クマさんのバイク専科

アーレンキーの種類を使い分けている!

自転車界では、一般的にはアーレンキーと呼ばれているけど、六角レンチ、アレンレンチ、ヘキサゴンレンチなどと言われています。スイスのPB、イタリアのベータ、日本のSK、この3ブランドを主に使うようになりました。常用する工具は、ペリカンのアタッシュケースに押し込んでいます。開閉用のバックルを取り外して、強力なマジックテープで開閉できるように改造してあります。バックルの開閉が面倒な上に、持って行くときは時間があって、工具をきっちり収めていたのに、メカニックの作業が終わって、とっとと帰ろうとした時に、雑然と収めた工具が溢れそうになって蓋が閉まりませんでした。

 

バックルがかからない時がありました。それでもマジックテープのバンドで抑えてそのまま抱えてサポートカーまで運んで持って帰りました。そこでバックルを外して、マジックテープどめに改造しました。アタッシュケースに工具をとりあえず収めて移動するのに便利だし、せっかちな性分なので、蓋の開閉が早いですからね、この改造は、とっても気に入っています。車のトランクに収納してもこれなら蓋は開きません。海外遠征用の大きな工具箱から、マイバイクの整備のために最低限必要な工具を、遠征のたびにこれはいる、これは置いて行こうと、考え考え、厳選した工具で構成したものです。

 

アタッシュケースを開けると、アーレンキーだらけで、5モデルも各サイズが入っているので、アーレンキーだらけです PBの柄の長いアーレンキーセットがあれば、基本的には組み立てや調整の作業をできないわけではないが。5種類のアーレンキーセットは、40年間自転車の整備をやってきて、1つ1つに選んだ理由があって、作業の内容にに合わせて選んで使うと、安心して心地よくスムーズに作業できるんですね。ここ10年くらいは、見て頭で考えて手が握っているというより、自然に最適なアーレンキーを握るようになっています。5種類の中の1本でも揃っていないと1日気分が沈んじゃうほど気になります。

 

スイスのPBはアーレンキー、ラチェットレンチのソケット、ドライバーで、あまりにも有名です。材質は工具鋼として有名なクロームバナジウム鋼で熱処理されて、サビ難く剥がれにくい梨地のクロムメッキが施されています。スタンダードな柄の長いL字型の8mm〜1、5mmのセットのホルダー付きを採用しています。最も使うのがこのモデルで、ホルダーは使った後でアーレンキーを戻して無くさないようにするのに適しています。この戻すのを習慣にしないと、高価なアーレンキーの紛失の原因になります。もし無くしたらかなりショックですが、1本でも買えるところがいいんですけどね。

 

もう1つのPBのアーレンキーはヘッドが短くて、先端の曲がりの角度が110度のモデルです。長い方の片側はボールポイントのモデルです。短い方の先端は六角です。先端が短いので狭い場所でも差し込んで回す作業で使います。ボールポイントはネジの先端に差し込んで、事前の仮の締め込みに使います。ボールポイントは強い力で締めるとスリップしやすいので、基本的に、本締めは六角側を差し込んで指定のトルクで締めます。

 

イタリアのベータはフェラーリのF1チームのオフィシャル工具でした。残念ながら、ベータの工具は日本への入荷は不安定になってしまいました。イタリアで手に入れたベータの工具のカタログは電話帳みたいに厚く、車、オートバイ、電光工具、サンドブラスト、エアーブラシ、の他に一般工具、工具用のコンテナ、工具ケースやバッグがずらりとラインナップされています。でも日本の工具屋さんで見かけなくなっています。

 

スナップオンやリックツール、ハゼット、スタビレー、バーコ、クニペックス、京都工具の方が高級高精度のハンドツールではメジャーですね。自転車専用工具では、専門的な切削工具やシールドベアリングの圧入や抜き取りの工具まであるパークツールや、ホーザンやトピークが有名です。昔はフランスのバールが使いやすい細かいラインナップで有名でした。カンパニョーロの工具セットもありましたが、規格が古くなってフェードアウトして、サードパーティーが対応工具を作っています。もし工具専門ショップで、ベータの欲しい工具を見つけたらストックして置いた方がいいでしょう。ベータブランドのコーポレートカラーはオレンジです。ドライバーの樹脂製グリップや、アーレンキーのT型の樹脂製グリップもオレンジ色です。

 

T字型のアーレンキーは樹脂製ハンドル側の1方に短いアーレンキーが付き、長いアーレンキーが付いて、樹脂製グリップがハンドルがわりになります。アーレンキーの素材は錆びにくい特殊鋼で、根元側は断面が丸くしなり難く、先端だけが六角形に削りこまれて成型されています。この丸い鋼材を使うことで強く締め込む時にパワーロスがなく、きっちり締められるのが人気の秘密です。一時期、工具が中国生産になって、削り出しの六角面やボールポイントの精度が悪くなりましたが、イタリア生産に戻って、精度は回復しました。世界各国のメカニックの工具箱には、ワインのコルク抜きとこれは必ず入っていましたね。

 

T字型のアーレンキーモデルには、長い方の先端が六角のものと、ボールポイントのモデルが追加されました。樹脂製のグリップの形状が同じなので、目立つ部分にマジックで塗って、区別しやすいようにしています。ベータにもアーレンキーセットはラインナップされていて、長さが違うもので、片側ボールポイントのモデルです。日本のSKの樹脂製ハンドル付きのアーレンキーは、ハンドルが大きく十分に締め込むことができます。ハンドルの片側には短い六角レンチ付きです。長い方は六角とボールポイントのものがあります。差し込んで仮締めする時はボールポイントモデルで行い、本締めは六角のモデルで行います。

 

この大きいハンドルのモデルいいですよ、安いけど、十分にプロユースで使えるクオリティです。ちょっと気になるのは、工具が六角断面でわずかにしなることと、ベータの樹脂製グリップとほぼ同じオレンジ色なことがオリジナリティーってとこでどうかなーと思いますね。工具ホルダーに差し込んでおくと、本締めと仮締めで持ち変える必要があるので、先端が六角かボールジョイントかわかりにくいので、樹脂製のグリップにマジックで印をつけた方がいいですね。かなり使用頻度が高い工具になっています。

 

メカニックとして、そもそも論を言ってしまうと、アーレンキーボルトも、トルクスのボルトも小さいサイズのボルトは勘弁してよという思いがあります。元々はプラスマイナスのドライバー兼用だった、変速ストロークの調整ボルトを、なんでアーレンキー式にしたのか腑に落ちない。六角の穴が小さいので、雨の日なんか走ったらドロ詰まりや砂詰まりして、アーレンキーを突っ込めないことがあるのだ。MTBのコンポーネントなんか最悪だ。しかも、アーレンキーのサイズを選ぶ必要がある。トルクスのボルトなんてナイフの先や大きめの安全ピンの先とか金ブラシで泥を掻き出さないと、あの複雑な溝付きトルクスレンチを差し込めない。プラスマイナス兼用ネジなら、どちらのドライバーでも回す事ができるし。先端で泥を掻き出してすぐに作業ができる。

 

コンパーネントパーツメーカーが、アーレンキーやトルクスレンチのネジに移行する意味は、スリップさせないで確実に動かせる事だろうけど、実際の現場では作業が面倒になっている面もある。もちろん現実がそうなっているから、各種のアーレンキーを用意して、作業はきっちりやりますよ。各ブランドのアーレンキーの現物を見たい方はスポーツバイクつくばマツナガの、坂間メカニックの工具ケースのやつを見せてもらってください。使い勝手も聞いて見てください。今まで工具を手に入れてきた、ワールドインポートツールズは、神奈川県の港北に移動して復活しています。取り扱いブランドなど、ホームページをチェックして見てください。ではでは。