付けトルクの国際的な標準単位は、ニュートンメーターかKg/cmという単位が表示されています。パーツメーカーや完成車メーカーが設定した推奨トルクは、そのボルトやナットを締め込んで固定できる力の事。

 

オーバートルクして締め込めば、ネジ山を崩してしまったり、アンダートルクではボルトの頭との摩擦が不十分で、ネジが緩みやすい状態になってしまいます。締め付けトルクの測定の前提として、ネジ穴や締め込むボルトのねじ山にゴミがなく、できればグリスがネジとネジ穴に塗られて、指でネジを持ってするすると回せて、ねじ込むボルトとネジ穴にガタがない状態という前提があります。

 

逆に、ネジがネジ穴の山に引っかかりがある状態では、ねじ込む時に抵抗が発生して、正しい締め付けトルクがトルクレンチで測定できない場合があります。ねじ込む抵抗で大きな締め付けトルクが発生して、ネジ穴にボルトをねじ込み切っていないのに、推奨締め付けトルクに到達してしまうことがあり、締める途中で締め切れない事もあります。

 

ボルトを締め込んで推奨トルクで締め込むと、ネジ穴の面と、ボルトの頭とが接触して、ナットの接触面はつぶれる事なくバネ力を保ち、そのこすれ合った面の摩擦抵抗でネジは緩みにくくなります。ところが、メーカー推奨の締め付けオーバートルクでボルトを締め込むと、ネジが緩みにくいと思いがちです。ところが、ボルトの頭がネジ穴の面と強く接触して変形してしまい、接触面のバネ力が保てなくなり、摩擦抵抗が減ってネジの緩みの原因になるそうです。ねじ山もオーバートルクで変形してしまう事もあります。これはネジの専門家に聞いたので確かな事です。オーバートルクで締めてもダメだし、推奨トルクでボルトやナットを締め込んでも、これで緩まないと安心していてはいけないのです。何せ自転車が走る時に発生している路面からの微振動や、ペダリングにより繰り返しかかる力はネジの緩みの原因になります。

 

では、ネジやネジ穴にはグリスを塗った方がいいのか、ねじ山には基本的にグリスを塗って組み上げるのが機械の組み立ての常識です。ところがスポーツバイクのパーツにはそれが通用しない部分があります。例えばカンパニョーロのウルトラトルククランクのハースジョイントの固定ボルトには、軽度のネジロック剤を塗って組み立てる方法が採用されています。工具をセットして緩めれば固定は解除されますが、確かにネジは緩みにくくなります。

 

ブレーキキャリパーのフレームやフォークに貫通するボルトには軽度の強度のネジロック剤が塗られていて、それをそのまま組み上げてネジが緩んでこないようにする部分もあります。メーカーがネジロックを塗っている部分にはグリスを塗らないで推奨締め付けトルクで締め込みます。パーツを分解した時にネジロックが塗られている痕跡があったら、強度の弱いネジロックを塗って組み戻しましょう。プーリー固定ボルトは緩みやすいからネジロックを縫って組み上げて、定期的に緩みをチェックしましょう。ではでは。