クマさんのバイク専科

効果的なのはMTBかピストか

ロードバイクのトレーニングに、プラスしてのトレーニングとしてMTBとピストバイクのトレーニングはどっちが効果的かというOくんの質問がきました。意欲的でいい質問ですね〜。バイクのコーチをやっていましたが、簡単には答えられないほど難しい質問です。MTB はグリップの低い、アップダウンのある、荒れた路面を走るし、路面が重いので、踏み踏みのペダリングになりがちです。荒れた路面でバイクで走るコースを選んで、路面に対応して走るので、バイクのバランスをとるレスポンスが早くなります。

 

キャパシティが大きいMTBよりコントロールが難しいのが、28m mから32mmタイヤが主流のシクロクロスバイクや、32m mから35mmタイヤが主流のグラベルロードです。サスペンションシステムもないし、タイヤもMTBより細いので、それほどのオフロードでなくても、十分に楽しめます。ただ、オフロード系の道はトレッキングやハイキングの人との共生が難しくなっているので、走れるコースが限られています。

 

しかも、クランクを踏んで前へ進もうとするわけですが、オフロードの路面が重くて滑りやすいので、強い力で踏み込みつつ、タイヤのグリップ力を感じ取りながら、滑らせないようにコントロールするトルク変動の少ないペダリングが要求されます。ヒルクライムに対応するペダリングを身に付けられる。回転力の低下には注意する必要がある。

 

MTBのXCでは、パワーでかなわない大型のライダーと対等に戦っていた鈴木雷太選手の武器は、効率よくパワーを伝える、ペダリングと、体重移動や上半身で押さえ込んで、タイヤを滑りにくく荷重してグリップを稼ぐライダーのポジション移動やフォームでした。ダウンヒルでも前輪荷重して、滑りやすい路面でのグリップを稼いで走る方法など、ロードでは体験しにくいテクニックも身につけられます。MTBでのオフロード走りはそういう、バイクのコントロールやペダリングのテクニックを教えてくれます。

 

ただし、オフロード走りを身に付けているMTBライダーは、普段のトレーニングの7から8割をロードバイクで行なっています。前後にサスペンションの付いたフルサスのXCバイクでも、路面からの振動でダメージを受けるので、テクニックの確認と、レースでの振動により筋肉が揺れて乳酸が発生するのに慣れるために、オフロードで走るのだそうです。ロード乗りがMTBでトレーニングするとすれば30分とか1時間で、路面の負荷が重いので、走り出すとすぐに運動強度を上げられます。バイクのコントロールのテクニックを身に付けることに集中するのと、ロードに乗り換えた時に、踏むだけのペダリングにならないように注意しましょう。、

 

MTBのトップ選手は回す場所と、踏む場所を意識してトレーニングしています。ロードの選手はクランクを90回転から120回転で回すことに慣れていますが、MTBのフィールドでは、毎分80回転から100回転で踏むペダリングで筋肉を刺激することになると思います。MTBのトップ選手が全日本のロードに出場して、トップ20位に生き残ることがあります。こういう選手はオフシーズンにロードバイクで走りこんで、心肺機能を開発した選手ですが、そういう選手は体調がいいのに、1時間前後のMTBレースに成績を出せなくなっていることがあります。1時間のレースで、最初から最後まで踏むペダリングに対応できなくなっていることがあるのです。

 

MTBでオフロードを走り込んで筋トレすると体にダメージが蓄積するので、ペダリングを解析する能力があるトレーナーに指導を受けて、負荷をかけたスクワットスクワット系や、踏み込む脚を支える体幹トレーニングでリカバリーすることもあります。ピストは街道を走り込むのと、バンクを走るのとでは全く意味が違います。街道走りは心肺機能を開発するのと、固定ギヤ独特の押し出される感覚を体験して、ロードのペダリングで失いがちな軽く脚を引き上げる感覚を取り戻して、ペダリングのスキルを高めることができます。

 

街道でのギヤ比は46―15とか、44−15など低めに設定して、高回転の維持を目的とします。回す力や、筋肉の早い動きを身に付けることができますが、固定ギヤ独特の、走っているとクランクが周り続けることで、急に足を止めると跳ねあげられるので、取り扱いのテクニックが必要です。バンクでの走りは、短時間で回しきれて、踏み切れるギヤ比を選択して、1000m走り切れるギヤ比で、100−140の高回転、高トルクのペダリングを体験できます。全力で走りきると耐乳酸性を向上させたり、最高速度を高める効果があります。バンクの使用は競輪場や選手会に問い合わせると、アマチュアが乗れる時間と、使用機材やルールを教えてもらえます。

 

トッププロロード選手は、1000mを1分6秒くらいで走れます。ロードの選手は4000mを4分24秒で走れるような選手が活躍します。日本の選手で4000mを4分40秒で走れる選手は稀で、ホビーレーサーのトップで、5分6秒くらいです。1時間連続で発揮できるワット数はプロで450ワットから600ワットで、平坦コースでは時速50kmから55kmです。ホビーレーサーでは200わっとから300ワットです。時速にすると35kmから40kmくらいです。いずれにしても回せて踏めなくてはスピードが上がりません。

 

MTB のグリップポジションは、ロードのブラケットと同じ位置でグリップを設定しますが、サドルの高さはロードと同じくらいで、腰の前後位置は、体重を利用して踏み込むことになるので、前乗りになるので、傾斜地や腰を安定させるためにサドルの先端を上げ気味に設定します。ピストの場合は、ロードと同じポジションにグリップ位置を設定しますが、サドルの高さは、回転練習をしていると、前乗り気味になって、近くなりますが、さらに膝間接の曲がりを深くするために低くしたくなります。オールラウンドに走るロードのポジションとは違う場合があります。ではでは。