クマさんのバイク専科

妙なことで神経質になっていないかい!

コンポーネントパーツメーカーの新製品への切り替えは、3年とか4年周期でアップデートされています。2020年以降へ向けての新しい動きは、スラムとカンパニョーロは、12段化とディスクブレーキ化を実現しているし、シマノは上位3モデルのメカニカルのスプロケットの12段化と、上位2モデルのDi2の12段化でしょう。同時にしよせるように広がるのは、ロードレースの現場と、一般ユーザー向けの本格的な油圧ロードディスクブレーキ採用の流れでしょう。

 

2017年にはロードディスクブレーキのチェーンステーやフロントフォークに取り付ける台座の規格が、シマノが提唱したフラットマウントに統一されました。MTBで採用されていたインターナショナル台座やアダプターでの取り付け方式では無くなりました。ディスクローターの規格もハブへの固定方法は、6ピン止めタイプとセンターロックになって、ディスクローターのサイズは140mmと160mmに落ち着きました。

 

ディスクローターの径は油圧ディスクブレーキの利きやコントロール性能に関係します。より大きなストッピングパワーで強力に利かせたいフロントは160mm径で、コントロール性を重視してスリップさせないようにリヤ140mm径という組み合わせか、強力なストッピングパワーを発揮させるために、前後とも160mm径ローターという組み合わせから選択されています。2017年のころにシマノが提唱したフラットマウントの規格で、シマノ、スラム、カンパニョーロから油圧ディスクブレーキがリリースされています。

 

UCIの機材ルールでは試用期間とか、本格採用解禁とか、UCIと選手会、チーム運営者との話し合いもありましたが、多少ごちゃごちゃして、2019年シーズンになって、プロロードチームも本格的に採用するチームが登場しました。ジロでは油圧ディスクブレーキのバイクが走り回りました。当然ツールでも走り、リムブレーキのダイレクトマウントブレーキのマシンとの混走状態になります。という状況の中で、フラットマウントとはどういう規格なんだろうと、シマノの2017年のディーラーズマニュアルを見ても、フラットマウントの台座の設計寸法図が表示されていませんでした。

 

フレームを製造する大規模なメーカーや完成車メーカーに必要な図ですが、ハンドメイドフレームメーカーにも必要な寸法です。どうしても必要なら市場に出回っている現物のフロントフォークやフレームのチェーンステーの台座を計って、フレームの製造に必要な数字は手に入れてくださいというスタンスようです。

 

大規模なフレームやフォークを製造するメーカーは、油圧ディスクブレーキの採用で、左フロントフォークブレードの先端近くにかかる、ブレードの破カーボンでもスチールでも断を起こす可能性がある、ブレーキングのたびに繰り返しかかる断面2次モーメントのデータとか、必要な安全強度のデータの提供を受けて、フロントフォークのブレードやフォーククラウンやフォークコラムの強化が行われて、試作や破断試験をクリアして製品化されているはずです。

 

チェーンステーについても、同じように試作や破断試験が行われて安全強度を配慮して、フレームやフロントフォークの設計が行われています。果たして小規模のフレーム工房が同じようなプロセスを経て、油圧ディスクブレーキの性能を安定的に引き出せて、しかも破壊を起こさないという、物作りをしてくれるのかというのをパーツメーカーは疑問視しているのでしょう。スチールフレーム用のフラットマウント台座の小物を用意しようとしているところもありますが、ベースになるチェーンステーのスチール製チューブや、フォークブレードも含めて、安全強度をどう検証しているのでしょうか。

 

最近のシマノのプレスリリースもシマノ製品を取り扱っているサイクルショップに対しても、そしてユーザー向けのホームページも、なんかピリピリし過ぎている気がするのだけど、きっと、それには台湾ショーでのフレーム想像メーカーや完成車メーカーへの新製品の規格に付いての説明があって、台湾や中国筋からのSNSでの情報リークなど、何らかの理由があっての事なのでしょうけど。取引先との秘密を漏らさないという特別な契約というのがあるらしいのです。

 

新製品のニュースの取り扱いの、何が変わったかと言えば、サイクルショップへの新製品のニュースが届くのが、ほぼユーザーと同じというのが近頃の状況です。シマノの株主でも新製品のリリース時期は株主総会などでの報開示というタイミングで紹介されるのもです。だけど、一方では、プレス関係者だけでなく、どこかの国のこんなレースでこのチームに使われていたとかというSNSでの、画像や動画でのレポートや、未発表のスペックの憶測情報の拡散は日常茶飯事になっています。

 

各国の自転車雑誌の記者へのニュースリリースが、発表の解禁日のほぼ2ヶ月前に行われます。雑誌の記事で新製品紹介が行われたり、試乗記事が掲載されて、ユーザーとサイクルショップは同時期に内容や価格を知るというのが一般的になっています。完成車メーカーやフレーム製造メーカーには、規格の変更などもありますから、早く通知されますから、そこからサイクルショップへ新製品の存在や、フレームにアッセンブルする新製品の出荷状況が知らされることもあるでしょう。

 

とにかく新しいものをいち早く知りたいのは人情ですから、SNSのウオッチャーもいるわけです。実際にショップの店頭に届いて、ユーザーの手元に届くまでにタイムラグはありますが、ワクワクさせてくれるものが次々に生まれて体験できるのは楽しいことです。ライダーに、これでもかと、どんどん歩み寄ってくる近頃のコンポーネントに、たじたじするクマジジイです。競争の世界では必要かもしれないけど、のんびり走る世界もあるので、もう少し人間が操る感を残して欲しいと思い、メカニカルに執着を抱いてしまうほどです。

 

のんびり走る、こっち側の世界では、ローギヤの歯数のが気になるし、11段でも12段でもそれほど気にならないし、油圧のロードディスクブレーキの引きの軽さ、ワンフィンガーでフルブレーキングできるという魅力的なブレーキング性能にクラクラします。ディスクブレーキ台座の設計図を見ても僕にはなんの意味もありませんが、手作りフレームのビルダーが知りたくても手に入らないし、メカニックも手に入らないという、シマノのディーラーズマニュアルに無いフラットマウント台座の規格設計寸法は、カンパニョーロの油圧ディスクブレーキのディーラーズマニュアルに表示されていました。何でこんなことシマノは秘密扱いしているのだろう。分かんないな〜。ではでは。