クマさんのバイク専科

痛みや不快の解消を諦めちゃダメだ!

スポーツバイクのライドを始めて苦しむ可能性の高いのが、お尻の痛さです。140mmそこそこの幅と、280mmくらいの長さのサドルと、お尻とのインターフェイスが痛くなることがあります。鼠蹊部、性器、尿道、坐骨の出っ張り、太ももの内側など、痛くなる部分は様々です。サドルのパッドの厚さやクッション性が足りないとか、パッドの下のベースのプラスチックの形状や硬さが合わない、サドルの形状が合わない、久々のライドで脚が踏めないので圧力を上手く分散できないとか、痛みの発生の原因も色々です。

 

お尻の痛みを解決するには、パッドが厚ければ快適というものではなく、パッドの厚さ、サドルの形状、ベースの柔軟性など、色々な要素が絡んでいて、これだという解決策を見つけることがまず難しいので、これだというサドルを100個を越える、数あるサドルの中から選ぶのが大変です。2日続けて乗っても痛くならないことを基準にサドルを見つけるようにしています。みんなが悩んでいる一方で、鉄のお尻を持っているライダーもいます。カーボンベースのみとか、パッドが薄いというのも大丈夫とか、どんなサドルでも全く問題ないというライダーもいるという、不思議な世界でもあります。

 

僕自身も筋肉や体脂肪の増減など、体の変わるごとにサドルオデッセイ状態に陥って苦しみましたので、お尻が痛くなるというライダーの切実ななことを理解できます。これはというサドルを手に入れて、使ってみると30kmもしないで坐骨のエッジが当たる部分が、圧迫されて血行が悪くなって、床ずれ的に痛くなって、100kmのライドの後半に、サドルに座っていられなくなり、サドルからお尻を浮かして、ダンシングして血行を回復させながら走ったことがありました。

 

これじゃないかなというサドルを手に入れて、換えても換えても、50kmまで、これは100km大丈夫だったけど、翌日走ると痛かったなど、走るのが嫌になる程お尻が痛くなって、サドル探しが続きました。買い物かご3個いっぱいにダメだったサドルが貯まって、なん十万円という投資をしても、これというサドルが見つかりません。僕のサドル選びの基準にしていた、2日続けて走っても快適なサドルがなかなか見つかりませんでした。

 

シートポストのヤグラを調整できる工具や、サドルの高さを調整できる工具を持って走り、サドルの前後位置や取り付け角度を調整して、坐骨の当たる部分のクッション性、尿道の当たる中央から先端にかけての調整をして、サドル全体のクッション性や、先端、中央、後端の幅がお尻に合っているかチェック。サドルのパッドも重要だけど、その下にあるベースのプラスチックの柔軟性や、坐骨の出っ張りに合った形状も重要なことを学びました。

 

最近主流の薄っぺらいサイドカットされた軽量サドルは、サドルの剛性や変形量を抑えるために、ベースのプラスチックにカーボンチップやカーボン繊維で補強しているので、ベースの剛性が高く、サドル全体の剛性が高くなっているのです。ベースの剛性が高いと、パッドのクッション性があって厚くても、最終的にパッドの下に硬いものが当たる感じで、痛くなりました。だから最新モデルのカーボンチップ補強やカーボン繊維とのハイブリッドベースのモデルはお尻にフィットしませんでした。

 

表面の革、プラスチックベースのしなやかさやパッドの肉厚分布、サドルの幅と坐骨のエッジの当たりや断面形状で圧力が集中しないこと、カーボンレールやスチール中空レール、中央の穴あき構造、溝付き構造、ゲル入りパッド、レールを支えるサスペンションシステムなど、サドルを分解しては、何が快適には重要なのかを探りました。そこで考えたのが、ベースが補強された薄い軽量サドルはカッコいいけど採用を諦めました。サドルは重くてもいい、乗り心地重視で選ぶようになりました。デザインもアイデアも古くても構わないと思いました。

 

プラスチックベースのカーボンチップなどの補強なしのものを探しました。サン・マルコのロールス、リーガル、セライタリアのフライト、ターボ、フィジークの初期型アリオネ、トライアスロンなどが手に入りました。補強なしのプラスチックベースのサドルでも、サン・マルコ系の丸い断面のモデルは合いませんでした。セライタリア系のお尻が乗る部分がフラットな感じのターボがかなりいい感じでした。フィジークの旧型トライアスロンもパッドとベースの変形具合がいい感じでした。100kmくらいまでは快適でした。2日目のライドになると、やや痛くなる感じでした。

 

たまたま昔使ったことのある、革が黄色と黒のツートンの、倉庫にあった30年前のターボマチックを復活させて、パッドが厚くプラスチックベースも心地よく変形して、坐骨の当たりも分散してくれて、クッション性もお尻のピタッと収まるフィット感も、これだと感じました。2日続けて乗っても快適でした。アソスのS5パッド、S7パッドでも快適に走れました。問題は20年から30年くらいの古いモデルだから、果たして手に入るのかということでした。タケちゃんがフリーマーケットで探して来てくれたり、サトイモさんがドイツのデッドストックモノを扱うショップで新品を2つも探してくれたり、サイスポのケンタくんがユーズドを探してくれました。

 

サドルは上の面の取り付け角度を水平にしてお尻の収まりを調整ししたり、前下がりにして尿道や性器への圧迫を調整したりできます。圧力のかかる位置や大きさをを調整して快適さを追求します。サドルの前後位置の調整も坐骨のエッジの、サドルの中央付近に当たる部分が変化して、お尻の痛さの発生に関係します。パワーを発揮して快適にペダリングできる腰の位置に、サドルの前後位置を合わせる必要があります。

 

ターボマチックを探してもらって、助かりました、ありがとうございます。お尻が大喜びで、安心して走れるようになりました。これに出会うまで3年かかりました。諦めちゃいけないな〜と思いました。サドル、バーテープのグリップ感やクッション性、ブレーキレバーのブラケットの上の面の角度調整と手の当たり、ハンドルバーの取り付け角度の調整、ペダルの踏み面の広さによる安定感、バイクシューズの当たりのなさ、バイクパンツのクッション性、グローブのクッション性など、ライダーがバイクに触れるインターフェース選びは重要ですね。

 

快適な形状や機能を持つパーツ選びと同時に、クリートの前後位置、ウチソトや取り付け角度、ハンドルやステム、ブレーキレバー、サドルなど、どういう位置に設定するかもとっても重要です。快適に走ることの追求は諦めてはダメです。パーツやウエアを交換して解決というように、簡単にはいかないかも知れないけど、痛みや不快なことがあったら、どうにか解消できないかと感じることがまず重要で、とにかく前向きに取り組みましょう。きっと快適に走れる出口が見つかります。ではでは。