クマさんのバイク専科

お久しぶりなブルックスB17

いらないパーツ、使いもしないパーツがストックになっています。フランスのイデアル、イギリスのブルックス。どっちの革サドルがいいかと言えば、ルックスだったら甲乙つけがたいが、乗ってなんぼだということになれば、僕は丸っこい断面のイデアル90より、ちょっとだけフラットなブルックスのB17のプロフェショナル、チームプロ、コンペティションだった。カシマやフジタの革サドルもありましたが、すぐに裾が開いてしまってダメでしたね。プロフェショナルやチームプロは、牛革の1枚革で作られていますが、セカンドグレードのコンペティションは補強の裏革が付いています。ちなみにカンパニョーロモデルは、1枚革のモデルです。イデアルも90のワイヤーレールも、ジュラベースも最上級モデルで1枚革です。

 

ちょとレアものだけど、サイドがカットされたスワローもよかったな〜。カンパ二ョーロの天秤型のアルミ合金鍛造シートポストのヤグラの幅が狭く、ブルックスのスタンダードなワイヤーレールでは、幅が広すぎて固定できなかったので、カンパニョーロマーク入りの狭いレールのモデルが作られていた。カンパニョーロシートポスト用のプロフェショナルは、サドルの幅が狭く絞られているので、内腿との接触が少なくて、ペダリングしやすかったが、何せ入荷量が少なくて、手に入れるのが大変だった記憶がある。レアもの中のレアものだ。

 

イデアル90のダニエル・ルブールモデルは、メーカーがベタベタにオイルドして出荷しているので、慣らし済みモデルと呼ばれていたが、フランスの革サドルの慣らし専門の職人に言わせると、オイルドしているだけで坐骨の当たる面を、すぐ使えるまでに慣らしているわけではないという。そこの職人は、オイルド、脱脂、スリコギやプレス機械での革をしなやかにする慣らし、銅鋲を外しての革の張り替え、低いレールや幅の狭いフレームへの張替えもやってくれる。イデアルもブルックスにも対応してくれる。スペシャルチューンでは、チタンレールにチタンフレームで、軽量化もやってくれるが、加工代は慣らしが2万円、張り替えが3万円以上だった。

 

メーカー慣ら済みの革サドルは、イデアルのルブールモデルの専売特許と思っていたら、ブルックスがチームプロの限定モデルとして、オイルドして、そこそこしなやかに慣らしたモデルをリリースした。チタンレールにチタンフレームで400g台と革サドルとしては軽量だった。レールは高いままだったが、張り替えたサドルと同じく、大銅鋲で止められている。イデアルはサドルの慣らし屋さんが作る、レールの高さの低い、まさに昔のレーシング革サドルの形をしたモデル、163というモデルをリリースした。これも入荷量が少なくて、手に入れるのに苦労した。これはオイルドもされていないし、慣らしも行われていないので、使えるようになるまでが大変だった。

 

しかも、断面形状が丸っこいので、オイルドして、慣らしてしなやかにしたものの、坐骨の当たる部分が痛くなって、使う気にはなれなかった。かっこいいだけに残念だが、お蔵入りになってしまった。とにかく革サドルの慣らしは大変で、最終的に乗れるのかがそこからだから困ったものだ。雨でバイクに乗る気にもならないので、残っているサドルを取り出して、埃を払って、革サドルにはミンクオイルを擦り込んでピカピカにして、革の弾力性を取り戻した。革サドルは1個が540g越えでずっしりと重い。プラスチックサドルならこの半分の重さだし、慣らしをすることなく乗れるしね。

 

正直言うと、革サドルを慣らしていくつも使ってはみたが、ヨレヨレなくらいに使い込んだことがないです。石ころみたいに硬いサドルを、半年とか1年の時間をかけて飼い慣らして、坐骨の当たる部分が凹んで、これしかないと言うまでに仕上げられない。お尻の痛さに耐えることができませんでした。もちろん、慣らしのプロに依頼したことがありますから、いいとこまでは行きましたが、次々に発売されるプタスチックサドルの誘惑に負けました。時々、姿を見たくて倉庫から引っ張り出してきて、ミンクオイルを塗るのを楽しんでいるだけになっています。分厚い牛革の色が抜けて茶色味が増して行く感じがいい感じです。ノスタルジックなだけで、多分、もう使うことはないでしょうけど、手放す気にはなれませんね。ではでは。