クマさんのバイク専科

Oくん旧型サドル試してみますか?

今は流行のショートタイプのサドルを使っていますね。最初はTTバイクの前乗りポジション、つまりDHバーポジションに対応したモデルと言われていましたが、現在はロードバイクでも使われるようになっています。スペシャライズドのBGシリーズも、フィジークもショートサイズがリリースされています。スポーツバイクのサドルは革サドルの頃から280mmの長さがスタンダードでした。坐骨の触れる部分の広さは、色々ありましたが、130mm〜150mmが一般的でした。UCIの技術委員会は車両規定のルールで、不安定になりやすい極端な前乗りポジションを規制するルールを制定しました。

 

サドルの先端の位置が、ハンガーシャフトの中心より前に出ないサドルの位置を後ろへ退くと言うものでした。当時は、ブルフォーンバー、DHバーポジション、ファニーバイク、スーパーマンポジション、オブリーポジションなど、空気抵抗を減らすためのアイデアが採用されていました。技術委員会は、まさかサドルメーカーが、短いサドルを作ってきて、サドルの先端が、ハンガーの位置より後ろになるようにしてくるとは思っていなかったのかもしれません。UCIのルールには時々ぽっかりと抜け穴があることがあります。

 

カーボンフレームは成型の自由度が向上して、ティアドロップ断面形状とか、エアロダイナミクスを連想させるフィン形状とか、エアロロードと呼ばれるジャンルが大流行しています。スペシャライズドは風洞実験室で開発したり、フェラーリのボディデザインを担当する風洞実験室で有名なピニンファリナに、フレームデザインを依頼しているデローザもあります。フレームのエアロ化がどれほどの効果があるかはわかりませんが、UCIの機材ルールでは、空気抵抗を減らす効果があるデザインは採用できないことになっています。チューブの断面形状の幅や長さの基準もありますが。チューブが交差する部分の形状は、剛性や強度の補強という名目で、グレーゾーンになっています。

 

フレームやパーツに付いているUCIのマークを知っていますよね。UCIの技術委員会の認定機材の審査を受けて、通過すればこのマークを付けられて、UCIのロードレースでも使用できます。ITUのトライアスロンもUCIの機材ルールを参考にしていましたが、車輪やフレームで多少の違いがあります。ITUのロングディスタンスも、アイアンマンのロングも、許可いまだにドラフティング走行禁止です。51、5kmのエリートクラスはドラフティング許可レースです。ほとんどロードレーサーですが、ブレーキレバーの先端より飛び出さないDHバーの取り付けが許されています。

 

発祥のルーツが違い、ITUのロングと距離が違うロングのアイアンマンシリーズには、独特の車輪やフレームのルールが存在します。アイアンマンの世界選手権はハワイのビッグアイランドへ会場を移したので、イージーなコース設定やコナウインドという強風が、ディスクホイール禁止でディープリムホイールを誕生させ、スコット社のスキーのコーチだったブーン・レノンが、ダウンヒルスキーのフォームをバイクで再現する、空気抵抗を減らすDHバーを生み出しています。

 

DHバーポジションは、上半身を低く、胸に風を巻き込まないフォームを実現、手と肘パットの3点で上半身を固定すると同時に、ハンドリングもコントロールします。ブルフォーンバーとDHバーコンビネーションが一般的です。上半身の重さや脚の筋力を使って踏み込むペダリングを実現するために、体重をかけやすい前乗りポジションへ移行していきます。ケイデンスは、ハワイのアイアンマンでは、100%がDHバーポジションで、平地で85回転から110回転の範囲になっていました。上位100選手は全員が前乗りでした。ロードのTTの場合は同じDHバーポジションですが、ロングのトライアスロンより、平均時速が50km〜55kmと、アイアンマンのトップが平均43kmですから、発揮するワット数が200ワットくらい違います。ケイデンスは100回転から120回転です。肘パットの位置はトライアスロンより手首よりに設定されて、より大きな固定力を発揮できる設定です。ポジションは前乗りで、UCI規定に対応してショートサドルがスタンダードになっています。

 

ロードバイクでの走りは、上り、向かい風、平地、追い風、下りをこなす必要があるので、ケイデンスは90回転から120回転に対応する必要があります。使用ギヤ比は違いますが、プロでもホビーレーサーでもほとんどケイデンスは変わりません。腰の位置を前後へ動かして、低回転高トルク、高回転高トルク、高回転低トルクなど、色々なペダリングに対応しています。そういう知識がなくても自然に腰の位置を前後へ動かして走っています。人間エンジンはモーターやエンジンと違い、低回転の高トルク、高回転の高トルク、高回転の低トルクでも走れるのです。脚の筋肉は伸縮するときに、効率のいい脚の屈曲の角度があって、深く曲げすぎると、踏み込むときに効率よく筋力を使えません。脚が真っ直ぐに伸びても屈曲の動作に映るのにに手間取ります。ペダリングを解析してみると、足の位置によって、脚の動きの速度が低下していて、ケイデンスを上げにくくなっていることがあります。

 

腰の前後位置とか、サドルの高さによる、脚の関節の曲がり具合に関係します。股関節、膝関節、足首の関節の曲りや稼働幅に影響します。骨盤の角度も重要で、股関節の可動域への影響、ペダリングに動員できる筋肉の範囲にも影響します。その重要な骨盤の角度を支えるのが腸腰筋などの体幹の筋肉です。ライダーの力強いペダリングを実現するには、腰の位置や、骨盤の角度を意識すること、使う筋肉を意識すること、腹筋、側腹筋、臀筋など体幹の筋肉を鍛えておく地道な筋トレが重要なんですね。そして、腰の位置をサポートするサドルの前後位置、取り付け角度、高さが重要なんですね。

 

全長250mmくらいの短いサドルは、腰の前後位置の移動幅が小さくなります。そこで、もう一度280mmのスタンダードタイプにチャレンジすることをお勧めします。サドルの前後一の調整も5mm単位で試してみましょう。お尻の痛さが発生していなくても、サドルを交換して試走してみましょう。最低でも100km以上走って、数回走りながら調整してみましょう。僕はお尻が痛くなるので、カゴに3つに収まる数のサドルを4年間かけて試しました。もちろん形もクッション性も違うので、工具を持って走り、前後位置の調整、取り付け角度の調整、高さの調整をしながら試乗を繰り返しました。その結果選んだのが20年も30年も昔に売られていた、セライタリアのターボマチック2でした。

 

もうこんな古いのは手に入らないだろうなと思っていましたが、探していると言うブログを読んでくれた仲間たちが探してくれて、サイスポ編集部のケンタくんがオークションで手に入れてくれたり、たけちゃんがフリマで探してくれていくつも手に入れてくれたり、サトイモさんがドイツのマニアックなお店からデッドストックを取り寄せてくれて、6個もあるので、当分はこのサドルを使えそうです。同じような形状なのですが、復刻版のターボではダメなんですね。サドルは微妙すぎる。

 

ターボマチック2はプラスチックベースはカーボン補強なしでしなやか。硬いプラスチックベースへの坐骨の底突き感がありません。レールは中空スチール製、パッドは厚く、表面は革製、レールとプラスチックベースの3点の接合部分にはサスペンション付き、坐骨の当たる部分は比較的フラットで、腰をしっかり固定してペダリングするライダー向き。もう1つはフィジークの旧型のアリオネのクラシック、さらにもう1つは現行モデルのアリオネクラシックだ。旧モデルはプラスチックベースのカーボンチップの混入の補強なしのしなやかなモデルだ。Oくんにこれを貸し出しましょう。ではでは。