クマさんのバイク専科

マヴィックのクイックレリーズへのこだわり

フラットマウントのディスクブレーキ仕様なら142mmリヤエンド幅のスルーアクスルだけど、それまでの主流は、130m mエンド幅で、ホイールをフレームやフロントフォークへ固定するクイックレリーズです。どんな奴でも止まってりゃいいやっていうような地味〜な部品だけど、タムタムさんのようにホワイトインダストリーのピカピカのハブに合わせて、バフをかけたようなピカピカのナチュラルカラーのクイックレバーが好きという人もいるし、僕みたいにマビックのデザインが好きで、エキセントリックカムレリーズの締まり具合の感覚にこだわるライダーもいます。

 

デザインや機能だけじゃなく、軽量化にこだわる人もいます。軽量性で注目されているライトウエイトホイールが付属品として採用しているクイックレリーズは、軽いことで有名です。固定力というか耐久性にやや心配な面もありますが、代々、軽量なチタン合金製シャフトのモデルをセットして出荷しています。以前のモデルはアルミのハウジングで、チタン合金製のクイックレバーとカムに、チタン合金製の細身のシャフトの組み合わせでした。軽くても確実な締め付け力があるものでしたが、クイックレバーは360度回ってしまうし、クイックナットは回すのに抵抗感がなく、クルマで輸送中に振動で外れて行方不明になったりしました。

 

4年くらい使っていると、突然ハウジングからクイックレバーが抜け落ちたりして、けっこう油断のならない癖のあるクイックレリーズでした。軽いのと固定力がしっかりしているので、かなり愛用していましたが、カンパニョーロ、シマノ、マヴィックのクイックレリーズの方が安心なので替えてしまいました。最新のライトウエイトホイールに付いているのは、ハウジングを省いてエキセントリックカムも小型化して軽量化した、チタン合金製シャフトそのものというスキュワーとも見えるモデルで、相当強く締め込まないと、固定力不足で走行中にきしみ音が発生することもありました。

 

クイックレリーズの原点と言えるのが、エキセントリックカム付きのレバーを手で開閉して、ホイールを脱着できるシステムで、トウリョ・カンパニョーロアイデアで作られた製品です。カンパニョーロの初期モデルのスチール製のクイックレリーズの締まり具合は、180度の位置から90度締めた位置で動きが重くなるように、クイックナットを締め込んで、180度まで締め込んで行くと、じわっと閉まって緩まない感が絶妙でした。最新のクイックレリーズは、アルミハウジングにスチール製のシャフトです。180度開くクイックレバーを90度へ動かしたあたりから動きが重くなるように、クイックナットを締め込んで、そこからじわじわと50度くらいクイックレバーを締め込んだら、ぐっと動きが重くなるくらいにすると、適正な締め付けの強さになります。

 

シマノは昔ながらのデザインで、最も締め込みの安心感があるシステムです。180度の位置から締め込んで、90度のところでわずかに動きが重くなるようにクイックナットを締め込みます。残りの90度でじわじわと動きが重くなって、180度でかなり動きが重くなって止まれば、しっかりホイールが固定されます。マヴィックはチタン合金製のシャフトのモデルがありましたが、現行モデルはスチールシャフト製です。レバーの可動範囲は90度で、45度くらいで動きが重くなるようにクイックナットを締め込んで、クイックレバーを締め込むと、はっきりしたエキセントリックカムの乗り越し感があって固定されます。

 

フロントフォークのエンドは基本的にクイックレバーが開いたとしても前輪が外れない、脱落防止の爪付きセーフティエンドです。逆にいうとクイックレバーを解除しても前輪を外せないめんどくさいシステムになってしまっています。自己責任で爪を削り取って、クイックレバーの開閉で前輪を素早く着脱できるように改造しています。クイックレリーズの閉まる強さは適度にということになっていますが、実は締まり具合はフロントフォークやフレームの後ろ三角の剛性にも関係する重要なファクターとなります。

 

クイックレバーの可動域の半分の位置になったら、動きが重くなるようにクイックナットを締め込んで、クイックレバーが閉まり切る寸前には、かなり動きが重くなる状態が望ましいです。せっかくのフレームやホイールの剛性が活かせませんから、締め付けの強さには十分気を使ってください。カンパニョーロのハイペロンとボーラ35が手に入ったので、そのままカンパニョーロのクイックレリーズを使ってもいいのですが、クイックレバーが締まり切るまでの30度ぐらいの、乗り越し館がはっきりしないので、締まり具合が少し頼りない感じです。

 

そこで、クイックレバーの可動範囲が90度で開閉のクリック感がはっきりしているマヴィックのクイックレバーを2セット発注しました。昔のフランスのパーツメーカーのサンプレックスのクイックレリーズに似ている、ハウジングのセンターにエキセントリックカムレバーが配されたモデルです。サンプレックス製はハウジングがスチールでしたが、マヴィックはプラスチック製で、そこが、適当にクイックレバーを閉めると、ハウジングが削られてしまうことがあり、ウイークポイントです。それでもこれが好みなんですね。

 

かつてマヴィックの軽量ホイールに付属していた、チタン合金製のクイックレリーズを、手に入れるのを諦めたわけではありません。どこかのショップに転がっていそうでいて、なかなか見つかりません。いろいろ当たってデッドストックものを国内外のショップで探して見ようと思っています。軽量なチタンシャフトのクイックレリーズの数ある中では、強度も固定力もしっかりしていますからね。ではでは。