クマさんのバイク専科

牛スジ煮込み、うめ〜!!

見えない敵なのでどうにも外へ出かける気にならない。食べたいものをなかなか思いつかなくて、運動もしていないのでお腹も空かないし、困ったものだな〜と思っていました。スイカ、豚肉、イングリッシュマフィン、フルーツ入りヨーグルト、もやし、食べようかなと手に入れて、食べてみると予想とは違った感じで美味しくないので途中で止めてしまう。食欲不振が続いいて、2kgほど痩せてしまった。

 

手間がかかるので滅多に作らないけど、手羽先の手羽元3個に金ぐし通して、ににんにくのおろしたのをたっぷりつけて、この2日間直火の遠火で、霧吹きで吉野川の樽ざけを吹きかけながら焼いた焼き鳥は、まぶしたにんにくがカリカリになって、一部が焦げて香ばしく仕上がります。一部は塩を振ってその焼き上がりをそのまま食べますが、ポン酢におろしにんにくを溶いたタレを、焦げ焦げの焼き鳥にかけて食べるとたまりません。

 

中野にあったひよこババアとひよこジジイがやっていた大新というお店の名物焼き鳥のレシピで作ったものです。1人前4個で、行くと20人前食べていました。さらにもう1つの名物が鳥の胸肉の鳥刺しでした。胸肉を粗塩でもんで、ざるに入れて、でかいヤカンでグラグラ煮えているお湯をかけて、表面を白くなると、今度は氷水に浸けて締めます。これを一口大に切って皿へ盛ってくれます。ポン酢ににんにくを溶いたタレで食べます。これも20人前頼みます。運がよけりゃ皮引きしたもの、正肉の焼き鳥も注文通り出てきます。

 

そんな食べ方をしていたのが体重100kg越えの原因ですね。今は73kgまでダイエットしました。焼き鳥も鳥刺しも作りたかったけど、何故か食べくなったのは、牛スジ煮込みで、これを作るのにはまっています。食べるのも、朝昼晩、暇さえあれば食べています。全く飽きませんね〜。お肉に対しての執念てものが、年とともに薄れて来ていたはずなのに、自粛でなるべく買い物に出なくなって、突然、牛スジ煮込みを食べたくなりました。作るしかないよな〜。

 

まず、牛スジ、牛スジと思ったら、スーパーで手に入れるのが難しいことを思い出しました。牛肉のコーナーでも端っこの、さらに隅っこに、ごちゃごちゃ〜っと置かれていて、結構扱いがぞんざいな感じ、しかも、数量も限定されていて、夕方まで売れ残っていることがたまにあります。買い物は3時とか4時ごろに行くので、牛スジには時々しか会えません。買うとなると、1パックじゃ手を出さないので、最低でも4から5パックないと、牛スジ煮込みを作る気になりません。大きな鍋に水をいっぱい張って、コンロにかけてグラグラと煮立てます。

 

大きな玉ねぎを丸々1つ、皮をむいて、上と下を切って、2つに切って半円にして、1cmくらいの厚さでザクザクっと切って、鍋へ打ち込みます。手に玉ねぎの香りがついて、目がしみて、牛スジ煮込み作りのルーティーンです。お砂糖は一切入れず、この玉ねぎの甘さだけが甘みになります。さて、ここからが切れ味の鋭い包丁の出番です。玉鋼で作った刃先を何枚かの綱で重ね合わせて鍛造して、薄く粘りを持たせて、お肉へススッと吸い込まれるような切れ味の包丁です。親父の家にあった大きな仕上げの砥石で丁寧に研いだものを使います。

 

東北のたたら製鉄で作られた玉鋼を手に入れて、親父の知り合いの福井の包丁屋さんへ届けて、半年ほどかけて作ってもらったもので、波紋が波打っているペラペラの包丁です。引いても押しても切れますが、動物の骨になるべく当てないようにと注意されました。包丁を扱う修行をしていないので、包丁作りの職人さんに、なぜ切れるのかを教わりましたが、包丁にも刃筋というものがあるらしく。切りたい物に正しく刃筋を当てて引くと、お肉の繊維方向だろうと、断ち切る方向だろうと、吸い込まれるように入っていきます。

 

切り口を指先で触れるとツルツルしています。それは舌先で舐めても同じで、舌触りがまるで違います。魚屋さんでぶりを丸々買ってきて、油が乗りすぎてはいない天然物のぶりをさばくと、中骨までサクサクと切れて、腕はへたっぴでも刺身の舌触りは圧倒的で、刺身の表面を醤油が滑り落ちていきます。その職人さんが作った出刃包丁も親父の家の台所から持ち出して使っているのですが、この厚い刃の包丁の登場は、この薄刃の包丁を手に入れてからは、ほとんど無くなって、研ぐのを楽しむために置いてあるお飾りみたいになりました。

 

切れ味鋭い刃物は取り扱いに緊張しますし、年代物のお気に入りの大きな砥石を出して研ぎ始めると、自然に集中できるので、仕事部屋の流しで作業します。老職人さんが手に持った、ちびた出刃包丁に憧れていたのですが、とても無理ですね。買ってきた牛スジを薄刃の包丁で一口サイズに切るのが面倒なのですが、押しても引いても切れるし、上から押し当てるだけで、頑丈な牛スジがぱかっと開いて行く感じで小気味好く切れます。1パックを切り終わると、ぐつぐつ煮えている鍋に放り込みます。

 

牛スジは赤みのお肉との境目の部分もあるし、削ぎ落としてあるので、よっぽど切れる筋切り包丁で、熟練の肉切り職人が加工しているはず。半端じゃない切れ味ので作業しているはず。切り口を惚れ惚れ

と見てしまいますね。牛スジを日が通りやすいようにひと口大にして、全てを鍋に入れて、10分も煮るとアクが出てくるので、おたまですくって捨てました。鍋にはお酒を200CCほど加えて、生姜を入れて、昆布だしの醤油、白だしで味付けしていきます。僕は薄めの味付けで肉の味が残るようにします。

 

グツグツ煮ること40分、ほぼ全体に火が入りました。もう玉ねぎは

とろけ始めています。牛スジもとろけている部分とまだしっかりしている部分があります。この状態で鍋から吹きこぼれないように、火の強さを調整して、蓋をずらして20分くらい煮込みました。部屋はそのままだと湿気と熱気がすごいので、エアコンを強めにかけて、しかも、換気扇を回して、ただ待っているのは退屈なので、デカク育ったトイプードルをからかって遊んでいました。様子見に蓋を開けて、おたまで牛スジをすくって煮上がり具合や味付けを確認しました。

 

煮汁が半分くらいに煮詰まったところで、一旦火を切って、味がなじむのを1時間ほど待って、もう一度煮立てて実食です。玉ねぎの甘みなので食べた後味がさっぱりしています。昨日作ったのより美味しくできました。よく煮えた牛スジはとろりと溶け出し、歯ごたえのある部分も残っていて、万能ネギを刻んだのとも合いますね。牛スジを丼いっぱいにすくって、ペロリと食べてしまいました。もう玉ねぎはほとんど溶ろけてしまっていました。これにウメッシュが合うかな。赤ワインかな、夕ご飯のおかずって感じじゃないよな。深夜にちょっぴり罪悪感を感じながら食べるのもいいんだよな。ではでは。