クマさんのバイク専科

東京・札幌オリンピックでいいんじゃないの!

アスリートファーストって言うのなら、最初から気温30度から40度近く、湿度も80%以上という、東京での真夏のオリンピック開催そのものに無理があったのではないだろうか。ドーハで開催された陸上競技の世界選は、深夜に走ったマラソンや、競歩で気温と湿度が高くて、特に4割がリタイアした女子マラソンでの完走率に問題ありとされた。オリンピックを統括するIOCは、アメリカやヨーロッパの、メジャーなスポーツコンテンツが集中しない、真夏の開催を条件に、オリンピックの開催地を募集していた。開催地の誘致合戦の時には、真夏の東京はアスリートが快適にパフォーマンスできるとコメントして、誘致委員会が嘘をついていたのが、もともと無理な話だったのだ。

 

女子選手の4割がリタイアしたドーハの状況を見て、IOCは標榜して来たアスリートファーストを思い出したのか、過酷な気象条件下でのレース開催で、バタバタ選手が倒れたり、フラフラと走ったり、コースサイドに座り込んでリタイアする姿を、世界に配信するのは好ましいこととは思わなかったのだろう。気温が30度を越えると、屋外でのスポーツが危険度を増すので、自粛するようにインフォメーションされて、熱中症による障害の発生や死亡事故を防ぐのが常識になっています。

 

そんな気象条件の中で最高のパフォーマンスを発揮できないことは、科学的な医学的な根拠があってのことなので、IOCもJOCも各競技団体も真摯に検討すべきことなのだ。IOCはマラソンと競歩の開催地を北海道の札幌にしてはどうかと提案して来た。開催地を移す理由は、気温が5度から6度低いからと言う。それでもスタート時間の検討も必要になるでしょう。開催地として300億円をかけてマラソンコースを準備して来た東京都の知事は、「唐突なIOCの提案は今後に問題を残す」とコメントしました。

 

真夏開催のオリンピック対策に取り組んで来た東京都でしたから、マラソンコースの温度低減舗装、ミストによる体感温度の低下対策など、色々努力していたのに、IOCから開催地の移転、競技を運営する日本の陸連も、東京都も、そんなことは聞いてないよ〜という、IOCとのコミュニケーション不足を露呈しました。IOCはもともとオリンピック貴族の集まりで、オリンピックという総合スポーツコンテンツの放映権ビジネスで稼いでいる団体です。ちょっと気まぐれで付き合いにくい面があるわけです。妙な権力や権威を持って開催地と接してきていました。

 

経済効果もありますが、施設作りなど莫大な経費がかかることや、オリンピック後の施設運用などのレガシィ問題。テロのソフトターゲットになることからセキュリティが大変な負担なので、開催地の立候補が減っていたり、辞退する候補地が増えていることも事実です。放映権の価値に関わる視聴率に関係する若者のオリンピックへの無関心も問題で、オリンピック開催の継続にも危機感が生まれています。だから、スケボーやサーフィンの採用など、競技種目の若者受けも意識されています。

 

それでもIOCは、開催地の施設がどうの、走行コースがどうのと、レギュレーションにない部分でも口を挟むわけ。日本を世界に発信できる絶好の機会だから、IOCのアドバイスやサゼッションを聞きなさいと、ちょっと上から目線でいるわけ。大きな財政負担をしたり、真夏対策を苦慮している都知事が、IOCの突然のちゃぶ台返しで、へそを曲げるのも分かる気がするけど、選手がトレーニングの成果を発揮して、安全にパフォーマンスするためにも、唐突だったかもしれないが受け入れても良い話しなんじゃないかな。

 

ということで、アスリートファーストな提案がIOCから発表されたわけだけど、もう2つ、問題の競技はなかったっけ。お台場で開催されたオリンピックやパラリンピックのリハーサルの、オープンウオータースイムとトライアスロンです。トライアスロンは、気温や湿度による競技距離変更の問題の他に、お台場の海水の開催基準の3倍から21倍という大腸菌や、雨が降った後などに未処理の下水道水が流れ込んで大腸菌が増えたり、トイレ臭い問題で、スイムが中止された経緯もあるのだから。ついでにと言っちゃなんだけど、北海道へ開催地を移しちゃどうだろうか。参加したトライアスリートが気持ちよく泳げて、大腸菌でお腹を壊さないですむし、10kmのランだって実施できるでしょう。ではでは。