クマさんのバイク専科

ディスクローターは予想以上に消耗するな!

MTBはVブレーキのリムブレーキから、油圧のディスクブレーキが普及するまでに重さを気にしないダウンヒルは早かったが、泥や雨でもコントロール性能が優れているのはわかっていても、重さを気にするクロスカントリーは10年くらいかかった。油圧のディスクブレーキがロードバイクに採用され始めて、MTBと同じインターナショナルのディスク台座の規格でスタートしている。MTBで長年使われてきたフロントフォークとチェーンステーのブレーキ台座とキャリパーだから、そのままロードバイクへ導入されるのかと思っていた。

 

フロントフォークもチェーンステーも、片側だけにブレーキング時に大きな力がかかるので、MTBでも採用されていた強度アップの設計思想がロードバイクにも採用されて、フロントフォークもチェンステーも片側だけが強度アップされている。ディスクブレーキが導入されてもう6年くらい経過しているはずだ。4年くらい前にシマノが新ロードディスクブレーキ台座の規格のフラットマウントを発表して。UCI がこの規格での統一を公式に認定している。

 

プロロードレースの世界では、ディスクローターが危険とか、熱くなって危ないとか、制動距離の違うバイクが集団中で混走するのは危ないとか、リムブレーキと油圧式のロードディスクブレーキへのアレルギーもあって、プロロードレースで試用期間が設けられたが、すんなりディスクブレーキへ移行したプロチームはわずかだった。公式採用が開始されても、ジロを走るバイクの車輪の中心に注目したがロードディスクブレーキを採用したチームは少なかった。

 

2019年のプロロードレースでは、バイクを供給するスポンサーメーカーのディスク仕様にシフトした、販売促進の意向もあって、春先のプロロードチームのバイクを見ると、かなりのチームが採用するようになった。ディスクローターのサイズはチームによって違ったが、基本は前後160mmだった。フロントフォークやシートステーに台座が埋め込まれた、ダイレクトマウントのシマノのリムブレーキの制動性能が高かったので、色々ディスクブレーキの特性が明らかになっても、ディスクへの移行はだいぶ遅くなった気がする。

 

完成車メーカーの中には、油圧式やケーブル引いるロードディスクブレーキ装備のモデルに移行したところもある。その他のメーカーもディスク装着モデルとリムブレーキモデルを用意している。油圧式は引きが軽くワンフィンガーでフルブレーキングできるし、雨でもブレーキフィーリングが変化しにくいディスクモデルへ軸足を移す意向を示している。フレームブランドもリムブレーキモデルとディスクモデルを用意している。

 

142m mのリヤエンド幅のフレームへの移行。スルーアクスルへの移行。メンテナンス、取り扱い方法、ローターの発熱への対応、ブレーキパッドの消耗の見極め、ディスクローターの摩擦部分の消耗の見極め、オイルラインの交換時期、フールドの交換時期、フールドからのエアー抜きによるスポンジ感の解消、どこまでブレーキレバーを引くと利き始めるかの調整、ブレーキレバーの初期位置の調整、ディスクブレーキの利きの違い、色々なディスクブレーキならではの課題が思い浮かぶ。

 

2年ほどシマノのディスクブレーキを使ってみて、それほどハードに走っているわけでもないのに、ステンレス製のディスクローターの消耗が激しいと思いました。リムブレーキのリムより、ブレーキパッドとの接触面が小さいディスクローターは、メタル系のブレーキパッドに削り取られて段差ができていた。思っていたより早めの交換がいいようだ。チューブラーユーザーとしては発熱によるリムテープの接着力への影響も無いのは安心だし、カーボンリムやアルミリムの消耗もないのが嬉しい。

 

ロードディスクブレーキの開発は、トッププロの走りにも対応しているが、実はビギナ〜ライダーの方がしょっちゅうブレーキングするので、発熱温度が高い傾向があることが解析されて、ここも開発の重要ポイントとされている。ロードバイクのユーザーはトッププロだけではないからだ。当然、速く走るライダーが急制動した時にも、エネルギーを熱に変換して止まっている。だけど、スピードは上げられなくても、頻繁にブレーキングするビギナーライダーや下りが苦手なライダーの発熱量もバカにならない。ディスクローターの表面温度は400度を上回ることもあるという。

 

アルプス越えとかドロミテの30kmとか40kmの、ワインディングのスーパーダウンヒルでテストライドを実施して、それでもスピードコントロール性能が変化しない耐フェード性のキャパシティが確保されているという。欧米のライダーは80kg越えのこともあるのでかなりキャパシティは大きく設定されている。すでにディスクブレーキのチューニングも行われている。ステンレス製ローターを各メーカーの代表的なモデルに交換してブレーキングしてみると、ストッピングパワーやスピードコントロール性能などブレーキの利きが大きく変化しました。シマノの上位モデルのディスクローターの利きがいいようです。ステンレスの素材が微妙に違うらしい。

 

そうそう、ディスクローターの交換や、ブレーキパッドの交換直後には、ブレーキパッドとディスクローターとの慣らしを行わないと、当たり面が出ていないので、本来のストッピングパワーやコントロール性能を発揮できないことがあります。4〜6%mの緩い下り坂をスピードを出して下り、ブレーキングしながら3〜5kmズルズルと走って当たり面を出します。ブレーキフィーリングがはっきり変わります。

 

ディスクローターのステンレス製のリングをホールドする部分には放熱性のいいアルミ合金製のホルダーが採用されている。キャリパーへの熱やフールドへの熱を減少させている。パッと見がかっこいい軽量な、ヘボなディスクローターへの交換はダメなようです。ローターの径は大きい方がストッピングパワーが大きくなります。ブレーキングを開始すると前輪荷重になるので、ぜんりん160mm、こうりん140mm径のディスクローターという、前後輪で径が違う使い方もあります。

 

注意したいのはチェーンなどへのスプレーオイルでの注油が飛び散って、ディスクローターに付着した状態でブレーキをかけてしまうと、ブレーキパッドに染み込んで、本来の利きを発揮できなくなります。対応策はローターの脱脂と、ブレーキパッドとの交換で対応することになりまトラブルとしてみられるのは、何かに引っ掛けてのオイルライン損傷や抜け、スポンジ〜なレバーフィーリング、ブレーキキャリパーからのフールド漏れ、ブレーキパッドの消耗に気づかない、ドラッグ、ブレーキング時の音鳴りなど、いろいろありますが、変だなと感じた時、そうでなくてもディスクブレーキに精通したメカニックの定期点検を受けよう。ではでは。